「親に似てない」孫を祖父が露骨に“ひいき”…激怒、苦悩、大修羅場へ
Finasee / 2023年3月8日 11時0分
Finasee(フィナシー)
久保田雄司さん(仮名、以下同)は群馬県内の自動車部品工場に勤務する43歳。兼業農家の跡取り息子で、両親、妻の翠さん、長男の悠真君と5人で暮らしています。
悠真君は地元の中学校で成績が学年トップを争う秀才だといい、久保田さんの自慢の息子です。その悠真君が学業のライバルであり親友の影響を受けて海外ボーディングスクールの日本校に進学したいと言い出したことから、久保田家に3年間で1500万円近い教育資金をどう手当てするかという問題が生じました。
翠さんは地元の銀行から教育ローンを借りてでも悠真君の望む教育を受けさせるべきと主張します。同居する久保田さんの父親にとっても悠真君は自慢の孫、「悠真のためなら援助は惜しまない」という姿勢です。しかし、年末年始で帰省していた久保田さんの弟がその話を聞いて「身分不相応」と激怒、悠真君も自分がボーディングスクールに進学していいのか悩んでしまいます。
そんな一家の救世主となったのが、弟の妻(義妹)から紹介されたお金の専門家でした。「悠真の進学問題だけでなく、何も知らなかった私たち夫婦に資産運用の大切さとアプローチを教えてくれた」と感謝しきりの久保田さんに、問題解決に至るプロセスを振り返ってもらいました。
〈久保田雄司さんプロフィール〉
群馬県在住
43歳
男性
会社員(自動車部品会社勤務)
両親、専業主婦の妻、長男と5人暮らし
金融資産300万円
自慢話になりますが、息子の悠真は親に似ず、幼少時から聡明でした。近所の友達が戦隊シリーズのヒーローたちに夢中になっている中で、ひとりだけ子供向けの図鑑を広げているような子だったのです。私たちがろくに調べもせずいい加減なことを言うと、「それ、違うよ」と指摘されることもしばしばでした。
ライバルの影響で「ボーディングスクールに進学したい」小学校に入ってから通知表はほぼオールA(3段階評価の3)。同居する親も「悠真はまさに『トンビがタカを生む』だな」と相好を崩し、高価な英語の教材を買ったり、塾に通ったりする費用を援助してくれました。
中学生になった悠真にはライバルが現れました。同じ英語部の漣(れん)君です。小学生の頃から東京の有名な塾に通っていたという漣君は、全国統一中学生テストで2ケタの順位を取るくらい優秀です。地方の子供と思えないくらい髪型や服装、持ち物も洗練されていて、聞けば、ご両親とも開業医ということでした。悠真と漣君は学年トップを争う良きライバルであり親友ともいえる仲で、試験前などは一緒に図書館で勉強したりしているようでした。
そんな自慢の息子から、「相談したいことがあるんだけど」と言われたのは昨年秋のこと。進路に関する話でした。「漣君は中学校を卒業したらボーディングスクール(全寮制の国際高等学校)に入って、その後は海外の大学で勉強したいと言っている。できれば、自分も漣君と同じボーディングスクールを受験したい」というのです。
私も妻も、ボーディングスクールに関する知識がほとんどありませんでした。早速調べてみたところ、漣君が目指しているのは海外のボーディングスクールの日本校で、全寮制ということもあり、学費が年間500万円近くかかることが分かりました。恥ずかしい話ですが、手元の預金は300万円程度しかありません。親に頼めばある程度の援助は望めるかもしれませんが、その後の大学進学も考えると、かかるお金は軽く2000万円を超えそうです。
悠真の教育に前のめりな妻は、地元の銀行に最大3000万円の教育ローンがあることを調べてきて、「お義父さんに相談してうちの土地を担保に入れれば、大学の資金も合わせて3000万円くらいは借りられると思う。悠真が行きたいと言うんだから、行かせてあげましょうよ」とせっつきます。「うちは住宅ローンがあるわけでもないし、3000万円のローンくらいは返していけるでしょ?」と。
親も「悠真が行きたいなら援助しよう」と言ってくれましたが、思わぬ横やりが入りました。正月に帰省した弟が母から悠真の進学話を聞いて異を唱えたのです。
「父さんも母さんも悠真、悠真というけれど、孫は悠真だけじゃないんだよ。少しはうちの娘たちに気を使ってくれてもいいんじゃないの?」
義妹から思いがけない話が金融機関に就職した弟は都内にマンションを購入し、2人の娘を私立に通わせています。義妹もフルタイムで働いていて、懐具合はわが家よりずっといいはずです。恐らくは金銭的な問題よりも父母の露骨な悠真びいきが気に障ったのでしょう。しかし、真に受けた父が「悠真は特別だ。これだけ賢い子はわが家の宝だから、本人の望む教育を受けさせてあげればいい」と返したため、その場の雰囲気が険悪になりました。
「父さんは知らないだろうけれど、ボーディングスクールというのは海外の大金持ちの子弟のための学校だよ。こんな田舎の工員の息子が通うのは身分不相応でしかない」。弟は悠真もいる前できつい言葉を吐くと、妻子を連れてさっさと帰路についてしまいました。
一方、この一件で悠真自身にも悩みが生じたようでした。「僕は地元の公立高校に行くべきなのかな」と漏らすのを聞くと、自分にせめて弟並みの経済力があったらと情けなくなりました。
義妹から電話があったのは、そんな時でした。
「お義兄さん、この前はすみませんでした。悠真君の前で大人げなかったと本人も猛省しています。その件で差し出がましいかもしれませんが、専門家を紹介できたらと思ってお電話しました。私が銀行に勤めていた時の同期が今ファイナンシャルプランナー(FP)をしています。教育の分野に詳しいので、よろしければ相談してみませんか?」
●驚きの提案と助言に夫婦で感動? 続きは後編【「工員の息子」心無い言葉を吐かれ苦悩…親が取った行動で人生大逆転】で紹介します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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