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iDeCoかNISAかの比較は意味がない!? 美点を活かす利用がオススメ

Finasee / 2023年2月24日 11時0分

iDeCoかNISAかの比較は意味がない!? 美点を活かす利用がオススメ

Finasee(フィナシー)

セミナーの現場で、また取材でも「iDeCoとNISA、どちらが良いですか?」や「どちらから始めるべきですか?」などのご質問頂くことがよくあります。しかし、実を言うと、これはあまり意味のない質問なのです。そもそも全く目的の異なる制度ですから、一概に比較することはできません。
 
iDeCoは「老後のための資産作り」、NISAは「投資を通じた資産形成を支援する制度」ですから、比較の対象にはなりません。ただ、「資産形成」という広い意味での目的は同じですし、国がそれを支援する意味で「運用益非課税」という恩典を付けている面でも同じなので、「どちらがお得?」のような質問になるのだと思います。ただ、本当にこの質問は多くいただくので、改めて、二つの制度の違いと利用法についてお話をしてみたいと思います。

iDeCoは老後資産形成制度であって投資優遇制度ではない

まずiDeCoは正式名称を「個人型確定拠出年金」と言います。公的年金を補完する「年金」、つまり老後に使うお金を自分で、貯蓄や投資を使って準備していくための制度です。

老後のために自助努力で資産形成を行うことを支援・促進するために、運用時だけでなく、積み立て・受け取りといったそれぞれの段階で税制優遇が与えられています。積み立てできる上限金額は老後資金の土台となる公的年金や、勤め先の企業年金が手厚い方ほど低く、逆にそうでない方には上限を大きくして多くの老後資金を準備できるようになっています。さらに、受け取り時に受けられる税制優遇も同様の配慮がなされています。つまり、誰でもが年を取ったら迎える老後に一定程度の資金を準備できるよう、機会の平等を重視した仕組みになっています。

そしてNISAとの大きな違いは、運用対象商品と原則60歳まで引き出せない引出し制限です。

運用対象商品は、投資信託だけでなく、預金などの元本確保型商品もあります。投資が苦手という方も税制メリットを受けながら老後資金準備に利用できます。原則60歳まで引き出せない点は、人間は目の前にお金があるとどうしても使ってしまいますから、老後という相当先に使うお金を準備する制度である以上、欠かせない、いい仕組みだと思います。さらに「iDeCoで保育園に入りやすくなる? NISAにはない掛け金控除のメリットとは」で書いたような運用上のメリットもあります。

NISAは投資した利益が非課税になる投資優遇制度

一方、NISAは正式名称が「少額投資非課税制度」ということからもわかるように投資した結果得られた利益に対する税制優遇の制度ですから、iDeCoとは異なり、投資をしなければ運用益非課税の適用とはなりません。あくまでも投資信託や株式のみが対象となります(つみたてNISAでは株式は利用できません)。

資産形成の目的は人さまざまで、もちろん老後資金作りのためでもあるでしょうが、それだけではなく人によっていろいろな目的があると思います。ですから、引き出しは自由、いつでも使いたいときに売却して引き出せる仕組みになっています。

2024年からの新しいNISAでは、年間の投資枠が、積み立て投資枠で120万円、成長投資枠も使えば合わせて360万円と非常に大きな投資枠になりますので、まとまった資金を非課税運用できるという特長もあります。

つみたてNISAの対象商品は長期の資産形成向きに厳選されている

何度か拡充が行われているNISAですが、2014年に今の一般NISAがスタートした時から個人投資家のすそ野を広げる、つまり、中間所得層に投資を通じた資産形成をしてもらうことを狙って制度は創設されました。しかし、それが少し違った使われ方をしたので、2018年に「積立」と対象商品が厳選された「つみたてNISA」という仕組みが作られました。対象商品は長期の積立・分散投資になるよう定められた要件を満たし、かつ金融庁に登録した投資信託・ETFだけです。2023年2月17日現在、対象商品として登録されているのは221本です。一般に売られている投資信託は約6000本ですから、そのうちのわずか4%に厳選されているといえます。

このつみたてNISAの対象商品の基準は、長期の積立・分散投資には必須のものとして新しいNISAのつみたて投資枠にも引き継がれます。改めて詳細を確認してみると、よく考えられた基準です。まず政令のレベルで、「テーマ」型など短期で運用を終える投資信託や、レバレッジをかけた短期トレード向きの投資信託、そして毎月分配型の投資信託が、長期の積立・分散投資に適さないとして、定義されています。

加えて、分散投資となるようベンチマークとなる指数を限定し、販売時の手数料を認めず、運用管理費用(信託報酬)についても運用の方法ごとに基準を定めました。

インデックス型投資信託の場合
①    国内資産を対象とするもの   信託報酬:0.5%以下  (税抜き)
②    海外資産を対象とするもの   信託報酬:0.75%以下(税抜き)

アクティブ運用投資信託の場合
①    国内資産を対象とするもの 信託報酬:1%以下  (税抜き)
②    海外資産を対象とするもの 信託報酬:1.5%以下 (税抜き)

この厳しい基準は、投資に不慣れな方、初めて投資をする方にとって、長期の資産形成に適さない投資信託を選んでしまうリスクを排除することができるのでとてもありがたいものです。

iDeCoの商品選びにNISAの基準を適用して賢く活用

このつみたてNISAの商品厳選メリットをiDeCoにも活かしてみてはいかがでしょうか? iDeCoの対象商品は2023年1月末現在で666本、こちらは、つみたてNISAのような具体的な基準はなく、法令上、それぞれの運営管理機関が専門的知見をもって老後資産形成に適した商品を選定することになっています。本来は、iDeCoも長期の資産形成という点では同じですから、専門的知見を正しく発揮すれば、つみたてNISA とほぼ同じ商品になるはずですが、3倍の商品数が物語るように、そうでもありません。

つみたてNISAの基準を満たさない、高い信託報酬の商品が未だ提示されている金融機関が地銀を中心にそれなりにあります。なかには、口座管理料を最安としてiDeCoに比較的熱心な運営管理機関の商品ラインナップに紛れ込んでいるケースもあります。今後、商品除外によってこのような商品はラインナップから外されていくものと思いますが、現時点では、利用者側で自己防衛するしかありません。

iDeCoナビの「運用管理費用(信託報酬)で比較」(毎月データ更新)を使っていただければ、つみたてNISAの信託報酬基準に達しているか、は手軽に確認していただくことができます。インデックス商品で最も低コストな商品と、それが買える運営管理機関を確認するなら「iDeCoナビ 信託報酬ランキング」をご活用いただき、有利に老後資産形成をして頂けたら幸いです。

大江 加代/確定拠出年金アナリスト

オフィス・リベルタス取締役。大手証券会社にて22年間勤務、一貫して「サラリーマンの資産形成ビジネス」に携わる。確定拠出年金には制度スタート前から関わり、25万人の投資教育も主導。確定拠出年金教育協会の理事として、月間20万人以上が利用するサイト「iDeCoナビ」を立ち上げるなどiDeCoの普及・活用のための活動も行っている。

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