化学兵器で6300人が被害…市民を無差別殺傷、“史上最悪”のテロ事件【3月20日はどんな日?】
Finasee / 2023年3月20日 7時0分
Finasee(フィナシー)
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いわゆる「旧統一教会」の問題が表面化し、宗教団体に対する視線が厳しくなっています。過激な活動を行うこともある宗教団体に対し、信仰の自由をどこまで保障すべきか大きな議論を呼んでいます。
宗教団体の規制については、「オウム真理教」の問題が顕在化した際もクローズアップされました。決定的となった出来事が、28年前の3月20日に起きた「地下鉄サリン事件」です。事件をきっかけに宗教法人に対する「質問権」が創設され、旧統一教会に初めて行使されました。
6300人が死傷した大事件オウム真理教は、1984年に設立されたヨガ教室が前身となった宗教団体です。人類救済を名目に殺人をも是とする過激な思想を持ち、武装化しながら徐々に勢力を拡大しました。
教団がより先鋭化したきっかけとされるのが国政進出の失敗です。オウム真理教は1990年、衆議院選挙に25人の立候補者を立てました。しかし1人も当選せず、これ以降オウム真理教は武力による国家転覆を考えるようになり、その手段としてサリンといった化学兵器の生成に走ったと指摘されています。以来、8人の死者を出した「松本サリン事件」をはじめ、化学兵器を用いたさまざまな事件を起こしました。
【地下鉄サリン事件までにオウム真理教が化学兵器を用いて起こした主な事件】
・1993年11月~1994年12月:サリンプラント事件
・1994年5月:弁護士殺人未遂事件
・1994年6月:松本サリン事件
・1994年12月:会社員VX殺人事件
・1994年12月:脱会支援者VX殺人未遂事件
・1995年1月:被害者の会会長VX殺人未遂事件
出所:公安調査庁 オウム真理教
そして1995年3月20日、オウム真理教は地下鉄車両内でサリンの散布に至ります。東京都心で、しかも午前8時という通勤ラッシュの時間帯だったことから、14人の死者を含む約6300人もの被害者が出ました。事件を主導した教祖や教団幹部が相次いで逮捕され、うち13人で死刑が確定します。化学兵器を使い一般市民を無差別に殺傷した事件に、日本中が震撼しました。
旧統一教会に初行使された「質問権」とはオウム真理教の事件を受け、宗教法人を規制する宗教法人法に新たに「質問権」が追加されました。宗教法人が以下3つのケースに該当する場合、その宗教法人に報告を求めることができるものです。
【質問権を行使できるケース】
・公益事業以外の事業で得た収益を、宗教法人のために使っていない疑いがあるとき
・宗教法人の要件を満たさない疑いがあるとき
・解散命令に該当する可能性があるとき
【宗教法人法第81条「解散命令」(一部抜粋)】
裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
1.法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
2.……宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたってその目的のための行為をしないこと。
出所:e-Gov法令検索 宗教法人法
いわゆる旧統一教会の問題を巡り、文部科学省は2023年1月までに旧統一教会に対して質問権を3度も行使しました。質問権の行使は旧統一教会が初めてで、それが連続して行われるということは異例の事態といえるでしょう。2023年2月には、永岡文部科学大臣が4度目の行使もあり得るという認識を示しています。文部科学省は旧統一教会からの報告を精査し、解散請求に踏み切るか判断する見通しです。
「宗教法人に税金がかからない」の誤解宗教法人を巡っては「非課税だから不公平だ」と批判する声がよく聞かれます。確かに宗教法人は法人税などが課税されないこともありますが、全く税金が発生しないわけではありません。
まず、宗教法人は宗教活動といった公益事業を行いますが、公益事業以外の事業を行うことも認められています。ただし、その収益は宗教法人のために使わなければいけません。
【宗教法人法第6条「公益事業その他の事業」(抜粋)】
1.宗教法人は、公益事業を行うことができる。
2.宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。
出所:e-Gov法令検索 宗教法人法
宗教法人が行う公益事業には原則として法人税が課されません。このことから、宗教法人は非課税という認識が多く広がっているのでしょう。
ただし公益事業以外の事業は「収益事業」といい、法人税が課税されます。また一定の事業は消費税も課税対象です。従って、宗教法人が非課税というよりは、公益事業が非課税になるという認識の方が正しいかもしれません。さらに住職や僧侶といった個人ベースでは、私たちと同じように所得税が課税されます。
このように、宗教法人も一般の事業会社も行うような事業を行えば、法人税や消費税が当然かかってきます。宗教法人だからといって、税を不正に免れているわけではないため注意しましょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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