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「寝耳に水」の事態を回避…株や投信を相続するなら必須の“口座の条件”

Finasee / 2023年4月27日 17時0分

「寝耳に水」の事態を回避…株や投信を相続するなら必須の“口座の条件”

Finasee(フィナシー)

「相続手続き」は、初めてのことだらけのうえ、複雑で面倒くさいものです。

そのなかでも「有価証券」の相続手続きでは特に多くの方が戸惑うもの。また、“戸惑いながら”だったからこそ、相続手続きが終わったあとに、後悔する方もいらっしゃるほどです。

近年、投資ブームや企業での確定拠出年金の増加に伴い、相続時に株式や投資信託をお持ちのケースが増えてきました。そこで、証券等の手続きについて解説をしたいと思います。

健在のうちに投資をしているか確認を

株式投資をしているか否か、家族でも知らないことが多くあります。まずは生前に株式投資をしているかどうかの確認――ここから始めてください。特に最近は、インターネットで取引をしている方が多く、亡くなるまで家族が知らない場合は手続きがより複雑になってきます。

また、当の本人に「投資をしている」という意識がなくても、自社株を保有していた……というケースもあります。

「お父さん(お母さん)、株式投資している?」と軽く聞いてみるところから始めましょう。さらに「預けている証券会社はどこ?」ということも忘れずに聞いていただきたいと思います。

その際、被相続人(財産を遺していく側)が真面目な場合、「株式投資をしているのがバレたらまずい」等と身構えてしまう方もいますので、“軽やか”に聞くこともポイントです。投資をしているか否かを尋ねる前に投資についてディスカッションをして心をほぐすとよいでしょう。相続人の方のなかには「相続対策の話はしづらくて……」という方も多いのですが、経験した方は「なんで聞かなかったのだろう」と後悔をしていますから、なんとか切り出してみてください。

なぜならば「相続手続き」と「相続対策」は似て非なるもの。相続対策をしておけば、スムーズに処理をできるだけでなく、相続人同士でモメたりすることも少なくなります。相続人は現役世代も多く、仕事や子育てで忙しいなか、相続手続きをするのはかなり面倒なことでしょう。事前にできることはなるべく済ませて準備するに越したことはありません。

いざ、相続が発生したら…相続人にも証券口座が必須

私が相続コンサルタントとてお客様対応をする際に、夫・親は証券口座を持っているが、妻や子は証券口座を持っていないというケースを多くお見受けします。証券口座を持っている本人が亡くなると、たとえ遺族でも即現金化をすることはできません。

「移管」といって、被相続人の口座から相続人の口座へまずは株式銘柄(商品)を移動させないとならないのです。ここが、遺族にとっては“寝耳に水”なところで、たいていの方が慌てられます。

まず証券相続が発生した際に行うことは、「被相続人の証券会社に相続人も証券口座を開設すること」です。しかし、証券口座の開設には少々時間がかかります。ネット証券などでオンラインで開設できる場合はすぐに開設できる場合もありますが、実際の取引開始までには時間がかかるので各社で確認をしてください。郵送で開設の場合、10日から、なかには2週間ほどかかるケースもあります。

いずれにしてもポイントはできるだけ短期間での開設をすることです。なぜなら証券は生き物、日々刻々と価格変動がされています。「手続きしている間に価格が30%ダウンしてしまった」などということがあると、資産価値が下がってしまうので注意が必要なのです。できることならば、生前に被相続人と同じ会社で証券口座だけでも作っておいた方が得策でしょう。そうすればスムーズに移管ができます。

相続がきっかけで投資にトライするなら…NISA口座を優先!

相続人のなかには、相続をきっかけに投資を始める方もいらっしゃいます。

相続した証券を即現金化して使う必要がない場合は、相続した証券資産を軍資金に資産運用にチャレンジするのも1つの方法です。

その時、投資が初めての場合は『NISA口座』を開設するのをおすすめします。NISA口座は、通常なら運用益が分離課税で20.315%(復興特別所得税含む)も税金でとられるところ、非課税となるお得な口座です。

2024年1月からは、規定はありますが投資枠も1800万円と拡充されます(いわゆる「新NISA」です)。まだNISA口座をお持ちではない方はぜひ開設するとよいでしょう。しかし、NISA口座を開設する際に、各証券会社は税務署に確認作業をしなくてはならず、そちらにも1週間~2週間ほど時間がかかりますのでご注意ください。

逆に「投資怖い=現金化」一択は正しいのか

いっぽうで、「投資=悪」という認識をお持ちの方も多いのが実情です。

そうすると、相続で引き継いだ株式等は、「現金化する一択!」になりがちです。果たして、それが最善策なのでしょうか?

証券にまつわる仕事をしている仲間からこんな話を聞きました。それは、相続人の方が現金化するのは自由だが、被相続人の方が、どんな気持ちでどんな目的で投資をしたのか、遺していたのかが引き継げないのが残念だというのです。投資活動は人により目的は様々でしょう。単に「お金を増やす」という目的の場合もありますが、そこに様々な気持ちが加味されることもあります。

ある方は、自分の老後資金を増やすために資産運用を始めたが、思ったよりも運用成績が良かった。自分の老後資金は十分となったが、このまま運用は継続し、今度は子どもたちの老後資金の為に、資産運用を続けてお金を遺してあげようと思った、と言います。

またある方は、自分は会社をリタイアしたがこれからは社会に貢献していきたい。A社は自分の仕事に対しての理念とかぶる会社なのでぜひ応援したい。A社株式の購入資金は余裕資金で購入したので、A社が更に成長するまでは株式を保有し続きたい――そんな熱い想いで投資をされる方もいるそうです。

このような思いを相続人に伝えておかないと、投資をした方のA社への想いは閉ざされてしまいます。相続というのは、単に「資産の移動」ではなく、「想いを引き継ぐ継承」ということを忘れないで頂きたいと思います。

●監修:田中久登(バリューアドバイザース)

寺門 美和子/ファイナンシャルプランナー

上級プロ夫婦問題カウンセラー、相続診断士、終活カウンセラー、公的保険アドバイザー。お金と相続と夫婦問題の専門家。48歳で離婚、失意の底から資格を取得し起業。一般社団法人夫婦問題診断士協会代表理事。共著に『別れても相続人』(光文社)。

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