楽天ポイント「改悪」に“過去最大”赤字…それでも会員数爆増の理由
Finasee / 2023年5月1日 7時0分
Finasee(フィナシー)
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1997年5月1日、楽天グループの中核事業「楽天市場」のサービスがスタートしました。今でこそ約5万7000店舗(2022年末時点)もの出店数を誇る巨大ECモールですが、1997年のスタート当初はわずか13店舗でした。
楽天市場は、なぜこれほど成長することができたのでしょうか。
楽天市場はなぜ成功したのか楽天市場は、複数のテナントが出店するモール型のECサービスです。1つのお店が商品をインターネット上で販売するのではなく、ショッピングモールのように複数のテナントが同じ場所でそれぞれ独自の商品を販売しているイメージが近いでしょうか。
楽天市場のサービスが開始された当時は、インターネット黎明期で通信速度がとても遅く、また先行するECモールもうまく集客できていなかったことから、「インターネットではモノが売れない」とまでいわれていました。
しかし楽天市場には早くからテナントが集まり、2000年末には店舗数が4800を超えています。楽天市場は、導入するシステムに市販のパッケージ化されたものを用いず自社で開発し、インターネットに詳しくない人でもブラウザから簡単にページを更新できる仕様としました。これが奏功し、楽天市場はたくさんのお店が出店するにぎやかなECモールへと成長したと考えられます。
テナントの増加に伴って、楽天市場には多くの魅力的な商品が登録されるようになり、それを目当てにたくさんの利用者が訪れるようになりました。国内の楽天会員の数は1億を突破しており、楽天市場単体の年間流通総額は2020年に3兆円を超えています。
経済産業省の「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、同じ年の物販系分野のEC(B to C)市場規模は12兆2333億円ですから、単純に考えれば楽天市場が全体の約4分の1を占めていることになります。好調な楽天市場は楽天グループの屋台骨となり、同社の着実な成長を支えることとなりました。
【楽天グループの売上高】
楽天グループ 決算短信より著者作成拡大画像表示モバイルの不振で過去最大の赤字に
楽天グループを巡っては、「楽天モバイル」の不調を伝えるニュースが後を絶ちません。楽天モバイルは2019年10月に自社の回線網を利用する「MNO(Mobile Network Operator)」サービスを開始しますが、その年から楽天グループ全体で赤字を計上するようになりました。
【楽天グループの純利益】
楽天グループ 決算短信より著者作成拡大画像表示
赤字の主因とみられているのが、通信基地局の整備負担です。他社の回線を利用する「MVNO(Mobile Virtual Network Operator)」と異なり、MNOでは自社で通信環境を用意しなければいけません。その先行投資が重く、直近の2022年12月期では過去最大となる3700億円以上の純損失を計上しました。「モバイル」セグメント単体で4900億円以上の赤字となっており、楽天市場などの「インターネットサービス」や楽天カードなどの「フィンテック」の黒字を打ち消しています。
【セグメント別の業績(2022年12月期)】
楽天グループ 決算短信より著者作成拡大画像表示
楽天モバイルでは、当初行っていた通信料金を1年間無料とするキャンペーンが終了し、徐々に通信料金を支払うユーザーが増えているようです。また端末販売も増加したことから、四半期ベースではモバイルセグメントの業績は改善が見られました(2022年12月期)。
楽天モバイルは、今後もしばらくは投資が先行する展開が続きますが、2023年中に予定している通信エリアの人口カバー率99%達成後は、月に約150億円のコスト削減が期待できるとしています。もくろみ通りネットワーク費用が減少すれば、楽天モバイル事業は意外に早く黒字化するかもしれません。
【楽天グループの株価】
Investing.comより著者作成拡大画像表示まだまだお得な楽天ポイント! 効率よくためる方法は?
業績の不振を受けてか、楽天市場を利用する特典の1つである「楽天ポイント」は近年還元率などで改悪が目立っています。しかし累計で3兆を超える発行ポイント数や約500万の加盟店で利用できる楽天ポイントは、複数の企業や店舗が参加する共通ポイントの中でもトップクラスの規模を持ちます。楽天ポイントをためている人は少なくないでしょう。
楽天ポイントは、楽天市場をどのように利用すれば効率よくためられるのでしょうか。その場合、ぜひ楽天カードを発行しておきたいところです。通常、楽天市場では買い物代金の1%分のポイントが受け取れますが、楽天カードなら還元率が2%分上乗せされ、計3%分のポイントを受け取れます。
さらに楽天市場では、毎月5と0のつく日(5・10・15・20・25・30日)は楽天カードの還元率が別途2%分上乗せされ、合計のポイント還元率が通常の5倍(5%)となる常設のキャンペーンを提供しています。エントリーが必要ですが、他に特別な条件はないため、楽天カード入会者の多くが利用できるでしょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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