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「お金を拾ったら犯罪者に…」一体何をした? 落とし物の“落とし穴”

Finasee / 2023年4月25日 7時0分

「お金を拾ったら犯罪者に…」一体何をした? 落とし物の“落とし穴”

Finasee(フィナシー)

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ときどき大金を拾うニュースが世間を騒がせます。実は意外にも現金の落とし物は多く、毎年およそ60~80億円もの紛失が届け出られ、反対に30~40億円が誰かに拾われているようです。

【現金の落とし物】

出所:警視庁 遺失物取扱状況(令和4年中)

大金が拾われた事件は「1億円拾得事件」が有名でしょう。1980年4月25日、トラック運転手の男性が路上で1億円を拾ったことが報じられ、大きなニュースとなりました。

現金を拾うと、その一部または全部を受け取れる権利が生じます。しかし落とし穴もあり、対応を誤れば罰せられる可能性も否定できません。現金を拾ったらどうすればよいのか、過去の事例と併せて確認しましょう。

落とし主現れず1億円を拾得

1億円拾得事件では、1億円を拾った男性はすぐに警察へ届け出たものの、落とし主は現れませんでした。3カ月たっても落とし主が判明しない場合、拾った人はその落とし物を取得できることが民法で定められています。1億円を拾った男性は、幸運にも1億円を受け取ることができました。

【民法第240条「遺失物の拾得」(一部抜粋)】
遺失物は、遺失物法……の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。

出所:e-Gov法令検索 民法

1億円拾得事件の9年後には、竹林で約2億円が見つかる「竹やぶ2億円事件」が起こりました。こちらは持ち主が現れ、拾った人には報労金が支払われたようです。

遺失物法では、拾った人は落とし物の5%から20%の金額を報労金として落とし主に請求できる権利が定められています。拾った金額は2億円ですから、このケースでは1000万円~4000万円を請求できる計算です。ただし駅やデパートなど管理者がいる場所で拾った場合、報労金はその管理者と折半されます。

【遺失物法第28条「報労金」(一部抜粋)】
1.物件……の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格……の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。

2.前項の遺失者は、当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは、同項の規定にかかわらず、拾得者及び当該施設占有者に対し、それぞれ同項に規定する額の二分の一の額の報労金を支払わなければならない。

出所:e-Gov法令検索 遺失物法

拾ったお金を届け出なかった場合のペナルティー

先述した拾得者の権利を行使するためには、拾ってから7日以内(管理者がいる場所で拾った場合は24時間以内)に落とし物を警察署などに届け出なければいけません。また3カ月以内に落とし主が現れなかった場合も、2カ月以内に引き取らなければ落とし物の所有権は都道府県に帰属するため注意してください。

では拾ったお金を警察署などに届けず、そのまま使ってしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合「遺失物等横領罪」として罰せられる可能性があります。

【刑法第254条「遺失物等横領」(抜粋)】
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

出所:e-Gov法令検索 刑法

現金は財布に入った状態で拾うケースが考えられます。この場合、現金だけでなくクレジットカードなども拾得する場合もあるでしょう。もし拾ったクレジットカードを不正に利用した場合は、さらに罰則が重い「詐欺罪」に問われるかもしれません。

【刑法第246条「詐欺」(一部抜粋)】
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

出所:e-Gov法令検索 刑法

このように、拾ったお金を届け出ないと拾得者の権利を失うばかりか、刑事罰が科せられる可能性があります。現金を拾ったら決して使わず、必ず警察に知らせるようにしましょう。

お金を拾ったら税金はどうなる?

落とし主から受け取った報労金や落とし主が現れなかった場合に取得したお金は、通達によって「一時所得」に該当すると定められています。

【国税庁 法令解釈通達(34-1)(一部抜粋)】
次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
・遺失物拾得者又は埋蔵物発見者が受ける報労金
・遺失物の拾得又は埋蔵物の発見により新たに所有権を取得する資産

出所:国税庁 法令解釈通達 法第34条《一時所得》関係

一時所得は、総収入金額から最大50万円の特別控除額を差し引いて求めます。従って、拾得者の権利として取得する財産が50万円以下なら、基本的に税金は発生しません(他に一時所得がない場合)。

50万円を控除してもなお金額が残る場合、原則としてその半額を他の所得と合算して税金を計算します。例えば拾得者の権利として70万円を受け取った場合、20万円(総収入金額70万円-特別控除額50万円)が一時所得となり、他の所得と合算する際は10万円(一時所得20万円÷2)を用います。

所得税は累進課税が採られており、税率は一様ではありません。もともと高所得を得ている人ほど、拾ったお金に対しても重い税が課せられる仕組みです。

とはいえ、一時所得には最大50万円の特別控除額が設けられているため、拾ったお金で税負担が発生することは少ないでしょう。もし50万円以上のお金を拾うなどして一時所得の発生が懸念される場合、税務署などに相談してみてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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