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「いくら積み立ればいい?」etc. 新しいNISAへの素朴な疑問に効く“3つのアドバイス”

Finasee / 2023年2月15日 11時0分

「いくら積み立ればいい?」etc. 新しいNISAへの素朴な疑問に効く“3つのアドバイス”

Finasee(フィナシー)

2024年から始まる新しいNISA(少額投資非課税制度)。昨年11月末に岸田政権が策定した「資産所得倍増プラン」※1によれば、その制度拡充の特徴は以下の5つになります。

①NISA制度の恒久化
②NISAの非課税保有期間の無期限化
③一般NISA・つみたてNISAの投資上限額の増加
④2024年から施行される新NISA制度の取扱い
⑤NISAの手続きの簡素化

※1 第13回新しい資本実現会議(令和4年11月28日(月)開催)、資料3「資産所得倍増プラン

④は2024年から予定されていた「2階建ての新NISA制度」は止めにする、ということ。念のための確認という意味合いですから、ここで改めて④については言及しませんが、「新しいNISA」なのか「新NISA制度」なのか、少しややこしいですね。ですから、ここから申し上げる「新しいNISA」とは、「資産所得倍増プラン」で打ち出された①から③の特徴を持つ制度であり、「(2階建ての)新NISA制度」とは別モノだとご理解ください。

そして、⑤は投資未経験者も含めて、利用者が簡単にNISAを活用できるように、特にデジタル技術の活用等により、NISAの手続きを簡素化・合理化する、ということ。投資家の裾野を広げる、という意味では、とても大切なことだと思います。ただ、スマホすら使いこなせないと家族から揶揄される私は、う~ん、正直、気の利いたコメントは言えそうにないので……⑤についてはパスさせてください(苦笑)。

というわけで、今回は新しいNISAの特徴、上記①から③のそれぞれを読み解きながら、私から皆さまへのアドバイスを考えてみました。ご一読ください。

制度は恒久化されるが…「今できること」がある!?

まずはNISA制度の恒久化について、率直に思ったのは「投資や資産形成の普及や啓発を進めるうえで、現役世代の皆さまの背中を後押しするのが少し難しくなるかも……」ということ。

というのも、現状の投資可能期間は一般NISAで2023年末まで(2024年に見直しが予定されていた新NISA制度でも2028年末まで)、つみたてNISAでも2042年末までですから、「NISAは期限のある制度なので、非課税投資のメリットを最大限享受するには、今から始めるのがセオリーです」なんて、いつも話をしていたものですから……。私の鉄板セールストークの1つがなくなってしまいました(苦笑)。

でも、制度が恒久化されるって、本質的にはそういうことですよね。どういうことかと言うと、いつから使ってもいいし、いつまで使ってもいい、そして、いったん止めてもまた始めてもいい――つまり、自分自身の都合にあわせて自由に使えるのが新しいNISAの最大の特徴だと思うのです。そして、この恒久化という方針を担保するべく、ある意味、必然的にと言ってもいいかもしれませんが、新しいNISAでは売却分について非課税投資枠の再利用が可能になるとか、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用も可能になるといったルールに繋がっているのだと思います。また、生涯にわたってNISAで利用できる非課税保有限度額(1800万円、うち「成長投資枠」は1200万円まで)を設けたことは、もちろん、お金持ち優遇の批判を避けるといった意味合いもありますが、より本質的には、いつから使ってもいい、という新しいNISAの特徴を担保するルールだと感じています。

なお、2024年からの新しいNISAは、2023年末までの一般NISAやつみたてNISA、そして、ジュニアNISAとは別モノになります。つまり、新しいNISAはいつから使ってもいいのですが、現行制度のNISAについては、実は今でも「非課税投資のメリットを最大限享受するには、今から始めるのがセオリーです」と言えるのです。

これが、NISA制度の恒久化を踏まえた、私からの皆さまへのアドバイス、言わば、「今できること」です。先ほど、鉄板のセールストークがなくなったと申し上げた私ですが、長年、金融経済教育に携わってきた者としての面目躍如、転んでもタダでは起きない、ということでしょうかね(笑)。

非課税保有期間の無期限化で「インカム投資」!?

