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半導体生産で世界トップへ!「ものづくり大国」日本が再び覇権を握る

Finasee / 2023年4月2日 11時0分

半導体生産で世界トップへ!「ものづくり大国」日本が再び覇権を握る

Finasee(フィナシー)

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シャープを買収した「鴻海(ホンハイ)精密工業」や、熊本県に工場を新設する「TSMC」など、台湾エレクトロニクス大手の日本進出が相次いでいます。どちらも世界的な企業ですから、身の回りでも話題に上ることが増えているのではないでしょうか。

4月2日は、シャープと鴻海精密工業グループが資本契約を締結した日です。これにちなみ、シャープが鴻海精密工業に買収された経緯と、TSMC進出で潤う熊本県について押さえておきましょう。

電機大手が初めて外資に買収

シャープが鴻海精密工業に買収されたのは、シャープが業績不振に陥り、上場廃止の可能性が高まったためでした。

シャープは液晶テレビやスマートフォン向け液晶パネルの販売が伸びず、純資産を減らし続けていました。特に2016年3月期は巨額の赤字を計上したため、ついに債務超過に陥ります。

取引所の定めから、純資産がマイナスの企業は上場を維持することができません。シャープは債務超過の解消を目指し、鴻海精密工業に出資を求めて交渉します。一時はシャープの債務リスクなどが懸念されるなどして交渉は難航しますが、2016年4月2日に鴻海精密工業グループがシャープ株式を約3888億円分取得することで合意しました。この結果、シャープは債務超過を解消し、同時に鴻海精密工業グループの子会社となったのです。

買収後、シャープは業績の改善にも成功しました。調達した資金でディスプレー事業への投資などを実施し、2018年3月期に最終黒字を確保します。一時は2000億円を超える赤字を計上していただけに、まさにV字回復といえるでしょう。これは親会社となった鴻海精密工業グループの会長、郭台銘(かく・たいめい)氏の経営手腕によるところが大きいとみられています。

【買収前後の純資産と純利益(2014年3月期~2019年3月期)】

シャープ「決算短信」より著者作成

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【シャープの直近業績】

※2023年3月期(予想)は第3四半期時点における同社の予想

出所:シャープ 決算短信

【シャープの株価】

Investing.comより著者作成

拡大画像表示TSMC進出に沸く熊本県

2021年10月、半導体の受託生産で世界トップクラスのシェアを持つTSMCは、熊本県に半導体工場を建設すると発表しました。TSMCは最先端半導体の生産も手掛けていますが、熊本県では汎用的な製品を製造するとみられています。工場は2023年9月に完成し、2024年から操業を開始する予定です。

TSMCの進出を受け、熊本県は「くまもと半導体産業推進ビジョン」を策定し、半導体関連企業の積極的な誘致に乗り出しました。計画は2032年までの10年間で、半導体関連製品の生産額を1兆9315億円にまで増やすことを目標としています(2019年の生産額:8290億円)。

半導体は完成までに非常に多くの工程があり、1社が単独で生産するためには大規模な工場を用意しなければいけません。投資額が巨額になることから、半導体は複数の企業が分業して作ることが一般的です。また生産を外部に委託し、自社では工場を持たない「ファブレス」の半導体企業も少なくありません。

このような構造となっていることから、半導体は産業集積が進みやすい業界の1つです。事実、熊本県では半導体関連企業の進出が相次いで起こりました。

【熊本県における半導体関連企業の誘致件数】
・2020年度:7件
・2021年度:29件
・2022年度:43件
※2022年度は12月12日時点

出所:熊本県 広報誌「県からのたより(2022年12月号)」

報道によると、TSMCは熊本県に2つ目の工場を建設すると伝えられています。報道が事実なら、熊本経済はさらに盛り上がりそうです。

半導体企業「ラピダス」とは

半導体に関しては、最近は「ラピダス」という名前をニュースなどでよく見聞きするようになりました。

ラピダスは2022年8月に設立された新しい会社です。ただし、ただの新興企業ではありません。キオクシアやソニーグループといった大企業8社が出資して設立されており、会長と社長にはそれぞれ東京エレクトロンの元社長と米ウエスタンデジタル日本法人の元社長が就任しています。

【ラピダスへの出資企業】
・キオクシア
・ソニーグループ
・ソフトバンク
・デンソー
・トヨタ自動車
・日本電気
・日本電信電話
・三菱UFJ銀行

出所:ラピダス 会社概要

ラピダスは、日本で最先端半導体を生産するため設立されました。日本は半導体に関連する素材や製造装置などでは大きなシェアを持ちますが、半導体そのものの製造では米国や台湾、韓国などに後れを取っています。特に電子機器の頭脳に相当する「ロジック半導体」の先端分野では、日本には製造工場すらありません。

これを打開するため、ラピダスが設立されました。米IBMと最先端半導体の共同開発契約を締結し、日本国内における量産体制の確立を進めます。2023年2月には、工場の建設予定地として北海道千歳市を選定しました。当面は先端半導体の開発を推進し、2025年には試作ラインの、2020年代後半には量産ラインの完成を目指しています。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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