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投資の神様、ウォーレン・バフェット氏に聞いた「良い会社の条件」とは?

Finasee / 2023年3月17日 11時0分

投資の神様、ウォーレン・バフェット氏に聞いた「良い会社の条件」とは?

Finasee(フィナシー)

ウォーレン・バフェット氏をはじめとする投資のレジェンドたちの教えは、投資信託を中心とした“コツコツ長期資産形成派”にも、役立つヒントがたくさん。

約30年間、社内勉強会「バフェット・クラブ」にて、レジェンド投資家たちの投資哲学を講義してきたスパークス・グループ代表取締役社長 阿部修平氏が、一般の個人投資家向けにもわかりやすいように講義内容を再構成したのが話題の書籍『バフェット・クラブの金言 漫画でわかる「億万長者の投資戦略」』。

今回は同書より「はじめに」と第1部の一部を特別に公開します(前後編の前編)。

※本稿は阿部修平著『バフェット・クラブの金言 漫画でわかる「億万長者の投資戦略」』(日経BP)の一部を再編集したものです。

バフェットさんに会ったときに彼が言ったこと

幼い頃、コーラを売って小遣い稼ぎをした少年が大人になり、全資産の3分の1をコカ・コーラ株に集中投資し巨万の富を得る。20世紀を代表するアメリカンドリームの具現者で、今でも大好物のチェリーコークを1日に5本も飲むというウォーレン・バフェットさん。彼の成功物語は投資家の憧れです。

かく言う私もバフェットさんにお目にかかりたいと思っていましたが、2018年、親しい友人の紹介でそれが実現しました。場所はバフェットさんお気に入りのネブラスカ州オマハのレストランでした。

そのレストランの名物料理である「Tボーンステーキ」を食しながら、私は遠慮がちにこう話しました。
「体重が気になるので、私はチェリーコークではなく、ダイエットコークにさせてもらいます」
すると、バフェットさんはこう答えたのです。
「Thankyou! ダイエットコークのほうが10%以上、粗利が高いんだよ」

健康志向によるゼロカロリー飲料市場激化の中で、コカ・コーラ離れの流れを打破し、収益向上を目指す要がダイエットコークです。それを目の前で美味しそうに飲んで見せる私は、コカ・コーラの大株主であるバフェットさんの目からみれば、良きコンシューマー代表と映ったのでしょう。

企業に内在する価値に投資する

バフェットさんは投資を行う企業に対し、次のように述べています。
「今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいい。その会社が10年、50年経っても『欲しい』と皆が思うものを作っているかどうかが重要だ」

バフェットさんは一時的な成長率などに惑わされずに、企業に内在する価値に対してこそ投資をすべきと考えています。株式投資は企業の一部分を保有することです。だから自らがよく知り信頼できる企業に投資します。

その典型がコカ・コーラです。コカ・コーラのブランド力は、世界に類を見ないといえるでしょう。先進国に住む者であれば誰もが知っていて、発展途上の国にあっては豊かさの象徴となります。バフェットさんは「コカ・コーラを飲んだ幸福感は健康上の利益に勝る」(この「名言」までは、私は同意いたしかねますが)、とまで語っています。その真偽はさておき、人々を幸せな気持ちにさせる飲料を作り続ける企業の株は、持ち続けるに値する株といえるのです。

バフェットさん率いるバークシャー・ハサウェイが、コカ・コーラの株式取得を開始したのは1988年のこと。60年連続増配を実現する同社に対し、バフェットさんの信頼はゆるぎないものがあります。

優秀な経営者を見つけて、集中投資し、長期保有する

バフェットさんとの面会は、3時間半に及びました。5年後、10年後の世界を展望し熱く語るバフェットさんに、米国資本主義の良心を感じ、改めて襟を正す思いでした。

昼食の前には、オフィスにも伺いました。数十年前から使い続けるバークシャー・ハサウェイのオフィスは、社員はわずか10数人、会議室は8人しか入れませんでした。普段、バフェットさんは、ほとんど人と会わず、ここで企業のアニュアルリポートや本を読みながら未来を展望しているのだそうです。「良い会社はそう多くはない。だからこそ、見つけたら集中投資する」。これがバフェットさんの信条です。

では、どんな会社が良いのかと聞いたら、「私が今でもバークシャー・ハサウェイが大好きなように、自分の企業が大好きな社長を私は探している」との答えが返ってきました。

株式投資における最も有効な戦略は、その企業の長期的な成長の果実をシェアする優秀な経営者を見つけて、集中投資し、長期保有することです。一般の投資家が、バフェットさんのように企業のオーナーになるのは無理かもしれませんが、バフェットさんと同じような視点で、優秀な経営者や企業を探し、長期投資をすることはできるはずです。

投資のレジェンドたちの教え

本書のもとになったのは、スパークスの社内勉強会「バフェット・クラブ」における私の講義です。私は約30年前の創業時から「バフェット・クラブ」を続けてきました。この勉強会にこそ、スパークスが日本のバブル崩壊やリーマンショックなどの金融危機を克服して、成長を続けてきた原動力があります。

「バフェット・クラブ」は、プロとして株式に投資するスパークスの社員を対象にしたものですが、そこで私が教えていることの柱は、バフェットさんの戦略のような普遍的な投資の考え方です。

本書は、それを一般の投資家の方にもわかりやすいように再構成して、さらには4コマ漫画でポイントを説明しています。バフェットさんをはじめとする「投資のレジェンド」の教えを中心に、株式投資で成功するための王道について解説していきます。

今の投資環境で勝つために忘れてはいけない視点なども取り上げていきます。それは私たちスパークスが大事にしていて、30年以上にわたって投資の世界を勝ち抜いてきた実績のベースとなる考え方です。

「バフェット・クラブ」という名前には、バフェットさんの「お墨付き」をいただいています。あるときバフェットさんに「私の会社の社内勉強会は『バフェット・クラブ』といいます。お名前を使わせていただいていますが、いいですか?」と聞いたら、「もちろんOKだ」とおっしゃっていただきました。

それでは「バフェット・クラブ」の講義を始めていきましょう。

 

●後編(この数十年、バフェット氏がポートフォリオに大きく加えたのは「アップル株のみ」の深い理由)では、バフェットさんの名言を深掘りします。

バフェット・クラブの金言 漫画でわかる「億万長者の投資戦略」


阿部修平 著
発行元 日経BP
定価 1650円(税込)

阿部 修平/スパークス・グループ代表取締役社長 グループCEO

1978年上智大学経済学部卒業。1980年バブソンカレッジでMBA取得。帰国後、野村総合研究所入社。企業調査アナリストとして日本株の個別企業調査業務に従事。1982年ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル(ニューヨーク)に出向し、米国機関投資家向けの日本株セールス業務に従事。1985年ニューヨークでアベ・キャピタル・リサーチを設立。ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドなど欧米資金による日本株の投資運用・助言業務を行うとともに、欧米の個人資産家の資産運用を行う。1989年に帰国後、スパークス投資顧問(現スパークス・グループ)を設立。2001年上場。2005年ハーバード大学ビジネススクールでAMP修了。近著に、『トヨタ「家元組織」革命』(リンクタイズ)、『株式投資の王道 プロの目利きに学ぶ「良い会社」の見分け方』(共著、日経BP)等。

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