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銀行破綻の金融不安にインフレ…そんな環境下でも高騰している「ある資産」

Finasee / 2023年4月5日 11時0分

銀行破綻の金融不安にインフレ…そんな環境下でも高騰している「ある資産」

Finasee(フィナシー)

金(ゴールド)の価格は約15年間、上昇傾向を維持している。2023年は値上がりがとくに顕著で、3月13日にはニューヨーク先物市場で一時、前営業日の終値から3%も高騰した。

インフレ下で市場が不安定な中、なぜ金投資は人気を集めるのか。この記事では金投資のメリットや株式投資との違いについて、金価格上昇の背景を交えながら解説する。

金投資の主なメリット3つとは?

そもそも金とは、主に宝飾品に使われている貴金属だ。代表的な産出国には中国やオーストラリア、ロシアなどが挙げられる。

供給量の大半は宝飾品に用いられるが、全体の約4分の1は投資用の地金やコインとしても流通しており、金は投資可能な資産でもある。なお、金は2023年2月時点で1グラムあたり平均7,990円で取引されている。

金投資は「コモディティ」投資に分類される。コモディティとは「商品」を意味する英単語で、投資では商品先物市場で取引される対象を指す。金のほか、原油やガソリンなどのエネルギー、トウモロコシや大豆といった穀物もコモディティに含まれる。

金をはじめとしたコモディティ投資には、主に3つのメリットがある。

・無価値になりにくい
・インフレ対策
・分散効果の向上

1つ目のメリットは、無価値となる可能性が考えにくい点だ。コモディティ投資では前述の通り、貴金属やエネルギーなどの実物資産に投資する。そのため、デフォルトや倒産の恐れがある金融資産とは異なり、価値がゼロになりにくい。とくに金は「無国籍通貨」とも呼ばれ、世界共通でその価値を認められている。値崩れリスクの低さ、信頼性の高さが金投資の魅力といえるだろう。

2つ目はインフレ対策。物価が上がると、現金の価値は相対的に低くなっていく。また、資産運用でも、物価の上昇率以上のリターンがなければ資産は目減りしてしまう。その点、金などのコモディティは物価に連動して値動きする傾向にあるため、インフレに強いとされている。

3つ目のメリットは、分散効果の向上だ。投資では値動きの要因が異なる組み合わせほど、リスク抑制効果が高いとされる。コモディティ全体にいえることだが、資産価格は天候や社会情勢に大きく影響を受けやすい。企業の経営や市場の動きに左右される株式や債券とは値動きのおもな要因が異なるため、ポートフォリオに組み込むことでより高い分散効果が期待できるのだ。

とくに2023年3月はアメリカの銀行が相次いで経営破綻し、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げを懸念する声が市場で高まった。金価格高騰の一因には、投資家の不安を受けたリスク回避の金買い増加もあったと考えられる。

さらに、アメリカとの溝を深める中国やロシアが保有資産をドルから金に切り替える動きもある。各国の金準備比率の上昇に伴い、今後も金価格高騰は続くと見られている。

投資対象としての貴金属は「金」以外にも

コモディティ投資の対象となる貴金属は金だけではない。工業製品や自動車部品などによく使われる以下のような貴金属にも投資可能だ。

・銀
・プラチナ
・パラジウム

銀は主として工業用製品に使われる金属であり、景気に価格が左右されやすいのが特徴だ。取引価格は2023年2月平均で1オンスあたり22.010ドル。金の価格が1オンスあたり1854.54ドルなのに対し、約1.25〜1.43%程度の価格で購入できる分、参入ハードルの低さもメリットといえる。反面、安価で市場規模が小さいために金よりも値動きが大きく、リスク管理の難しさもある。

プラチナは金よりも高い希少価値を持つ。プラチナといえば宝飾品のイメージが強いが、実際は工業用製品での用途もかなり多い。そのため銀と同様に景気の影響を受けやすく、2008年のリーマン・ショックでは価格が暴落した。また、世界総産出量の約7割を南アフリカが占めており、経済情勢や社会情勢にも価格が左右されやすい。

パラジウムは自動車部品や電子部品などに使われる。2023年2月18日から3月17日までの1ヶ月間の平均取引価格は1440.67ドルと、金と近い価格で推移している。パラジウムの主な産出国は、ロシアと南アフリカ。こちらもプラチナ同様、高い地政学的リスクを含む投資先といえるだろう。

個人投資家にもできる「金投資」の方法

金投資の方法には、おもに次の4つがあげられる。

1. 金地金・金貨
2. 純金積立
3. 金投資信託・金ETF
4. 金先物取引

それぞれを詳しくみていこう。

1. 金地金・金貨

金地金はインゴット(精製した金を鋳型に流し込んで固めたもの)を指す。また、金貨はオーストラリアのカンガルー金貨、カナダのメイプル金貨などの投資用金貨が代表例として挙げられる。

金地金や金貨などの現物を自身で管理することになるが、これにはメリット・デメリットの両面がある。例えば、現金が必要になればすぐ換金できるが、一方で盗難や紛失のリスクもある。貸金庫などで保管する場合は、その費用もかかるだろう。

2. 純金積立

純金積立は、取扱企業を通じて毎月一定額ずつを金の現物に積立投資する方法だ。

メリットは金地金や金貨を直接購入するよりも少額から始められること。また、一定間隔で同額を自動的に積み立てるので相場の変動に関わらず購入金額を平準化できる。例えば、金価格が高騰した場合は少量、下落した場合は多く買うことで資産全体の購入価格が下がり、元本割れのリスクを減らせる。

この方法では自身で現物保管する必要がなく、一定量積み立てれば現物を引き出すことも可能だ。少しずつ積み立てて、記念日などに現物を引き出すという使い方もできる。

なお、他金融商品と比べて手数料が割高な点に注意が必要である。さらに、現物を引き出す際には手数料が別途かかる場合がある。また、債券や株式などと異なり、利息や配当金といったインカムゲインがない点にも気を付けたい。

3. 金投資信託・金ETF

金投資信託や金ETFのメリットは、プロに管理や運用を任せられること。また、投資信託は100円単位と純金積立より少額から購入可能なため、手軽に始められるのもメリットだ。

もしもリアルタイムでの能動的な取引を行いたいなら、ETFという選択肢もある。ただし、純金積立と異なり現物を引き出せない点には注意したい。

4. 金先物取引

先物取引とは、取引する日付(期日)と価格をあらかじめ約束して行う取引だ。買いの場合は取引日の相場が約束した金額よりも上がっていれば、売りの場合は相場が下がっていれば差額が利益となる。先物取引は市場の価格変動を利用し、利益を狙う取引方法といえる。

先物取引のメリットは、少額の投資でも大きな利益を期待できる点だ。また、純金積立などと比べて手数料も比較的安い。

しかし、大きな利益を期待できる分、損失も膨らみやすい点に注意が必要だ。また、自動的な積立はできないため、長期投資スタイルの投資家にとっては手間のかかる取引方法といえるだろう。

インカムゲインのない金投資だけでは資産の大幅な増加は見込めないかもしれないが、インフレ下においては有効なリスク分散先といえる。一般的に金投資の割合は保有資産の10〜15%が目安とされている。不透明な市場を乗り切るためにも、ポートフォリオへの組み入れを検討してもよいだろう。

田中 雅大/編集者

ペロンパワークス・プロダクション代表。編集プロダクション、出版社勤務、『MONOQLO』『日経ビジネスアソシエ』『サイゾー』等の編集記者、Webメディア運用を経て、ペロンパワークス・プロダクション設立。編集記者時代のフィールドは金融とデジタル製品。AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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