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コロナ、紛争、貿易摩擦…株価暴落時、焦らず取るべき“ある行動”

Finasee / 2023年3月20日 17時0分

コロナ、紛争、貿易摩擦…株価暴落時、焦らず取るべき“ある行動”

Finasee(フィナシー)

ニッセイ基礎研究所のレポート「研究員の眼」で、2023年2月の投信動向に関する記事が公開されています。日本籍追加型株式投資信託の資金流出入を推計してまとめた内容です。

資金流出入の傾向は?

同レポートによると、2月の資金流入は全体で4100億円となり、1月の5200億円からスローダウンしています。資産クラス別にみると、外国株式ファンドへ最大で1900億円の資金流入が、外国債券ファンドには1700億円の資金流入があったとされています。外国株式ファンドへの資金流入は、1月に比べて1300億円減少した一方で、外国債券ファンドへの資金流入は800億円の増加になったということです。

また、2月に外国債券ファンドへ大幅な資金流入があった理由として、先行きに対する不透明感が高まっている点と、先進国債券の利回りが復活してきた点が挙げられています。

ここ数年、経済活動の足かせとなっていたパンデミックとは、徐々に共生していく流れになりました。そうして世界的に経済活動は回復基調にあるものの、ウクライナとロシアの紛争は解決の見通しが立たず、それによる資源・エネルギー価格の高騰は現在も続いています。さらに、米中間の貿易摩擦、中国による台湾への軍事圧力など地政学リスクも高まってきており、アジア情勢は緊迫を強いられています。

このような状況下では、資産運用における「リスク回避行動」が強く出てくるものです。外国株式ファンドへの資金流入額が大幅に減少する一方、外国債券ファンドへの資金流入額が大幅に増えたのは、こうした事情があったと考えられます。

また、各国の長期金利は、先進国の物価上昇によって上昇傾向をたどっています。米国10年国債の利回りは、2022年1月時点では1.5%台で推移していましたが、現在は4%前後まで上昇してきました。

こうしたデータから考えると、確かに外国債券への投資妙味が高まっているように見えますが、果たして本当にそうでしょうか?

「外国債券ファンド人気」に疑問が生じるワケ

同レポートの筆者は、外国債券ファンドの投資先としての魅力に疑問を呈しており、その理由として「信託報酬率の高さ」を挙げています。

現状、信託報酬率が年1%を超えているファンドが7割を占めており、「株式より価格変動性が小さい代わりに収益性が劣ることは確か」な外国債券ファンドで、株式ファンド並みの信託報酬率を設定するのは、コストと収益性が見合っていないと指摘しているのです。

しかしながら、信託報酬率の高さ以外にも、外国債券ファンドの魅力に疑問が生じる理由があります。それは、金利上昇に伴うリターンの悪化の可能性です。

同レポートでは、外国債券ファンドが人気を集めている要因のひとつとして、「先進国債券の利回りが復活してきた」ことを挙げていますが、利回りの上昇はすなわち組入債券の価格下落を意味します。

そして、外国MMFのように短期債を中心に組み入れている投資信託であれば、金利水準の上昇によって収益性の向上を期待できますが、それ以外の外国債券を組み入れたファンドは、総じて償還までの期間が長い債券を組み入れているケースが多く、この手の債券は金利が上昇すると債券価格が下落するため、基準価額を押し下げる要因になります。

金利の上昇に対するポートフォリオの価格感応度を示す数値に「デュレーション」があります。これは外国債券ファンドの月次レポートなどに表示されており、単位は「年」で示されるものですが、仮にデュレーションが6年であれば、金利が1%上昇するとポートフォリオの価格は6%程度下落することになります。

もちろん、今後金利が低下に向かえば、デュレーションが長いほどポートフォリオの収益性を改善させる効果が期待できますが、金利上昇圧力が完全に払しょくされない現状においては、リターンを悪化させることにつながってしまうのです。

先行きが不透明…投資はどう考えるべき?

それに、先行き不透明感が強まっているから外国債券ファンドを購入しているのだとしたら、その考え方をまず改めた方がいいでしょう。

そもそも論で言うと、マーケットの先行き不透明感が強まったとしても、自分自身が不安に駆られないような比率でリスク資産への資産配分比率を決めて投資するのが、正しい分散投資の在り方だからです。

先行きの不透明感が強まっているからと、マーケットのタイミングを見計らって保有資産の組入比率を変更したとして、その判断が必ず正しいとは限りません。株式ファンドの比率を下げた途端、逆に株価が他の材料で値上がりしたら、組入比率の変更がむしろ仇になる恐れがあります。

株式市場が下げた時に取るべき行動

また、株式市場が下げた時に取るべき行動は、株式の投資比率を引き下げるのではなく、むしろ安くなったところで株式を買い増し、組入比率の最適化をはかることです。

たとえば100のポートフォリオのうち、株式に50、預金に50、つまりそれぞれに50%ずつ投資するのを基本の組入比率にしたとしましょう。ところが株価の下落で株式40、預金が50になると、この組入比率が変わってしまいます。

この場合、預金から5を取り崩して株式を買い、株式45、預金45にすることで、株式50%、預金50%という基本の組入比率に戻します。これをリバランスと言います。長期投資をする際には定期的にリバランスを行い、組入比率の最適化をはかることが肝心です。

外国債券ファンドの必要性

さらに言えば、個人が資産運用をする際に、本当に外国債券ファンドを組み入れる必要があるのかということも、改めて考える必要があります。

恐らく、外国債券ファンドを組み入れる人は「ポートフォリオの安定性を高めるため」と考えるのかもしれませんが、大概の人は投資信託だけで資産を保有している訳ではないはずです。外国株式ファンドや国内株式ファンドの他に、ある程度の現預金も持っているのではないでしょうか。

つまり、保有資産全体で見れば、ポートフォリオの安定性を高めるための措置を現預金で実現していると考えられます。そのため、一定額の現預金を保有しているのであれば、個人がリスク分散を気にして外国債券ファンドを購入する必要はほとんどないとも言えるのではないでしょうか。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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