大切なのは「先取り貯蓄」に足す“1つの行動”だった…お金を簡単に増やす“鉄則”
Finasee / 2023年4月3日 11時0分
Finasee(フィナシー)
〈前編のあらすじ〉
日々さまざまなご家庭の家計を見るFPの前田菜緒さん。
よく「収入が多い人は貯蓄も多いですよね?」 との質問を受けるそうですが、答えはノー。ある対照的な2つの家庭の家計状況と貯蓄額からその理由を紐解きます。
前編(年収2200万円で「貯金はこれだけ?」 あるパワーカップルの“支出っぷり”全容)では、世帯年収2200万円のパワーカップルであるにもかかわらず、その年収からすると、貯蓄額は少なめの下山さん(仮名)の月間の収支を見ながら、その理由を解説してもらいました。
後編では、もう1つの家庭の年収と貯蓄状況と見ながら、貯蓄の本質について、前田さんの解説をお届けします。
*** 世帯収入で貯蓄額3400万円…! その家計状況は山田さんご夫婦(仮名)は夫年収700万円、妻年収200万円の40代ご夫婦です。お子さんは女の子(7歳)1人です。
このご夫婦の貯蓄額は、なんと3400万円……!
二人とも独身時代からしっかり貯蓄をしていたことも要因としてあるのですが、家計状況を聞くと下記の通りでした。
<収入>
手取り 50万円
<支出>
家賃 16万円
教育費 2.3万円
生活費 17万円
保険 4.5万円
また、ボーナスは2人分を合計すると手取り70万円弱ですが、家電の買い替えや自転車購入など、その時必要なものを購入する程度で、ほぼ貯蓄しているとのことでした。毎月10万円ほどの黒字ですから、ボーナスを合わせると年間約190万円を貯蓄できている計算になります。
対照的な2つの家計に決定的な差が生まれた理由は…さて、かなり対照的な2つの家計である上、山田さんの家計は、とても貯蓄が上手なレアケースではありますが、ここまでお読みになった方は「収入が多い=貯蓄が多い」が成り立たないと言った理由がお分かりいただけたのではないでしょうか。
そして、この2つの家計から貯蓄を増やす方法も同時に学ぶことができます。
それは「収支バランス」です。当然ではあるのですが、収入に対して支出が少なければお金は貯まります。下山さんの世帯収入は2200万円と世帯年収900万円の山田さん家庭の2.4倍もあるにもかかわらず、年間貯蓄額は下山さん130万円、山田さんは190万円と、山田さんの方が約1.5倍多いのです。
山田さんは「将来のことを考えると貯蓄をしないと心配で。欲しいものも特にないし、いくら貯蓄すればいいか分からないので、とにかく貯蓄してきました」と言います。
一方、下山さんは前編でもお伝えした通り、「いくら貯蓄しないといけないのか、今まで気にしたことはないです。余ったお金が、口座にそのまま貯まっていくだけでした」とのこと。
将来のお金についてどれだけ現実的に考えられるかが、収支バランスを取るポイントと言えそうです。
とはいえ、貯蓄は多ければ多いほどよいわけではありません。ここは誤解していただきたくないポイントです。
今使うお金、将来使うお金のバランスを考えながら貯蓄していくことが、今も未来も経済的不安を取り除ける貯蓄のコツです。山田さんは将来を“心配しすぎている”傾向があり、下山さんは将来を“気にしない”傾向があるため、2つの家庭とも将来必要になるお金を具体的に計算することで、今も未来も安心できる家計をつくることができるでしょう。
「先取り貯蓄×投信積立」は必須山田さんのように貯蓄をどんどん増やしていくのは簡単なことではありません。しかし、貯蓄を計画的に増やすなら、先取り貯蓄は必須と言えます。
さらに先取り貯蓄の際に取り入れたいのが、投信積立です。今すぐ使う予定がないお金なら、投信積立で先取り貯蓄を行っていきます。iDeCoやつみたてNISAを利用して“先取り設定”を施せば、まさに先取り貯蓄×投信積立を実行することができます。
言われてみれば当然の先取り貯蓄ですが、実際できていない、やっていない人は意外なほど多いものです。
貯蓄ができないのは収入が少ないからと思いがちですが、大切なのは「収支バランス」と先取り貯蓄の「実行力」です。収入額は関係ないと思うと、自分の収入でも貯蓄を増やせるかもしれない、とやる気になりませんか?
貯蓄が思うように増えないという人は、まずは手取りの5〜15%を貯蓄の目標額として設定し、積み立て計画を立ててみてはいかがでしょうか。そこに投信積立を取り入れると、お金が育つ“追い風”となって、目標達成に大きな力を貸してくれることでしょう。
前田 菜緒/ファイナンシャルプランナー
FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。
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