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「投資は面白くない」と感じる人に共通する“もったいない勘違い”

Finasee / 2023年4月3日 17時0分

「投資は面白くない」と感じる人に共通する“もったいない勘違い”

Finasee(フィナシー)

日本のプレシニア・シニア層にとって、「投資」は資産形成の一環として重要なものだという認識がある一方で、そこに楽しさ・やりがいを感じている人は極端に少ないようです。原因は一体どこにあるのでしょうか?

50代~70代の投資実態に関する調査

投資信託協会が「投資信託に関するアンケート調査(プレシニア・シニア調査)」を発表しました。調査対象となっているプレシニア層というのはシニア世代に入る手前の層のことです。一般的には40代後半から50代を指すようですが、本調査では50代をプレシニア層、60歳から79歳までをシニア層として調査しています。

調査の目的は次の3つです。

①プレシニア・シニア層を中心に投資実態・マインドを把握し、老後の生活満足度を高めるような資産運用・投資信託利用の促進に資する資料とする
②プレシニア・シニア層の投資意識・課題から、現役世代における老後の資産形成への知見を得る
③調査結果を協会会員、各種研究機関、メディア等に広く還元し、制度改正に活用する

また、調査は昨年10月25日から10月31日までの期間で実施されました。サンプル数は全国3000サンプルです。

「資産を使い切って人生を終える」は可能か?

調査結果でまず気になったのは、世帯の金融資産評価額平均です。平均額なので、どうしても貯蓄額の多い人の方に引っ張られるのはともかく、男女とも高齢になるほど保有している金融資産の額が大きくなっています。

例えば男性の場合、プレシニア層である50~54歳の平均額は1689.0万円で、55~59歳が2478.4万円。これに対してシニア層である75~79歳で2942.8万円もあります。

女性の場合も、50~54歳が1485.4万円で、55~59歳が2251.1万円ですが、75~79歳になると3079.2万円になります。

同調査では、金融資産に占める預金比率が男女ともに比較的高いこと、男性に比べて女性の方が預金比率が高い点を指摘していますが、年齢層が上がるにつれて世帯の金融資産評価額平均が高くなる点については、どう考えるべきか興味のあるところです。

男女の平均寿命は、厚生労働省が『生命表(加工統計)』(令和3年)で公表した数字によると、男性が81.47歳、女性が87.57歳です。

例えば79歳の男性が3000万円近い金融資産を保有しているとして、平均寿命までの年数を考えると2.47年です。仮にこの男性が平均寿命まで生きるとしたら、恐らく保有している金融資産の大半を使わずに人生を終えることになります。

「自分の葬儀代だけを残して死ぬのが理想」と言う主張は多く見られますが、なかなかそれを実行するのは難しい現実を、数字は物語っているようです。

投資の楽しさ・やりがいを削ぐ原因

また、「多少損失があっても投資に楽しさ・やりがいを感じる」という問いに対する回答は、総じてネガティブなものです。この質問に対して、トータルの平均で「楽しさ・やりがいを感じる」と答えた人の回答比は、わずか10.3%でした。

特に女性は男性に比べてさらに低い傾向があります。例えば50~54歳のプレシニア層で比較すると、楽しさ・やりがいを感じると答えた人の回答比は、男性が12.5%であるのに対して、女性はたったの5.3%でした。

ちなみに上記回答は投資実施者・投資経験者のものです。実際に投資をしている人でも、投資に対して楽しさや、やりがいを実感できない人の割合の方がはるかに高いことが分かります。

ここから考えるべきことは、投資に対して楽しさや、やりがいを実感できない人が大半を占める以上、「何を用いて投資をすれば良いのか」ということです。

投資や資産形成に対する意識について、「資産形成への投資の役立ち度」という質問には、男性の場合、50~54歳で43.4%、55~59歳で47.4%が、資産形成に投資が役立つと答えています。女性も50~54歳で37.2%、55~59歳で34.7%が、「役立つと思う」と回答しています。

資産形成をする上で投資が必要だという認識は多くの人が持っているようですが、楽しさ・やりがいを実感できない人が大半を占める現実を考えると、株式の個別銘柄投資は相当にハードルが高いと考えられます。だからこそ、運用の難しい部分をプロに任せられる投資信託を積極的に活用するべきなのです。

ところが、保有経験のある金融商品等についての設問を見ると、株式の保有経験が71.6%であるのに対して、投資信託は55.1%でした。

投資に対して楽しさ・やりがいを実感できない層が多いにも関わらず、資産を増やすために勉強や研究が必要な株式投資の経験の方が多い点には、いささか違和感を覚えます。

恐らく、「投資=株式」というイメージでの思い込みが強いのでしょう。だとしたら、販売金融機関や投資信託会社は、投資経験のある・なしに関係なく、資産形成に投資信託を活用することのメリットをもっとアピールする必要があると言えるでしょう。

投資経験者に人気の投資信託は?

では、投資信託を保有した経験がある人は、どのようなタイプの投資信託を保有しているのでしょうか。

現在、保有している投資信託については、「国内株式に投資する投資信託」が最も高く51.0%、次いで「外国株式に投資する投資信託」が45.5%、「株式や債券など、いくつかの資産に分散して投資する投資信託(バランス型)」が42.4%と続いています。

かつて投資信託は国内株式に投資するものが中心でしたが、この数年で米国の株価が大きく上昇したことや、米国株投資の認知度が向上したためか、S&P500など米国の株価インデックスに連動するタイプの投資信託が人気を集めてきました。

その点で、国内株式に投資する投資信託と、外国株式に投資する投資信託の数字が拮抗しつつあることがよく分かります。

また、これから資産形成を始める人は、価格変動リスクを何よりも嫌がる傾向があります。これが、複数の資産クラスに分散投資して価格変動リスクを緩和させるバランス型に人気が集まる理由です。

一方、人気がない投資信託は「国内不動産投信(Jリート)」で9.7%でした。しかし、一定額以上の資産を保有する人にとっては、国内不動産投信も積極活用を検討する意味はあると思います。

国内不動産投信は組入不動産から得られる賃料収入の90%以上を分配金に回さなければならないというルールがあり、分配金利回りも2.5%~6.5%と高めだからです。

仮に2000万円程度の運用資産を年4%の分配金利回りで運用できれば、年間の分配金額は80万円になります。つまり、月6万6000円程度の現金収入が得られるということです。これは、特にシニア層にとって非常に魅力的ではないでしょうか。その点でも、国内不動産投信の有益性について広く知らしめる必要があります。

***
 

本稿では、少し気になった数字を抽出して解説を加えましたが、全95ページの同アンケートには、他にも様々なデータが掲載されています。興味のある方は、投資信託協会のホームページをぜひご覧になってください。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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