「タワマン最上階」契約後にまさかの事態…明るい妻が豹変した決定打
Finasee / 2023年2月8日 11時0分
Finasee(フィナシー)
後藤慎吾さん(仮名)は都内にある化学メーカーの技術職。音楽講師の妻・沙織さんと結婚して2年になります。2人は現在、都内の賃貸マンションに住んでいますが、3月には神奈川県下の新築タワーマンションに入居の予定です。このマンションは2年前に契約したもので、当時とは生活状況や金利環境が大きく変わってしまったことから、慎重派の後藤さんは当初、このまま入居して住宅ローンを返済していけるのか、かなり悩んだそうです。
特に、2022年末に日本銀行が長期金利の許容変動幅を拡大して以降は一部の住宅ローンの金利が跳ね上がり、変動金利型のローンを利用することに抵抗があったとのことでした。しかし、借入額が大きいため固定金利型の金利では返済していく自信が持てず、一時は本気で解約を考えたという後藤さん。そんな後藤さんの背中を押し、さらに思いもよらぬ方向に目を向けさせてくれたのが、とある専門家でした。
「このタイミングで思い切って相談して本当に良かった。今は妻ともども、新生活が楽しみでしかない」という後藤さんに、この1カ月ほどの劇的な変化を振り返ってもらいました。
〈後藤慎吾さんプロフィール〉
東京都在住
31歳
男性
会社員(技術職)
パート(音楽講師)の妻と2人暮らし
金融資産2950万円
妻との結婚を決めた2年前、新居を探して2人でいろいろなマンションのモデルルームを巡りました。その数、実に30件以上。当時はコロナ禍で在宅勤務が増えていて、週末だけでなく平日も時間的余裕がそれなりにあったのです。
2人の意見が一致する理想的な新築マンションに出合ったのは、新居探しを始めて半年後。妻の実家からもそう遠くない、神奈川県の再開発エリアに建設予定のタワーマンションでした。募集を始めて間もないことから最上階の部屋にも空きがあって、また、そこからの眺望や屋内の間取りも素晴らしく、ここを見て買わないという選択肢はあり得ないという状況でした。
最上階を契約するも状況が一変、不安が的中し…7000万円近い購入価格には目玉が飛び出しそうでしたが、私には祖父からの相続などで2000万円を超える預貯金があり、仮に5000万円を借り入れたとしても、低金利の恩恵で試算した毎月の返済額も何とか返していけそうでした。唯一気になったのは、引き渡しが2年後の2023年になるということです。
「コロナで2年後に会社がどうなっているか分からないし、金利だって上がっているかもしれない。大丈夫かな」と私が弱気の言葉を口にすると、楽観主義者の妻は「日本は20年以上も低金利が続いているんだから、今さら急に金利が倍になるなんてあるわけないじゃない」と笑い飛ばしました。
「逆に2年もあるんだから、しっかりお金をためようよ」と言う妻に背中を押されるようにして最上階の部屋を契約。しかも妻はちゃっかり、居室に合わせたオーダーメードの家具セットまで注文していました。この時点でローン金利は0.5%弱。借入額5000万円を35年返済にすると、ボーナス返済なしでも返済月額は13万円ほどで済むはずだったのです。
そして2年後の今、あの頃とは大きく状況が変わってしまいました。しかも、皮肉なことに私の不安がことごとく的中した格好です。勤務先はコロナ禍で業績が伸び悩み、昇給はおろか手当もカットされて実質減収。ボーナスもこの2年間は数万円しか支給されていません。中小企業の悲しさで真っ先に研究開発費が削られ、かなり具体的な提案をしても何一つ実現せず仕事のストレスはたまるばかり。家計の方も2022年は値上げラッシュで光熱費や食費の負担が膨れ上がり、さらに妻が飼い始めたペットの猫の費用などが家計を圧迫したため、入居に備えてお金をためるどころか貯蓄を取り崩す始末です。
金利上昇で家計に大打撃、契約キャンセル打診に妻激怒妻が「あるわけないじゃない」と笑い飛ばした金利の上昇が現在進行形で起きているのも恐怖です。コロナ禍でじわじわと金利が上がってきていたのは気になっていましたが、決定的だったのは2022年12月に日本銀行が長期金利の許容変動幅を0.25%から0.5%へと拡大したことでした。2023年の年明けには、大手メガバンクの10年固定金利ローンの金利がそろって大きく引き上げられました。
このまま行けば、わが家が利用する予定の変動金利ローンの金利も上がってしまうのは必至です。仮に金利が1%になったとすると、毎月の返済額は1万円以上アップします。赤字家計のわが家には相当な痛手です。住宅ローンのサイトには、「金利上昇期には固定金利ローンを利用するのが鉄則」と書いてありました。しかし、固定金利ローンではとても返済を続けていける自信がありません。とすれば、いったん契約をキャンセルした方がいいのかもしれない。妻に相談したら、「いまさら何言ってるの? そもそも違約金をどうやって払うわけ?」とブチ切れられました。
そんな中、「この人に相談してみたい」と思ったのが、その頃よく読んでいた家計相談サイトで住宅ローンの相談に答えていたファイナンシャルプランナー(FP)の肥後さんでした。専門知識が豊富だけれど決してそれをひけらかすことはなく、しょうもない質問からハイレベルの質問まで一つ一つに丁寧に向き合う肥後さんの姿勢に好感が持てたのが一番ですが、プロフィールを見るとマーケットや投資、家計など幅広い分野に関心を寄せていて、広い視野からのアドバイスが期待できそうだと思ったからです。
肥後さんのサイトから連絡を取ったらすぐに返信をもらい、翌週には妻と相談に伺うことになりました。
●驚きの提案で「腹が決まった」? 続きは後編【「貯金2000万円超」でも不安…31歳会社員が新築タワマン購入を決断できた理由】で紹介します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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