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日中両政府「共通の政策」が大企業を経営危機に!? バブル崩壊も誘引

Finasee / 2023年3月27日 7時0分

日中両政府「共通の政策」が大企業を経営危機に!? バブル崩壊も誘引

Finasee(フィナシー)

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現在「総量規制」というと、借り入れを年収の3分の1までとする貸金業法上のルールを指すことが一般的です。しかしバブル経済の末期には別の総量規制が導入され話題を集めていました。

土地関連融資の制限でバブル崩壊のきっかけに

1990年3月27日、当時の大蔵省は「土地関連融資の抑制について」という通達を全国の金融機関に発します。内容は、土地にまつわる融資の伸び率を、総貸出の伸び率以下に抑えるよう求めるものでした。当時は「土地神話」と呼ばれるほど土地の値段が上昇しており、国はその抑制策として銀行融資の制限を打ち出したのです。

一般に土地取引は金額が大きく、多くは銀行融資が用いられます。それが制限されるということは、土地の買い手が減少することに他なりません。結果として、土地の過剰な取引は抑えられ、価格も落ち着きました。バブル崩壊は、この土地関連融資における総量規制をきっかけとして起こったといわれています。

しかし、国はその後の急落まで予想していたのかは定かではありません。ピーク時に1平方メートルあたり200万円を超えた商業地の地価公示(※)は、その後5分の1程度にまで下落しました。銀行は多くの不良債権を抱えることとなり、バブル崩壊の影響が長期化した原因の1つと考えられています。

※地価公示:国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公表する価格。一般に土地の取引価格の目安とされる。

【地価公示の推移(全国、1平方メートルあたりの金額)】

国土交通省「地価・不動産鑑定」より著者作成

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土地融資における総量規制は中国でも導入されました。習近平国家主席が示した「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という方針の下、中国は2021年から銀行の不動産関連融資に上限を設けたほか、お金を借りる側の不動産開発業者においても負債の年間増加率を0~15%の範囲で制限します。

中国版の総量規制は不動産市場を落ち着かせる効果はあったものの、中国の不動産大手「中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ)」の経営危機を招いたほか、地方政府の重要な歳入である土地使用権譲渡収入が低下するなど、副作用も目立ちました。

マンション投資の相続税が上がる? 税制改正大綱をチェック

日中の総量規制は、いずれも不動産市場を大きく縮小させました。不動産投資において、法改正は見逃すことができない重要な要素といえるでしょう。

その点で、日本のマンション投資家は戦々恐々としているかもしれません。2022年12月に公表された令和5年度税制改正大綱で、マンションの相続税評価額の見直しを検討することが盛り込まれたためです。

マンションについては、市場での売買価格と通達に基づく相続税評価額とが大きく乖離しているケースが見られる。……このため、相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。

出所:自由民主党 公明党 令和5年度税制改正大綱

相続税の計算において、不動産は建物と土地それぞれ個別に計算されます。前者は固定資産税評価額、後者は路線価(※)が基準となることが一般的です。これらは売却見込み額よりも低くなることが多いほか、賃貸物件の場合はさらに相続時の評価額を下げる仕組みもあるため、不動産投資が相続税の節税として勧められることが少なくありません。

※路線価:国税庁が毎年7月に公表する価格。地価公示などを参考に、一般に時価の80%程度を目途に算出される。

もっとも、これは不動産全体にいえる仕組みです。マンションのような区分所有の場合、一戸あたりに案分されるものの、相続税の計算は他の不動産と大きな違いはありません。なぜマンションだけが問題視されているのでしょうか。

背景にはマンションの値上がりがありそうです。国土交通省の「不動産価格指数(住宅)」を確認すると、マンションの価格は他の不動産よりも大きく上昇していることが分かります。

【不動産価格指数(住宅)の推移】

国土交通省「不動産価格指数」より著者作成

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この結果、マンションにおける相続税評価額と時価が大きく乖離する事例が生じてきました。国税庁が2023年1月に開催した有識者会議の公開資料によると、時価と相続税評価額が3倍以上も差があるケースもあったようです。

【時価と相続税評価額の乖離の事例】

出所:国税庁 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について 資料

国税庁は有識者会議などで得られた意見を参考に、相続税上のマンションの評価方法を見直す方針です。経緯を踏まえれば、相続時の評価額が引き上げられるような変更が検討されることとなるでしょう。節税効果が低下することになれば、市場価格にも影響があるかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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