厳しい運用環境を前に「世間的な知名度」より「信頼」がブランド価値
Finasee / 2023年3月20日 19時0分
![厳しい運用環境を前に「世間的な知名度」より「信頼」がブランド価値<br />](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_11898_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
販売会社が運用会社の「ブランド力(識別力)」を評価するポイントは、販売会社の業態を問わず2021年に優勢だった「世間における知名度がある」から、22年は「信頼ができる」の優位に変わった。金融リテール専門誌『Ma-Do』が実施した「運用会社ブランドインテグレーション評価2022」で、従来は「名前が知られている(詳しい説明が不要)」に重きを置いていた「ブランド力」の評価が、運用環境が厳しい22年を経験して運用実績やサポート力など実質的な「信頼」を重視する姿勢に変わったことが明確に表れた。
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「運用会社ブランドインテグレーション評価」は、投信販売会社が運用会社を評価する調査で、運用会社について「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「ブランド力」「ガバナンス」の6つの軸で評価してもらい、得点順にランキングした。2022年調査は9月~10月にWEBで実施し、国内外の運用会社36社を評価の対象とし、310件の回答を得た。回答者の業態別構成は、地方銀行が41.1%、第二地方銀行が11.6%、ゆうちょ銀行・郵便局が16.1%、証券会社が7.5%、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)が13.0%だった。
業態を問わず「信頼」の価値を再確認運用会社の「ブランド力」に関する販売会社の評価は、地銀と証券会社で最も重視する項目が21年の「世間における知名度がある」(地銀は67.5%、証券は45.5%)から、「信頼ができる」(地銀は82.1%、証券は75.0%)に変わった。「信頼ができる」という項目については、全ての業態で評価ポイントを高めている(第二地銀は21年の67.6%が22年は85.4%、ゆうちょ銀・郵便局は63.8%が77.6%、IFAは50.0%が73.7%)。
反対に「世間における知名度がある」という項目は全業態で評価ポイントを下げた(地銀が67.5%から41.9%、第二地銀が64.7%から51.2%、ゆうちょ銀・郵便局は53.2%が34.7%、証券会社は45.5%が21.4%、IFAは42.1%が29.8%)。21年と22年で「ブランド力」に関する価値感が大転換していることがわかる。
「世間における知名度」は高いに越したことはない。知名度が高いのは、それだけ一般的な評価が確立しているということなので、品質の面で懸念されるような要件が少ないことを示しているといえよう。
ところが22年は「株安」、かつ、「債券安」であり、しかも、「先進国」も「新興国」も、「大型株」も「中小型株」も、「グロース株」も「バリュー株」も総じて悪いという「逃げ場のない相場」だった。知名度のある大手の運用会社も含めて、どの運用会社の商品も総じて成績が振るわなかった。それだけに、改めて「信頼」というベーシックな価値に立ち戻ることを余儀なくされた1年になったということだろう。
「こだわりの運用」「長期の実績」にも評価の芽一方、「特長や運用哲学を良く理解している」という項目は、21年の段階でIFAが65.8%という非常に高いポイントで評価し、22年も57.9%と弱含み横ばいながら、他の業態よりも高く評価している。資産運用アドバイスの専門家として既存の銀行や証券会社から独立して営業しているIFAだけに、「こだわりの運用会社・運用商品」があるという自負が感じられる。この項目については、その他の業態においても評価ポイントが高くなっている傾向にある。「自分たちが良く理解している優れた運用会社だからこそ顧客にも勧めたい」ということは、今後、資産運用がより一般に普及していく中で重要度を増していくことになると考えられる。
また、今回新たに設けられた「歴史がある」という評価項目は、IFAだけは50.9%と比較的高いポイントになったが、その他の販売会社では30%前後の回答率で、さほど重要視していない。「歴史がある」という項目は、それだけ「市場の荒波にもまれて生き残ってきた」という勲章のような価値と考えられるが、それ以上に「運用成績が大事」ということが評価の低さになったのだろう。特に、22年のように運用が厳しい環境にあってはなおのこと運用成績を重視することになったと考えられる。
ただ、「つみたてNISA」をきっかけに投資を始めた若い層を中心に、30年、40年という長期投資が志向されている。その長期投資には歴史がある運用会社の長期の運用記録が重要になる。今後、この項目への評価がどのような推移になるのか見守っていきたい。
Finasee編集部
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