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「貯金2000万円超」でも不安…31歳会社員が新築タワマン購入を決断できた理由

Finasee / 2023年2月8日 11時0分

「貯金2000万円超」でも不安…31歳会社員が新築タワマン購入を決断できた理由

Finasee(フィナシー)

都内の化学メーカーに勤務する後藤慎吾さん(仮名、31歳)は音楽講師の妻・沙織さんと2人暮らし。2年前、結婚を機に新居を探している中で理想的な新築マンションに出合います。それは神奈川県の再開発エリアに建設予定のタワーマンション。しかも眺望や間取りが素晴らしい最上階の部屋でした。

購入価格は7000万円と高額でしたが、後藤さんには2000万円超の預貯金があり、その時点でローンの変動金利も0.5%弱と低金利だったこともあって契約することに。唯一、引き渡しが2年後の2023年という点だけが気掛かりでした。

そして2年後の今、当時とは状況が一変。後藤さんはコロナ禍の影響で会社の業績が低迷し減収を余儀なくされ、さらに値上げラッシュで家計は火の車に。懸念していた金利上昇も現実のものとなり、返済の負担が増すことを不安視した後藤さんは妻に「あること」を打診します。すると妻は激怒、後藤さんは途方に暮れてしまい……。

●「いまさら何を!」妻がブチ切れた理由
※前編【「タワマン最上階」契約後にまさかの事態…明るい妻が豹変した決定打】からの続き

ネットで見つけた「お金の専門家」に相談

2年前に契約した新築タワーマンションへの入居が迫る中で家計が逼迫、しかも、住宅ローン金利も上がってきている。コロナ禍で住宅ローン破綻が急増したという報道を見ていたこともあり、このまま入居しても大丈夫なのか、正直、夜も眠れない日が続いていました。ファイナンシャルプランナー(FP)の肥後さんの事務所を訪れたのは、そんな矢先の2023年1月下旬のことでした。

肥後さんに相談したいことは大きく2つありました。1つは、このまま金利は上がっていくのか、その場合は契約時の金利水準が続く固定金利のローンを選んだ方がいいのか。もう1つが、わが家はこの状況で住宅ローンを組んでも大丈夫なのか、違約金を支払ってもマンション契約をキャンセルした方がいいのか、ということです。

肥後さんはご夫婦で事務所を経営していて、同業の奥さまがガチガチになった私たちに「マイホームは一生に一度のお買い物だから心配事が多いですよね」と優しく声をかけ、手製のハーブティーをふるまってくれました。ハーブティー好きの妻が「この味、初めてです。何をブレンドしているんですか?」としばらく話が盛り上がり、私たちの緊張がほぐれた頃、肥後さんが切り出しました。

「金利が上がってきたせいか、最近は『住宅ローンを固定金利にした方がいいですか』という相談が多いんですよ」

まさに、私が聞きたかったことで、「それで、肥後さんはどうアドバイスされているんですか?」と身を乗り出したところ、肥後さんは笑って「まぁまぁ、そう慌てずに。その前に今の住宅ローンが置かれている状況について話をさせていただけますか?」と解説してくれたのは、次のような内容でした。

「ひとまず変動金利を選んで…」驚きの提案も

固定金利ローンと変動金利ローンはバックグラウンドが違い、固定金利ローンが「新発国債10年物」の利回りに連動しているのに対し、変動金利ローンの多くは「短期プライムレート」と呼ばれる銀行の1年未満の貸し出しに適用される優遇金利に連動していること。年末の日銀の変動幅の変更を受けて国債など長期の金利は上がっているけれど、今のところ、短期金利に大きな動きはない。1月17~18日の金融政策決定会合でも日銀は「大規模な金融緩和を維持する」としていることから、今後も短期金利が急上昇するというシナリオは考えづらいということ。

肥後さんの話は、住宅ローンの初心者の私にも大変分かりやすく、なおかつ、説得力のあるものでした。なるほど、専門家はそういう見方をしているのか、と思いました。

「後藤さんにとってマンション購入が不安でしかないなら、解約もやむなしかもしれません。しかし、楽しみな部分も多いのではないですか? 物件自体は立地も条件も良く、今後資産価値が大きく下落することはないと考えます。変動金利のローンについても、金利が上がったら即返済額がアップするという構造にはなっていません。むしろ今は固定金利ローンとの金利差が拡大していますから、ひとまず変動金利を選んでおいて、金利動向を見ながらこまめに繰り上げ返済をしていくというのも1つのやり方です」

肥後さんがそう言ってくれたことで、私の腹も決まりました。さらに、税金や手数料、マンションの管理費や修繕積立金など購入時や購入後にかかる費用にも注意が必要、不動産会社の提携ローンだけでなく金利や手数料も安いネット銀行の住宅ローンも検討してみた方がいいといった話もありました。少々驚いたのは、わが家の赤字家計について「ムダを削っていくことも大切だけれど、お二人ともまだ若いのだから、収入を増やしていくことを考えてはいかがですか?」という未来志向のアドバイスをいただいたことです。

副業に転職…「70歳まで」のキャリアの見直し

「後藤さんの場合は会社で副業が容認されているのであれば、まず、ご自分の技術を生かして興味のある副業を始めては? その上で、今後も会社の業績が頭打ちだったら、後藤さんの技術を高く評価してくれる会社に転職するという選択肢もあります。奥さまも生徒さんの数を増やすとか、より条件のいい教室に移ることを考えてもいいかもしれません。今後は企業でも70歳まで働ける環境が整備されていきます。お二人はこれから40年近く現役でいらっしゃるわけですから、新居への引っ越しを機に長期的な視点からご自身のキャリアを見直してみてください」

事務所を出た時には夕方近くなっていましたが、不思議と周囲の景色が明るく見えました。住宅ローンは結局不動産会社の提携ローンにしたのですが、肥後さんの話を聞いていたので今後の返済計画への不安はほとんど解消していました。後は3月の入居を待つのみ、自宅の整理や役所の手続きなどに追われる日々です。そんな中、妻はポジティブに職探しに取り組み、この4月からは2つの音楽教室を掛け持ちすることになりました。私も、大学院時代の友人のベンチャーを手伝うことを決めました。

新居だけでなく、新しいキャリアへの背中を押してくれた肥後さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。憧れのタワーマンション生活を満喫できるよう夫婦ともども自分をブラッシュアップしていきたいと思いますし、今後も肥後さんから随所でアドバイスをいただくことができたら、これほど心強いことはありません。

●自己資金なしからでも購入可能!? 意外な方法とは… 詳しくは【共働き年収700万円で「5000万円の家が欲しい」夢かなえた驚きの解決策】(本サイト記事)で紹介します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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