「5万円の報酬」につられて闇バイトに手を出した結果…絶望の末路へ

Finasee（フィナシー）

最近、「闇バイト」で強盗をさせる手口なども横行しており、世間からの注目が集まっています。

闇バイトとは、違法行為をして高い報酬をもらうことをいいます。実際には違法行為や犯罪行為ですが、「バイト」と名付けることでハードルを下げられているのでしょう。

闇バイトには危険が多すぎるので、いうまでもなく絶対にやってはいけません。

今回は闇バイトの一環として携帯電話や銀行口座の名義貸しをしてしまった良太さん（仮名）の事例をもとに、闇バイトの実態を解き明かしていこうと思います。

良識のある皆さまは絶対に闇バイトに手を出さないよう十分に注意してください。

良太さん（20代前半）の場合

良太さんは20代前半のフリーターです。3件の勤務先を掛け持ちしていますが生活していくのがやっとで、収入は高くありません。しかも昨今の物価高でさらに家計が打撃を受けて、「お金が足りない」と感じることが多くなっていました。「もっとお金を稼げる方法はないものか」と常々考える毎日でした。

そんなとき発見したのが、闇バイトの誘いです。SNS上で「高額報酬」をうたう闇バイトを発見し、「簡単に今より高額な報酬をもらえるなら」と思って発信者に連絡を取ってみました。

連絡方法は全て通信アプリ

良太さんがSNSの投稿者に連絡を取ると、闇バイトの投稿者からは「テレグラムを使ってやりとりをしよう」と言われました。テレグラムとは通信アプリの一種で、通信履歴が残らないのが特徴です。

良太さんは深く考えずにテレグラムをダウンロードして闇バイトの雇い主とやりとりを続けました。すると雇い主は良太さんへ、携帯電話を契約して送るように言ってきたのです。報酬は5万円という条件でした。

良太さんは「携帯電話を契約すると、携帯電話代を払わないといけないのでは？」と考えて躊躇（ちゅうちょ）しましたが、闇バイトの雇い主は「契約料金などはこちらで払うのでそちらに請求はいかない」と説明しました。

良太さんは「携帯電話を契約して送るだけで5万円もらえるなら」と思い、軽い気持ちで携帯電話を契約して雇い主の指定した住所へ送ってしまいました。

その後、良太さんはまた闇バイトに手を出してしまいました。今度は銀行通帳を送るものです。新たに銀行口座を開設して雇い主に預金口座の名義を貸すと、高額な報酬がもらえる、というものでした。

良太さんはまた深く考えずに銀行口座を開設し、その情報を全て雇い主に伝えました。

携帯電話の料金が発生

その後も良太さんの生活は相変わらずでした。そして闇バイトの雇い主からは報酬が振り込まれず「おかしいな」と思っていた頃、携帯電話会社から身に覚えのない請求が来たのです。

当初は身に覚えがないので「何の請求？ 間違いではないのか」と思いましたが、よくよく考えてみると、以前に闇バイトで契約した携帯電話会社でした。

闇バイトの雇い主は「携帯代は発生しない」と言っていたのに、結局は良太さんのところに請求が来てしまったのです。良太さんは「話が違う」と思いましたが、闇バイトの雇い主とは既に連絡を取れなくなっていました。

少し怖くなって自分でも調べてみると、携帯電話の名義貸しは違法行為（携帯電話不正利用防止法違反）ということが判明しました。

とはいえ携帯電話会社に真実を話すと、携帯電話会社に違法行為が発覚し、告発されたり携帯を利用停止にされたりしてしまうかもしれません。困った良太さんは最終的に「やっぱり携帯会社に事情を言うことはできない」と考え、自分で使ってもいない携帯代を払うしかない、と思いました。

●警察から連絡、まさかの事態に…　続きは後編【闇バイト「一度やったらやめられない」恐るべき理由…20代男性の後悔】で紹介します。

福谷 陽子/法律ライター・元弁護士

京都大学法学部在学中、司法試験に合格。勤務弁護士を経て、法律事務所を設立し、約7年間独立営業。中小企業法務や債権回収、不動産の任意売却やカード破産などの案件を多数手がけた。悪徳商法、投資詐欺などの消費者問題にも深い知見がある。現在は弁護士時代の経験を活かして、各種の法律メディアにて執筆、監修、編集、さらに法律事務所のWebマーケティングなどに携わる。