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月給86万円が26万円に…巨額赤字で給与大幅カット、痛すぎる財政改革

Finasee / 2023年3月6日 7時0分

月給86万円が26万円に…巨額赤字で給与大幅カット、痛すぎる財政改革

Finasee(フィナシー)

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2007年3月6日、夕張市は「財政再建団体」へ移行します(法改正に伴い現在は「財政再生団体」)。企業でいう倒産の状態で、解消すべき赤字額は約353億円に上りました。炭鉱や高級メロンで栄えた夕張市は、なぜ破綻に至ったのでしょうか。

夕張市はなぜ財政破綻した?

夕張市が破綻した理由として、石炭産業の衰退がよく挙げられます。夕張市はもともと日本有数の炭鉱地でしたが、エネルギー需要が石油に移るに伴い、閉山が相次ぎました。石炭産業に代わる産業として観光に目を付けるも投資に失敗し、結果的に財政破綻したといわれています。

また市税収入がおよそ8億円の夕張市が、353億円もの赤字を抱えることになった要因の1つに「ジャンプ方式」があります。これは会計年度をまたがって貸し付けと償還を繰り返すことで、見かけの収支をよく見せる方法です。夕張市は当期に赤字が発生した場合、翌期の会計から借り入れることで補填し、翌期の不足はさらに翌々期の会計から借り入れることで補填していました。

これにより、見かけ上の収支は均衡しますが、実質的には赤字が繰り延べされたにすぎず、その額は雪だるま式に膨らみ続けることになります。夕張市のケースでは金融機関からの借入金も充てられたことから、膨大な負債を抱えることになりました。

夕張市は歳入の確保と歳出の削減を盛り込んだ財政再建策を取りまとめ、財政再建団体に移行します。財政再建策は、住民に増税などで負担を求め、市の職員も給与などを大幅に削減する厳しい内容でした。

【夕張市の主な財政再建計画(2007年3月)】

※1.2017年度より標準税率

出所:夕張市 財政再建計画書(2007年3月6日)

夕張市は当初3年間で約31億円の赤字を解消し、残りの約322億円を賄った「再生振替特例債」の償還も順調に進んでいます。このまま計画通りに返済が進めば2026年度に完済する見通しです。

【夕張市の再生振替特例債の残高】

夕張市「財政再生計画の実施状況(令和3年度)」より著者作成

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順調に再建の道のりを進む夕張市ですが、その代償は小さくありません。市民に痛みを求めた結果、夕張市の人口は大きく減少してしまいました。2006年に1万2000人を超えていた人口は、今や7000人を割り込んでいます。

【夕張市の人口】

夕張市「人口推移(住民基本台帳ベース)」より著者作成

拡大画像表示次は京都市が危ないって本当?

自治体の財政破綻といえば、近年は京都市がよく注目されるようになりました。

京都市は将来の市債返済資金である「公債償還基金」の借り入れや取り崩しで収支の赤字を賄っています。このため、公債償還基金は本来あるべき残高から約823億円不足する事態に陥りました(2021年度予算時点)。京都市は2019年8月に公表した「行財政改革計画(2021-2025)」において、2024年度に公債償還基金が枯渇し、財政再生団体へ転落する試算を示しています。

【京都市の公債償還基金の残高】

京都市「行財政改革計画(2021-2025)」より著者作成

拡大画像表示

先の行財政改革計画は、2021~2025年度で1630億円の財源を捻出し、公債償還基金の残高を1000億円以上に維持することを目指すものです。計画では社会福祉関連費などの歳出に上限を設けるほか、公共下水道事業への出資金の休止などが盛り込まれました。こうした取り組みもあり、京都市は2023年度予算において22年ぶりに収支の均衡を見込んでいます。

国債より利回りが高い地方債

京都市で見られたように、財政の健全化に取り組む自治体は少なくありません。そこで、投資対象として「地方債」を検討してみてはいかがでしょうか。地方自治体が発行する債券で、国よりは破綻する可能性が高いことから「国債」より高い利回りで発行されることが一般的です。

【2022年2月発行の主な地方債と個人向け国債】

出所:地方債協会「令和5年2月債発行条件等」および財務省「変動10年(第154回)の発行条件」

2009年4月に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が施行され、地方自治体にはより厳しい財政規律が課せられるようになりました。これも手伝って、地方債は比較的安全性の高い商品とされています。資産運用の入り口として個人向け国債がよく勧められますが、地方債もそのニーズにかなう商品といえるでしょう。なお、地方債は銀行や証券会社などで購入することができます。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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