「ポストコロナ時代」移行で変化する貯蓄事情…世界で最も“お金の心配”をしている国とは?
Finasee / 2023年2月13日 17時0分
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Finasee(フィナシー)
フィデリティ投信が、17カ国・地域の2万人を対象に、ポストコロナ時代に移行しつつあるなかでの人々の心理状況や、ウェルビーイング、家計支出、貯蓄、老後準備といったお金の問題に関して国際比較を行ったレポートを公表しました。この調査はコロナ禍のさなかであった2021年から始まったもので、今回が2回目になります。
2万人の調査対象者のうち、日本の調査対象者は2000人。内訳は、男女比が50%ずつで、年齢は20~38歳が28%、39~54歳が32%、55歳以上が39%です。また、収入に関しては、年間700万円以下の低所得が36%、年間700万円超1100万円以下の中所得が42%、年間1100万円超の高所得が22%となっています。
同レポートは、総ページ数が59ページあり、内容も今の心理状況からウェルビーイング、金融行動、老後準備、仕事に至るまで幅広いものとなっています。詳細を知りたい方はフィデリティ投信のホームページからダウンロードしてください。最新情報のタブをクリックすれば、掲載項目のひとつに同レポートが掲載されています。本稿では気になったいくつかの項目について簡単に触れることにします。
将来を悲観しすぎる日本人は減っているまず「この先6カ月について、あなたは楽観的に感じていますか、それとも悲観的に感じていますか」という心理状況を聞く項目です。欧州各国は総じて悲観的という回答比が高く、英国の51%、イタリアの42%、ドイツの45%、スペインの42%、アイルランドの41%という具合ですが、日本は6%しかありません。これは中国の4%、インドの6%と並ぶ水準です。ちなみに2021年調査時点では、悲観的という回答比が44%だったので、だいぶ改善されたと見てよいでしょう。
ただ、中国は楽観的の回答比が83%、インドは64%と非常に高いのに対し、日本のそれはたったの21%です。では、日本は何が高かったのかというと、「どちらでもない」の回答比が73%を占めています。言い換えると、「よいとは言えないけれども、悪いとも言えない」というどっちつかずの状態であると考えられます。
ポジティブな心理は何と関連している?また、「過去6カ月間にポジティブな感情を持った要因は何ですか?」という問いがあります。これはポジティブな感情について、「仕事に満足している」、「自宅で過ごす時間が増えた」、「自分の健康状態の改善」、「貯蓄を増やせた」などの11項目について、「有意に高い」、「有意に低い」の結果を示したものです。「有意」とは、統計上、偶然ではなく必然である可能性が高いという意味です。
インドの場合、11項目のすべてについて、ポジティブな感情が有意に高いという結果になりました。中国は5項目、米国は3項目で「有意に高い」という結果が出ています。
これに対して日本はというと、11項目中7項目が「有意に低い」でした。ちなみに欧州各国も、この「有意に低い」の該当する項目が多く、英国は6項目、フランスは7項目、オランダは9項目が、これに該当しています。
「よくも悪くもない」大半、日本人のウェルビーイングへの考えウェルビーイングに関する設問には、お金、健康、生活、仕事という大項目と共に、お金には「家計収支」と「資産形成」、生活には「私生活と交友関係」と「ワークライフバランス」、仕事には「仕事」と「ワークライフバランス」という中項目があります。同レポートではそれらの項目に対し、それぞれ「よい」、「よくも悪くもない」、「悪い」の回答比が示されています。
グローバルで回答比を見ると、大半の項目で50%以上が「よい」の回答比を選択しているのですが、日本の場合、「よい」の回答比は大半が20%台で、高いものでも「健康」の36%、「私生活と交友関係」の32%、「ワークライフバランス」の34%でした。そして、ここでも「よくも悪くもない」という回答比が44%~55%となっています。
日本人の家計の財務は健全、やりくりに慎重な傾向貯蓄に関しては、2021年調査ではグローバル共通で「コロナ禍で貯蓄が増えた」の回答が多かったのが、2022年調査では欧州において「減った」の回答比が増える一方、「増えた」の回答比は総じて低めになりました。そして日本ですが、「減った」の回答比はたったの19%で、調査対象国のなかで最も低い数字でした。さらに、「変わらない」も37%で最も高い数字となりました。
なお、貯蓄が増えたと回答した人の属性を見ると、日本の場合、年齢層では20~38歳の若年層、所得層では高所得者層で貯蓄を増やしたという回答比が高くなっています。
また、貯蓄の逆といっては何ですが、過去6カ月間で借入額を増やしたか、それとも減らしたかについては、「増やした」の回答比は5%と極めて低くなっています。また、そもそも「以前も今も借り入れしていない」の回答比は58%と極めて高い数字が出ていました。家計の財務は健全と見てよさそうです。
お金の心配、つまり「どのくらい先までお金のやりくりについて計画しているか」についてグローバルと日本を比較すると、これも日本人の慎重な姿勢が明確に見られます。グローバルで最も多かったのは「数カ月先」で27%を占めたのに対し、日本は「数年先」が43%で、他の期間を圧倒的に上回りました。ちなみにグローバルで「数年先」と答えた回答比は18%にとどまっています。
老後の「健康問題」への関心は、長寿国ならでは?老後の心配事項について、日本の回答比は「健康問題」が圧倒的に高く48%でした。次に「予期せぬ出来事(身近な人の死/資産喪失等)が28%、「家族の世話や介護」が28%、「リタイア後の収入確保」が25%、「老後資金の枯渇」が23%、「老後も働き続けること」が21%、「自分が家族にとって負担となること」が15%でした。
少し面白いのが、グローバル比較において、健康問題が有意に高かった国は、日本の他に香港がありました。ちなみに香港の場合は62%です。日本も香港も世界的に最も長寿な国の1つですが、健康問題を心配しているからこそ長寿国なのでしょうか。
最後に、日本人が老後資金の財源として考えるのは何かですが、これはほぼ想像通りであり、妥当なランキングだと思います。
1位 公的年金(64%)
2位 個人の貯蓄・投資(50%)
3位 退職金・企業年金(37%)
4位 リタイア後の勤労収入(31%)
5位 個人年金やリバースモーゲージ(21%)
6位 家賃収入(7%)
7位 子供からの援助(3%)
なお、前述したように実際のサーベイにはより詳細なデータが掲載されているので、興味のある方はご一読されることをお勧めします。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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