たった5単語の文章に3億円の価値!? オークションで落札された“名文”
Finasee / 2023年3月21日 11時0分
Finasee(フィナシー)
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ツイッターはイーロン・マスク氏によって買収され、2022年11月に上場廃止となりました。フェイスブックやインスタグラムと並ぶ巨大SNSは、新たなステージへ進むこととなります。
3月21日はツイッターで最初の投稿がなされた記念日です。今日は世界最大級のSNS、ツイッターの歴史について振り返りましょう。
世界で最初のツイートが3億円超で落札ツイッターはジャック・ドーシー氏やエヴァン・ウィリアムズ氏らによって作られました。2006年3月21日、ドーシー氏が「just setting up my twttr(ちょうど今、ツイッターを設定している)」という短い文章を投稿し、ツイッターの歴史が始まります。この投稿をひも付けたNFT(非代替性トークン)はオークションにかけられ、2021年3月におよそ290万ドル(約3億1500万円)で落札されました。
ツイッターは2013年11月、ニューヨーク証券取引所に上場します。これも手伝って知名度がさらに向上し、ツイッターの利用者は全世界に広がりました。2022年4~6月期における1日あたりアクティブ・ユーザー数は2億3780万人にも上っています。利用者が増えるにつれ広告収入などが増加し、2021年の売上高は50億ドルに到達しました。
【ツイッターの売上高(2012~2021年) 】
Twitter「Quarterly results」より著者作成拡大画像表示
ただし、株価は順調とはいえませんでした。45.1ドルの初値を付けたツイッター株式は、2017年ごろまで低迷します。当時は利用者の数が伸び悩んだこともあり、投資家はツイッターに厳しい視線を送りました。しかしその後は利用者や売上高が増加したこと、コロナ対策で各国が金融緩和を実施したことなどから、おおむね上昇しました。
【ツイッターの株価(月足、2014年~2021年)】
Yahoo!ファイナンスより著者作成拡大画像表示マスク氏買収でツイッターはどう変わった?
2022年のツイッター株式は、イーロン・マスク氏に振り回される格好となりました。アメリカの利上げが意識され株価が下落していたところ、4月にマスク氏がツイッター株式の約9%を取得したことが判明します。さらにマスク氏がツイッターの買収を表明したため、同社株式は大きく値上がりしました。
しかし7月、マスク氏は突如としてツイッター社の買収を撤回します。ツイッターが公表するアクティブ・ユーザーの数に偽アカウントやスパムの割合が相当含まれていると判断したためです。ツイッターはマスク氏に買収を進めるよう求めたものの、同社株式は急落しました。
マスク氏とツイッターは法廷で争うかとみられていましたが、一転して10月にマスク氏が改めて買収の意向を示しました。これを受けツイッター株式は値上がりし、同月27日に約440億ドル(約6兆4400億円)で買収が完了します。翌日からツイッター株式の売買は停止され、翌月に上場廃止となりました。
【ツイッターの株価(日足終値、2022年)】
Yahoo!ファイナンスより著者作成拡大画像表示
買収を終えたマスク氏は、早速ツイッターの改革に乗り出します。経営陣や従業員の大規模な解雇を実施し、ツイッターの仕様も相次いで変更しました。
【買収後のツイッターで行われた主な仕様の変更】
・ツイート閲覧数の表示
・タイムラインの時系列表示とおすすめ表示の切り替え簡素化
・認証マーク「ツイッターブルー」の有料化
・投稿文字数の拡大
これらの変化がツイッターを発展させるか、現時点では分かりません。むしろ短期的には悪影響も出ているようです。買収後、同社の収益が大きく減少したと伝える報道が相次ぎました。矢継ぎ早に大きな変更がなされるツイッターに対し、広告を取りやめる企業が相次いでいるようです。
また、マスク氏は早くも将来の退任について言及しています。マスク氏は2022年12月、ツイッター上で自身の進退についてアンケートを取りました。「辞任すべき」とする結果が優勢だったことから、マスク氏は後任が見つかり次第退任することを表明しています。ツイッターを巡る混乱はまだ続くかもしれません。
マストドンやダムス…乱立する短文型SNSツイッターの変貌を見て、別の短文投稿型SNSへ移行する人が増えているようです。例えば「マストドン(Mastodon)」は話題を集めたSNSの1つで、報道ではツイッター買収後にユーザー数が約8倍に増加したと伝えられました。日本向けサーバーでは33万を超える人が利用しています(2022年2月21日時点)。
マストドンは分散型SNSの1つで、ブロックチェーン上でプラットフォームが構築される仕組みが注目されたと考えられます。ユーザーが主体的に運営するため、特定の企業や組織に管理されることがありません。同じく分散型SNSの「ダムス(Damus)」や「ミスキー(Misskey)」などが注目を集めています。
管理者がいる既存のSNSでは、アカウントの凍結といったルールが恣意的だと批判されることが少なくありません。分散型SNSの多くはツイッターを脅かすほどの規模はありませんが、SNSの在り方に一石を投じそうです。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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