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給与と手取りの違いは? 天引きって何? お金を貯めるなら必須の「給与明細」読み解き方

Finasee / 2023年4月13日 11時0分

給与と手取りの違いは? 天引きって何? お金を貯めるなら必須の「給与明細」読み解き方

Finasee(フィナシー)

「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説する。第16回は、新年度を機に改めて見返したい「給与明細」について。資産形成では月々の収入のうち、どれだけを運用に回せるかも重要な視点だ。投資家コミュニティの間では、投資に回せる金額の大きさを示す「入金力」という言葉もよく使われている。

いくら稼いでいるかを示す尺度として「年収●●万円」がよく使われる。しかし一般的なサラリーマンは収入から社会保険料などが天引きされており、自由に使えるお金、いわゆる「手取り」は限られている。ここでは手取りが算出される流れを押さえ、資産運用の見通しを考える一助としてほしい。

給与明細は大きく「勤怠」「支給」「控除」にわかれる

一般的に給与明細とは、毎月の給与支給と同時期に配付される、次のような資料を指す。

給与明細を見れば給与がどのような流れで算出されているか、ある程度確認できる。給与明細において、多くのサラリーマンが真っ先に注目するのは「差引支給額」と呼ばれる部分ではないだろうか。これが従業員が受け取ることのできる、手取りを表す。

給与明細は大きく「勤怠」「支給」「控除」の項目に分かれ、次のイメージで手取りを算出する。

各項目の概要について順番に解説していこう。まず「勤怠」項目では給与の支給対象となる1カ月間で、従業員がどのような勤務状態であったかが記載されている。

どれだけ働いたかは、出勤日数や残業時間などから確認できる。

また、就業規則などで労働日とされている日に休んだ場合も、勤怠項目に記される。事業者が従業員に付与する年次有給休暇の取得日数や、所定労働日に従業員が自己都合で休む欠勤の日数などが当てはまる。

勤怠項目は、従業員に対して給与が支給される根拠となる。自分の勤務状況が正確に反映されているか、まずはよく確認する必要があるだろう。

「支給」項目は残業代の計算過程も意識しよう

「支給」項目は勤怠項目などを参考に、給与の内訳を表している。合計額である「総支給額」が、一般的に収入金額と見なされている。

支給項目の大部分を占めるのが「基本給」。年齢や社歴、能力・経験などをもとに決められ、収入のベースとなる。勤怠項目において欠勤があると、基本給から欠勤分が差し引かれる場合がある。

一方で同じ休暇でも、年次有給休暇を取った場合は減額されない。そのため、有給を取得していた人は「欠勤扱いで給与が減らされていた!」ということのないように、基本給が減っていないか、勤怠項目とともに念のため確認しておきたい。

そのほかに通勤手当や住宅手当といった、各種手当ての金額も記載される。なかでも、毎月における金額の変動が比較的大きいといえるのは、いわゆる残業代を示す「残業手当」や「休日出勤手当」だ。手取りの金額を大きく左右するため、毎月欠かさずチェックしている人も多いだろう。

そもそも残業代とは、事業者の定めた所定労働時間や法律で規定された法定労働時間(1日8時間以内、週40時間以内)などを超えた労働に対して支払われる賃金だ。

事業者の定めにもよるが、残業代は一般的に、単位時間あたりの労働に対して支給される。具体的には、基本給に諸手当を足した金額を、月平均所定労働時間で割って求めるのだ。例えば基本給25万円、諸手当1万円、月平均所定労働時間を160時間とした場合、計算式は次のとおり。

1時間当たりの賃金=(25万円+1万円)/160時間=約1,625円

原則として、上記に残業時間を掛け合わせれば、残業代が算出される。ただし、事業者が決めた所定労働時間ではなく、法定労働時間を超えた場合などは、1時間あたりの賃金に下記に示す倍率により割り増しを行わなければならない。

こうした割増率の規定を含め、時間外労働に対する手当の支給は、労働基準法に基づいた事業者の義務だ。残業代について、労働日や時間帯に応じて適正な金額が支給されているかをしっかりと確認したい。

「控除」金額は税金・社会保険料が主な内訳

最後の「控除」項目では、総支給額から差し引かれる金額が記載されている。これにより算出された金額が、最終的な手取りとなる。

控除項目の大部分を占めるのが社会保険料と税金。そのほかに、勤務先が導入してる貯蓄制度や法人保険などの掛金・積立金も含まれる場合がある。

控除項目のメインとなる税金と社会保険料だが、多くの場合、下記項目が収入から天引きされる。

こうした社会保険料や税金は、給与水準が高い人ほど、徴収額が増えていく傾向がある。

例えば所得税は、毎年1月1日〜12月31日までの課税所得に対して、所得に応じた5〜45%の税率を乗じるなどして税額を求める。住民税については、前年度の所得をもとに、おおむね10%の税率を乗じるなどして、支払う金額が算出される。

一方で社会保険料は、基本的に毎年4〜6月の給与額を参考に、同年9月から保険料が改定されていく。仮に4〜6月の時間外労働を抑えられれば、残業手当が少なくなり、結果的に支払う保険料が少なくなるので、覚えておいて損はない。

以上のように、給与明細によって手取りが算出される流れを知ることは、自身が労働の対価として本来得ている収入を正確に把握し、今後の働き方を見つめ直す手がかりにもなる。

今後のキャリア・収入アップも選択肢の一つとして「入金力」を高めていくと同時に投資に回せる手取りの見通しを意識して、無理のない投資を心掛けていきたい。

文/藤田陽司(ペロンパワークス)

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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