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「投資は値下がりが怖い」は正しい? 日常の様々な“損”と比較しながら検証

Finasee / 2023年3月23日 11時0分

「投資は値下がりが怖い」は正しい? 日常の様々な“損”と比較しながら検証

Finasee(フィナシー)

自分の老後をイメージした際に抱く「不安」はお金が理由であることが少なくありません。その不安を和らげるには、基本的には「貯蓄」や「投資」が必要です。しかし、これらを継続的に実行するには、「自分の価値観を整理し、立ち位置を確認して、どうするかを考える」ことが大事とファイナンシャルプランナー・山崎俊輔氏は言います。

話題の著書『お金の悩みは4マスで考える』では、「自身の価値観を整理し、立ち位置を確認」するのに4マス図を活用して、“見える化”することを提唱しています。今回は、本書冒頭の「はじめに」、第1章「お金とココロの問題を解決したい」の一部を特別に公開します。(全3回)

●第2回:大切なのは“メンタル改善”ではない…! お金が確実に貯まる“ある仕組み”

※本稿は山崎俊輔著『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

投資で損をするのが怖い?

「貯蓄から投資へ」というフレーズがあります。国民の貯蓄を投資へと促す政策が続いています。NISAやiDeCoはその一つです。強制的に国民に投資(株式投資・投資信託など)させることはできないので、税制優遇などのメリットを示すことで資金移動を誘導しているわけです。

一方で、投資と言えば元本割れの可能性があります。中長期的には高い利回りを期待できると言われても、それでも投資で値下がりすることが怖い人もいるでしょう。短期的には20〜30%くらいの値下がりはしばしば起こります。

そこで投資の「損」について、4マスで人生で起きるいろんな損と比べてみるのはいかがでしょうか。投資で生じる損は、案外怖いものではないのかもしれません。

「貯蓄から投資へ」と言われても値下がりが怖くてやれない

投資(株式投資・投資信託など)にかぎらず、日常生活でもよく「損をした」と言います。「この映画、大はずれだったわ! 見て損した! 途中で席を立とうかと思った」とか「この新商品のお菓子、おいしくない。損だ……」と言うとき、その支出はもう戻ってきません。これは「投資以外で損をする&取り戻せない」パターンです。

最近ではメルカリなどのフリマアプリがあるので、服などは、買って失敗しても売りに出すことで、何割かの損を取り戻せることもあります。しかし全額が戻ってくることはまずありません。こちらは「投資以外で損をする&取り戻せる可能性あり」のパターンということになります。

「投資で損をする」場合、「値下がりしたところで売る」ことを「損失確定」という言い方をします。これがまさに「取り戻せない」損ということになります。ちなみに10%損して売った場合、買い直して10%値上がりしても元には戻りません(100が90に減ったあと、10%増えても99までしか戻らない。さらに売買手数料などがかかるため99より低くなる)。

「やっぱり投資も損は取り戻せないじゃないか」と思うかもしれませんが、実は投資の損は「取り戻せる可能性があり」ます。株価が短期的に下がったり上がったりするといっても長期的には経済は成長するので、回復していく可能性が高いからです。

市場は長期だと成長し続けている

日本に近代的な証券取引所ができてから140年以上たちますが、全期間を通じた市場は長期だと成長し続けている株価指数を明治大学のプロジェクトが算出したところ、なんと584万倍になっていたそうです。この間の物価の上昇を割り引いても強力な上昇です。

しかし、短期的には1970年代の石油ショックや2000年代のリーマンショックなど、「○×ショック」のような出来事が何度も起きては20〜30%の値下がりが起きる事件を繰り返しています。それでも、経済は回復と成長を繰り返して、結果的に
は成長(上昇)しているのです。

株式や投資信託が、購入時の価格より値下がりした状態を「含み損がある」といいますが、経済ショック時にはその状態になりがちです。しかし、今すぐお金が必要でないなら売らずに経済が回復するまで待つことで、含み損のマイナス分は自然に消えていくことが大いにあります。

時間を味方につけることができれば値下がりは怖いものではなくなるはずです。

債券、投資信託は、紙くずにはならない

投資の心配で「大事なお金が紙くずになったらどうしよう」というものがあります。借金を抱えたらと心配をする人もいます。そんなあなたは映画やドラマの見すぎです。

まず「借金をして投資をしない」のは原則です。そのうえで「投資したお金が紙くずになる」はあるのかというと、投資のやり方によります。債券、投資信託などは紙くずになることはまずありません。株式もどんなに値下がりしたとしても半値くらいで売り抜けることができることがほとんどです。

ですがもし、あなたのお金がゼロになるとしたら、それは「投資」ではなく「投機」、つまりギャンブル的なやり方を使ってお金を増やそうとしているからです。

4マスの軸の一つは、「投資/投機」です。両者は、「お金を増やす」という目的は同じかもしれませんが、取っているリスクの大きさとアプローチが違います。

投機は基本的にはゼロサムゲームなので、誰かの利益と誰かの損失が「足してゼロ」になります。手数料を考えれば実質マイナスかもしれません。FX(外国為替証拠金取引)やビットコインの売買がこれにあたります。またドルの売買そのものは新しい価値を生み出しているわけではありません。

投資は、株や債券を通じて、社会の成長に関わります。国が債券を通じて集めた資金で社会資本を整えたり、企業が株式発行を通じて集めた資金で新商品を開発・販売することは、世の中を豊かにする一助としてお金が動くということです。その結果として企業が成長し、あなたは配当や利払いを受けたり、株価値上がり後の売却益を手に入れることができます。

これはプラスサムといいます。投資を通じてお金が動くと、全体がプラスにふくれ上がっていくわけです。ゼロサムとプラスサムの違い、一見すると同じように見えますが、むしろ本質的に異なるといってもいいでしょう。

投機はせず、投資をしよう

最近では雑誌やネットの広告記事でFXやビットコインなどの暗号資産取引が「投資」のように説明されています。初めての投資の選択肢としてFXをあげる人もいます。

FXをスタートするのはとても簡単です。しかし、「資産運用」という言葉の意味合いを「投資」と表していますが、本質はちょっと違うわけです。

FXは投じたお金がゼロになることがありますが(その分、海外のプロなどに儲けさせている)、株式や投資信託での投資がいきなりゼロにはなりません。

CMが多いということは、FX業者が相当儲けている、ということでもあります。無理にFXに手を出して「投機」で大やけどをするくらいなら、「投資」をしたほうがいいと思います。

投資のほうが管理も楽です。FXはあなたがうたた寝している間に為替レートが急変動して資金が一気になくなることもありますが、投資ではまずそんな心配はありません。

プラスサムのほうに、あなたのお金を回してみてください。

『お金の悩みは4マスで考える』

山崎俊輔 著
発行所 ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価 1650円(税込み)

山崎 俊輔/ファイナンシャルプランナー

1972年生まれ。フィナンシャル・ウィズダム代表。1995年中央大学法学部法律学科卒業後、企業年金研究所、FP総研を経て独立。確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。著書『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)、『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。

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