次はNISAの非課税保有期間の無期限化。こうなると、「今、私が一般NISAを利用する人へ申し上げているアドバイスは、新しいNISAの『成長投資枠』には使えなくなるかも……」と思いました。でも、鉄板のセールストークがもう1つなくなってしまう、そんな切迫感はありません。というのも、最近はiDeCoやつみたてNISAを中心に、現役世代の皆さまへアドバイスをすることが多かったものですから。

そうは言っても、たまにではありますが、一般NISAについてアドバイスを求められることもあります。そんなときには、「一般NISAは非課税保有期間が5年に限られていますので、良いタイミングでうまく売り抜けることを前提に銘柄を選んでください」と申し上げていました。

これを短期売買、回転売買を推奨している、なんて言われると困ってしまうのですが(苦笑)、NISAは他の投資商品と損益通算ができないので損失を抱えたまま保有していても意味がないですし、5年という期限があるので株価の回復をいつまでも待てるわけではない、あくまでも、NISAの制度設計という観点からのアドバイスとご理解ください。そもそも、そして、今でもNISAは「少額」投資非課税制度、投資のリスクを「少額」という金額で限定したうえで、アップサイドの非課税メリットを取りにいく制度だと、そんなことも併せて説明することが多いですね。もちろん、言わずもがなではありますが、誰にでも同じようにアドバイスをしているわけではありません。基本的には、ある程度の投資資金をお持ちで、かつ、投資経験もあり、自己判断で銘柄選択ができる人向けに紹介している話です。

そんな一般NISA向けのアドバイスが、新しいNISAの「成長投資枠」だと、どのように変わるのか。非課税保有期間が無期限になると、良いタイミングで売り抜けること、つまりキャピタルゲインを狙うだけではなく、配当金や分配金を非課税で受け取り続けること、つまりインカムゲインを目的にした投資商品(=インカム投資)も視野に入ってくる、そんなアドバイスをしてみたいですね。そして、「インカム投資」と言えば、世界債券やハイ・イールド債券もありますが、キャピタルゲインも狙える高配当株やREIT(不動産投資信託)等のほうが、新しいNISAの「成長投資枠」のアドバイスにはしっくりくる、そんなふうに思っています。

投資上限額アップで「新しい鉄板セールストーク」誕生!?

最後はNISA投資上限額の増加、今の年間投資枠の上限は、つみたてNISAで40万円、一般NISAで120万円となっていますが、新しいNISAでは「つみたて投資枠」で120万円、「成長投資枠」で240万円になります。さらに、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を同じ年に両方利用した場合、年間で最大360万円の非課税投資ができるのです。生涯の上限枠(1800万円、うち「成長投資枠」は1200万円まで)が新たに設けられていますが、NISA制度の恒久化と非課税投資の無期限化、そして、投資上限額の増加が加わることで、期限や金額を気にせず、ライフステージの状況に応じて一人ひとりが柔軟に投資できる制度が整う、という触れこみです。

今は歓迎ムードが多数を占める新しいNISAですが、もしかしたら、この制度拡充を目の当たりにして、実際、何をどうやったらいいのか、戸惑っている人がいるかもしれませんね。例えば、「『つみたて投資枠』が年間120万円ってことは、毎月10万円!? いやいや、そんなに積立できないし……」、「実質的に枠が取っ払われたので、逆にどれくらい積立したらいいかよく分からない」と、そんなお声もチラホラ……。使い勝手が良くなった分、これまで以上に真剣にNISAに、言い換えれば、自分自身のライフプランに向き合う必要がある、ということかもしれません。

でも、ある意味、そんな“高尚”な目的意識でNISAの利用をためらうようであれば、それはとてももったいないこと。なぜなら、今回の制度拡充に関係なく、資産形成のコツとは長期・積立・分散の投資の三大原則だからです。特に、「積立・分散投資に適した一定の投資信託」が投資対象商品として担保されている「つみたて投資枠」では、なるべく早く始めることこそが資産形成のコツになるからです。

そうは言っても、「つみたて投資枠」の商品選びで迷うなら……そうですね~、それなら、みんなのお気に入り商品が参考になるでしょう。例えば、インデックス投信を投資先でランキングすると、(1)米国株→ (2)先進国株→ (3)世界株→ (4)日本株の順番※2になります。あと、もし金額で迷うなら、年齢に関わらず、月2万円※3にしておきましょうか。これが、今回のNISA制度拡充で、「つみたて投資枠」の利用を実はためらいがちに眺めている、そんな人への私からのアドバイスです。

※2 つみたてNISA対象商品のインデックス投信について、投資先ごとに純資産額を合計したランキング(2022年10月6日時点、筆者調べ)

※3 つみたてNISAの月平均買付額は約1.7万円(2022年7~9月、金融庁データをもとに筆者が試算)

新しいNISAで大切になるのは、まずはお付き合いを始めること。それに新しいNISAだと、別れても(=売っても)、また付き合う(=枠の再利用)ことができますし……、あっ、これってもしかして、新しいNISAを現役世代の皆さまにおススメするときの、私にとって新しい、鉄板のセールストークになるかもしれないですね(笑)。おあとが宜しいようですから、今日はこの辺で。

小出 昌平/大和証券 ライフプランビジネス部 担当部長

1993年4月大和証券入社。投資信託の開発や富裕層ビジネスの企画・運営業務などを経て、2015年より確定拠出年金業務に従事。現在は、iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金の周知・普及活動に携わりながら、自治体や事業会社の職場における金融・投資教育、ライフプラン教育の支援活動に取り組み中。

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