衝撃与えたホリエモン逮捕…会社は上場廃止、驚くべき虚偽記載の中身
Finasee / 2023年4月14日 7時0分
Finasee(フィナシー)
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2006年4月14日、世間を大きく騒がせた「ライブドア」が上場廃止となりました。新興市場を代表する銘柄でしたが、「ライブドア事件」の発覚後わずか3カ月で取引所から姿を消します。
ライブドア事件とはライブドア事件とは、有価証券報告書の虚偽記載などで堀江貴文氏らライブドア経営陣が逮捕された一連の事件を指す言葉です。堀江氏はプロ野球への参入表明やニッポン放送株式の買い占めなどで注目されていたこともあり、その逮捕に世間は大きな衝撃を受けました。
ニッポン放送は主にラジオ事業を手掛ける企業で、ライブドアから買い占めを受けた当時はフジテレビジョンの筆頭株主でした。しかし企業規模はフジテレビジョンの方がはるかに大きく、親より子が大きいいびつな関係となっていました。
フジテレビジョンはニッポン放送を子会社化することで資本関係を整理しようとしていたところ、突如としてライブドアがニッポン放送株式を買い占め、同社の筆頭株主になったと発表します。ライブドアとフジテレビジョンは対立し、互いにニッポン放送の議決権獲得に動きました。
その後、ライブドアとフジテレビジョンは和解し、ライブドアが保有するニッポン放送株式をフジテレビジョンに譲渡すること、ライブドアが実施する第三者割当増資をフジテレビジョンが引き受けることで合意します。
この第三者割当増資に際してライブドアが提出した有価証券報告書から、ライブドアの虚偽記載が明らかになっていきます。同報告書は2004年9月期の有価証券報告書を参照し作られたものでしたが、当該2004年9月期の有価証券報告書は、およそ3億円の赤字を50億円の黒字と偽って発表したものでした。これを受け、東京地検特捜部はライブドアの強制捜査に着手します。
【ライブドア事件を巡る主な時系列】
東証を取引停止に追い込んだ「ライブドアショック」ライブドアに対する強制捜査のニュースは、2006年1月16日の夕方に伝わりました。ライブドア株式は翌日の取引で急落します。ライブドアは新興市場で主要な銘柄だっただけに、市場全体も大きく下落しました。主力銘柄にも売りが波及し、東証1部の値下がり銘柄数は9割にも達します。
混乱は18日になっても収束せず、売り注文が殺到し処理能力を超えたことから、東京証券取引所は全銘柄の取引停止に追い込まれました。ライブドアは極端な株式分割を繰り返しており、約定件数が増えやすかったことが原因だといわれています。累計の分割割合は36万分割にも上っており、特に2004年2月に実施した異例の100分割は市場軽視と批判されることも少なくありません。
東京証券取引所は同月21日、ライブドアを注意銘柄に指定し、23日には上場廃止基準に抵触するおそれがあるとして監理銘柄に指定します。3月には上場廃止を決定し、翌4月に上場廃止となりました。
【2006年1月の日経平均株価】
日経平均プロフィルより著者作成拡大画像表示さらに市場を冷やした「マネックスショック」とは
ライブドアショックと合わせてよく語られるのが「マネックスショック」です。ライブドア事件を受けて講じたマネックス証券の措置が、さらなる下落を誘引したといわれています。
マネックスショックは、「信用取引」に関連して引き起こされました。まずは信用取引について基本を押さえましょう。
信用取引とは、証券会社から信用の供与を受け、自己資金以上の取引ができる方法です。ただし、取引金額の30%分の担保を差し入れなければ取引を始められません。言い換えれば、差し入れた担保の約3.3倍までの取引ができる点が信用取引の強みです。
担保は現金である必要はなく、原則として株式を差し入れても構いません。ただしその場合、額面の80%まで割り引かれて評価されます。例えば100万円分の株式なら、担保としては80万円と扱われます。
信用取引のポジションを持った後は、少なくとも担保の評価額を取引金額の20%以上に維持しなければならないルールがあります。仮に信用取引で1000万円分のポジションを持った場合、担保評価額を200万円以上にキープしなければいけません。
そして信用取引で生じた評価損は、担保から差し引かれます。従って、評価損が積み上がり、担保評価額が取引金額の20%を下回った場合、ポジションを解消するか新たな担保を差し入れる必要が生じます。これが信用取引の基本的な仕組みです。
マネックスショックは、担保に差し入れる株式を巡って起こりました。上述の通り、株式は額面の80%まで割り引かれるものの、信用取引の担保として差し入れることが可能です。しかしマネックス証券は、突如としてライブドア関連銘柄を担保と認めないと発表しました。
これに困ったのが、既に同銘柄を担保に信用取引を行っていた投資家です。担保の評価額が突然ゼロとなったため、ポジションの解消を強いられるケースが相次ぎました。また他の証券会社が追随するのではないかという懸念も広がり、連鎖的な売りが市場に広がったといわれています。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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