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取引金額「1京円」の巨大市場で詐欺被害 破産に逮捕…約8千人が涙【4月8日はどんな日?】

Finasee / 2023年4月8日 11時0分

取引金額「1京円」の巨大市場で詐欺被害 破産に逮捕…約8千人が涙【4月8日はどんな日?】

Finasee(フィナシー)

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FX(外国為替証拠金取引)はポピュラーな商品の1つです。特に日本では人気が高く、世界のFX取引で大きなシェアを握っています。

そんな人気のFXですが、実はこれまで何度か詐欺に用いられてきました。2008年4月8日に経営破綻した「エフ・エー・シー」が起こした事件もその1つです。自身が被害に遭わないためにも、どのような手口が用いられたのか振り返ってみましょう。

FXで運用するとうたい130億円を不正に集める

エフ・エー・シーは2000年に設立された福岡市のコンサルティング会社です。2004年後半ごろから資金を集め始めますが、そのうたい文句は60%もの配当利回りでした。

エフ・エー・シーは、一口100万円で「企業コンサルティングセット」を購入すると、毎月5万円の配当を受けられると勧誘します。20カ月で集めた資金が全て払い出される計算ですが、エフ・エー・シーは専門家によるFX運用で配当を維持していると説明していました。この手口でエフ・エー・シーは約8000人からおよそ130億円を集めます。

しかし、エフ・エー・シーは集めた資金を代表者の個人的なローン返済や高級外車の購入費などに充て、実際にはほとんど運用を行っていませんでした。またわずかに行われていた運用では、多額の損失を計上していた事実が発覚します。

エフ・エー・シーは2007年に被害者弁護団によって破産が申し立てられ、2008年4月に破産手続きの開始が決定されました。代表者も2007年に起訴され、2013年に組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で懲役7年半の実刑が確定しています。

繰り返される巨額詐欺…防ぐにはどうする?

エフ・エー・シーのように高配当をうたう投資詐欺はこれまで何度も繰り返され、そのたびに大きな被害が生じてきました。

【主要な投資詐欺事件の被害額】
・安愚楽牧場事件:約4300億円
・エル・アンド・ジー事件:約1260億円
・ワールドオーシャンファーム事件:約850億円
・平成電電匿名組合事件:約487億円
・近未来通信事件:400億円

出所:消費者庁 破産手続が開始された近年の詐欺的な大型消費者被害事件に係る消費生活相談件数の推移について

大まかな期待リターンについて知っておくと、被害の防止に役立つかもしれません。年金の積立金を運用するGPIFは、2020年4月に期待リターンとリスクを以下のように推計しました。最も高いリスクを取っている「外国株式」でさえ、年間の期待リターンは10%にも届きません。これを上回るリターンを目指すには相応のリスクを負わなければいけないこと、ましてや元本保証で実現できる可能性は極めて低いことがうかがえるのではないでしょうか。

【GPIFが推計する期待リターンとリスク】

出所:GPIF 基本ポートフォリオの変更について(2020年4月)

取引金額1京円超! FX取引が急増した理由

エフ・エー・シーでは詐欺に用いられましたが、FXそのものは魅力も多い商品です。少ない金額で大きな利益を狙えること、夜間でも取引できることなどから、利用する投資家は少なくありません。特に昨年は取引が活況となり、話題を集めました。

株式は取引所を介して投資家同士で売買することが一般的ですが、FXは金融機関との相対取引が中心です。これを一般に「店頭FX」といいます。2022年は店頭FXの取引金額が初めて1京円を超えました。

【店頭FX取引金額】

金融先物取引業協会「店頭FX月次速報」より著者作成

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取引金額が急増した背景には値幅があるでしょう。代表的な通貨ペア「米ドル/日本円」は、ここ数年の高値と安値の差はおおむね10円前後でした。しかし2022年は35円以上も生じています。

【ドル円の値幅】

Investing.comより著者作成

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FXは、基本的に安く買って高く売るか、高く売って安く買い戻すことで利益を得ます。このときの利益は、新たにポジションを建てるときと決済時のレート差に比例して大きくなります。従って、値動きがない相場が続くとうまく利益を得ることができません。

その点で、2022年はFX投資家にとって多くのチャンスに恵まれた年でした。ドル円のレートは、日米の金利差拡大などが意識され115円台から150円台にまで大きく上昇したほか、日本の為替介入や金融緩和の修正などで大きな値動きがたびたび生じました。値幅はFXにおいて利益の源泉ですから、多くの取引を誘引したと考えられます。

【2022年のドル円(週足)】

Investing.comより著者作成

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FXは自己資金の25倍まで取引ができるため、一般に高リスクの商品とされています。ただし、取引金額は投資家が任意に決められるため、必ずしもリスクが高くなるとは言い切れません。例えば100万円あれば2500万円の取引ができますが、取引金額を100万円にとどめれば外貨預金と同程度のリスクとなります。

ポジションの取り過ぎを懸念するなら、あえて取引を制限した口座で取引するのもよいかもしれません。FXは原則として自己資金の25倍まで取引が可能ですが、金融機関によっては倍率を10倍や1倍などに限定した口座を提供しています。

このように、FXは値動きがあるため元本保証ではありませんが、リスクを調整することは可能です。挑戦する場合は、取引金額をリスク許容度に合わせて行うようにしてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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