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「預金」でお金の価値が減る? 資産を守るため実践したい‟ある対処法”

Finasee / 2023年3月27日 11時0分

「預金」でお金の価値が減る? 資産を守るため実践したい‟ある対処法”

Finasee(フィナシー)

日本人の個人金融資産が過去最高額となりました。相変わらず人々の金融資産の大半は預貯金に集まっていますが、その一方で、「定期性預金」へ流入する資産は減ってきているようです。

過去最高額の個人金融資産、内訳は?

四半期ごとに日銀から集計・公表される「資金循環統計(2022年10-12月期)」の数字が発表されました。

資金循環統計とは、分かりやすく言えば「個人金融資産」の額を示すデータのことです。しばしばニュースなどで「個人金融資産の総額が2000兆円を超えて……」と報じられることがありますが、その「2000兆円」という数字は、この資金循環統計によるものです。

3月17日に公表された資金循環統計によると、2022年12月末時点における個人金融資産の残高は、2023兆円で過去最高額になりました。その内訳は次の通りです。

現金・預金・・・・・・・・1116兆円(55.2%)
債務証券(※)・・・・・・26兆円(1.3%)
投資信託・・・・・・・・・86兆円(4.3%)
株式等・・・・・・・・・・199兆円(9.9%)
保険・年金・定型保証・・・536兆円(26.5%)
上記のうち保険・・・・・・379兆円(18.7%)
その他・・・・・・・・・・59兆円(2.9%)

※債務証券とは国債、社債といった債券のこと

相変わらず現金・預金の総額が伸びています。個人金融資産の総額に占める比率は55.2%ですから、これは過半が現金・預金に放置されていることを意味します。

また、ニッセイ基礎研究所のレポート「経済・金融フラッシュ」によると、現金・預金のうち定期性預金は4兆円の純流出で28四半期連続の純流出となる一方、流動性預金は245兆円の純流入になったとのことでした。流動性預金とはいつでも解約できる預金のことで、普通預金や貯蓄預金、当座預金がこれに該当します。

一般的に、定期性預金は「あらかじめ決められた一定期間は解約できない」という縛りがある分、利率は高めになります。それにもかかわらず、定期性預金から資金が流出し、流動性預金に多額の資金が集まっている背景には、定期性預金の利率があまりにも低いという事情があります。

定期性預金の利率上昇に期待できないワケ

大手銀行の預金利率を見ると、定期性預金は預入金額の多寡、預入期間の長短に関係なく、年0.002%が適用されています。そして、流動性預金である普通預金の利率は、年0.001%です。

定期性預金の利率は流動性預金の利率に対して2倍ではあるのですが、0.001%と0.002%とでは、実際に受け取れる利息の額はほとんど同じです。

仮に100万円を10年間、半年複利で運用した場合、定期性預金だと100万200円であるのに対し、流動性預金だと100万100円。その差は100円でしかありません。

預金者からすれば、「たったこれだけの差に対して解約の制限を受けるのは、割に合わない」というのが偽らざる思いなのでしょう。

現状、長期金利の代表である10年国債の利回りは、金融不安の高まる中で0.27%前後まで低下していますが、3月9日時点では0.5%で推移していました。2021年8月4日時点が0%だったことからすると、徐々に金利が生じつつあります。

とはいえ、預金利率が一向に上昇の兆しを見せないのは、資金調達意欲が弱いことの裏返しであると考えられます。

金利は資金調達意欲の強弱によって動きます。資金の借入需要が強ければ金利は上昇し、借入需要が弱ければ金利は低下します。

インフレ率がある程度上昇しても、預金の利率がそれを上回って高ければ、インフレリスクをヘッジできますが、現状においては企業の設備投資意欲が弱く、それによって資金の借入需要も低迷しているため、当面、預金利率の上昇には期待できません。

物価の上昇が収まらない限り、この低金利では現金はもちろん、預金でも、資産価値が目減りする一方なのです。

資産価値の目減りを抑えるための対処法

インフレによる資産価値の目減りを最小限に抑えるためには、株式などインフレに強いと言われるリスク性資産を、ポートフォリオに組み入れる必要があります。

では、リスク性資産の動きはどうなっているのでしょうか。

資金循環統計によると、投資信託は2022年6月末、9月末、12月末と、3四半期連続で前年同期を下回っていますが、これは資金の純流出入ではなく、時価総額でカウントされているからです。

つまり株価などマーケットが大きく値下がりすることによって、残高の数字がマイナスに転じていると考えられます。投資信託と同様、株式も3四半期連続で前年同期を下回りました。

とはいえ、資金流入から資金流出を差し引いた純流入で見ると、株式にも、また投資信託にも順調に資金が流入しています。

同レポートでも、「株式等が0.3兆円の純流入(前年同期は0.6兆円の純流入)、投資信託も1.9兆円の純流入(前年同期は2.0兆円の純流入)となった」、「従来高齢化に伴う相続に絡む売却などで純流出が優勢となっていた株式は直近2年の流入額が1.9兆円と明確なプラスになっている。また、投資信託の純流入は11四半期連続で、この間の純流入額は13兆円に達する」と指摘されています。

資金の規模という点では現金・預金に遠く及ばないものの、投資信託の「11四半期連続純流入」のように、持続的に資金の純流入が続いている点は、個人が徐々に資産運用への関心を高めている証左とも見て取れます。

株式の懸念は「相続」にあり

1つ気になることは、同レポートで指摘していた「従来高齢化に伴う相続に絡む売却などで純流出が優勢となっていた株式」という点です。

これはよく聞く話ですが、株式のように値動きのある資産は、相続発生時の資産評価がややこしくなるため、相続が発生する前に被相続人が保有している株式を売却させて現金化したうえで、相続手続きを行うケースが多いようです。特に複数の相続人がいる場合、株式より現金の方が分けやすいという事情もあります。

しかし、これは株式市場にとって根強い売り圧力になります。株式をより多く保有しているのは高齢者で、その多くは遠くない将来に被相続人となるからです。

NISAや確定拠出年金など運用面の非課税措置は大事ですが、現金相続よりも株式で相続した方が有利になるような税制面のインセンティブがあれば、相続に伴う株式の売り圧力を最小限に抑えられます。ここは税制面の手当が必要でしょう。

***
 

20代、30代を中心に、現行制度におけるつみたてNISAの口座開設者が伸びてきており、2024年1月からは1800万円の生涯投資枠が設けられた「新しいNISA」がスタートします。

現役世代を中心に、株式などリスク資産の保有に対する関心を高めることが、長期的にインフレリスクをヘッジすることにつながり、ひいてはマーケットの活性化を促すのです。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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