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「今年電気代が下がる」これだけの理由…家計の味方となる“新技術”

Finasee / 2023年4月28日 7時0分

「今年電気代が下がる」これだけの理由…家計の味方となる“新技術”

Finasee(フィナシー)

・主要国で日本は「最低レベル」…国を守るため増税、家計犠牲は当然か

東日本大震災を受け、原子力発電には新たに「40年ルール」が作られました。発電に用いる原子炉は、原則として40年までしか稼働してはいけないとする規制です。例外として1回に限り最長20年延長することも認められていますが、しばらく適用されることはありませんでした。

しかし2021年4月28日、福井県で初めて40年超原発の再稼働が認められました。また、この40年ルールは現在見直しが検討されています。40年ルールとはどのような規制なのか、また見直しはどのようなものなのか、概要を押さえましょう。

原発の「40年ルール」とは

2012年6月、「原子炉等規制法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)」が改正され、発電に用いる原子炉は原則として最初の検査に合格して40年までしか運転できないことになりました。なお、原子力規制委員会の認可を受ければ、20年を超えない範囲で1回だけ延長することができます。

【原子炉等規制法第43条の3「運転の期間等」(一部抜粋)】
1.発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉について最初に……確認を受けた日から起算して四十年とする。
2.前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができる。
3.前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であって政令で定める期間を超えることができない。

出所:e-Gov法令検索 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

しかし、現実的には原子力規制委員会の認可だけで原発を再稼働させることはできません。電力会社は原子力発電所が立地する自治体と「原子力安全確保協定」を結んでおり、再稼働させるためにはその了解を得る必要があるためです。この了承を全国で初めて受けたのが、福井県にある関西電力の「美浜原発(3号機)」と「高浜原発(1号機、2号機)」でした。

現行の40年ルールを整理すると、原発の運転期間は最長でも60年となります。しかし原子力規制委員会は2022年12月、10年以内ごとに認可を受けることで60年を超える運転が可能となる新ルール案を了承しました。現在も稼働から30年超の原発は10年ごとに検査されており、新しいルールはこれを一本化する内容で作られるとみられています。

これに伴い、国会では原子炉等規制法の改正が審議される予定です。まだ帰還困難区域が残る中、原発の長期運用を認める議論は荒れるかもしれません。

電気代が下がる?「再エネ賦課金」とは

エネルギー価格の高騰などから、2022年は電気代が大きく上昇しました。これを背景に、原子力発電を求める声も大きくなっているようです。

もっとも、今年度は電気代が少し安くなるかもしれません。経済産業省は2023年3月、2023年度の「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(以下、再エネ賦課金)を1キロワット時あたり1.4円に設定すると発表しました。前年度比で2.05円の引き下げで、1カ月の電力使用量が400キロワット時の標準世帯では月に820円分電気料金が下がる計算です。

再エネ賦課金とは、「FIT(再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度)」に伴って発生する料金です。太陽光など再生可能エネルギーで発電された電気は決まった価格で買い取られる仕組みとなっており、その費用の一部が再エネ賦課金として電気料金に上乗せされています。

再エネ賦課金は、FITが始まった2012年から一貫して上昇してきました。当初は1キロワット時あたり0.22円でしたが、2022年度は同3.45円と、10年で15倍以上となっています。再エネ賦課金が引き下げられるのは、制度が始まって以来初めてです。

【再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移】

エネルギー情報センターおよび経済産業省より著者作成

拡大画像表示

もっとも電力各社は値上げを申請しているため、トータルで電気料金が下がる保証はありません。岸田首相は厳格に審査するよう指示していますが、申請はエネルギー価格の高騰や円安を背景としており、いずれ値上げが実施される可能性があります。

新技術「核融合発電」とは

近年は新しい発電技術として「核融合発電」が研究されています。原子核同士をぶつけて別の原子核へ作り変えることを「核融合」といい、その反応で発生する熱をエネルギーに発電する技術です。

原子力発電は「核分裂」を利用してエネルギーを得ますが、連鎖的に反応が起こるため、制御に失敗すれば重大な事故につながりかねません。しかし核融合は燃料がなければ反応が止まるため、比較的コントロールしやすいとされています。また発生する放射線廃棄物の毒性も、原子力発電で生じるものより弱く、はるかに早く減衰します。

さらに燃料が安価で無尽蔵に存在する点も、核融合発電の利点です。原子力発電に用いるウラン鉱は埋蔵量に限りがあるほか、日本ではその全てを輸入に頼っています。しかし核融合発電には海洋中の重水素を用いることから、資源に乏しい日本でも燃料が尽きる心配はありません。

当面の課題は実用化です。核融合発電の開発には巨額な費用がかかることから、商業ベースで発電できるのは早くとも2030年代になるとみられています。しかし2024年にも発電を開始するというベンチャー企業も出てきており、核融合発電による電力供給は意外に早く始まるかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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