「ノムラ・ジャパン・オープン」はなぜ今注目されるのか
Finasee / 2023年4月21日 19時0分
Finasee(フィナシー)
2023年注目の国内割安株ファンド
2023年に入り、「ノムラ・ジャパン・オープン」の純資産総額が大きく増加しています。同ファンドの純資産総額は長く低迷しており、2022年末でおよそ290億円でした。それが2023年4月には490億円を突破しています。
【純資産総額の推移】
出所:野村アセットマネジメント「投資信託情報」より著者作成ノムラ・ジャパン・オープンは20年以上運用されている銘柄です。なぜ急にノムラ・ジャパン・オープンが注目されるようになったのでしょうか。
【ノムラ・ジャパン・オープン】
出所:野村アセットマネジメント「投資信託情報」より著者作成東証の株価改善策で期待が集まるノムラ・ジャパン・オープンは、東証が株価上昇を働きかけていることが期待され、資金が集まっていると考えられます。
東証は2022年4月に市場区分を再編し、それに伴って「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」を設置しています。その第5回会議が2022年12月に開催され、その中でPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回るなど、株価が割安に放置されている上場企業に改善を呼びかける案が示されました。
PBRは「株価÷1株あたり純資産」で計算される株価指標で、分子である株価が上昇するとPBRも上昇します。例えばPBR 0.8倍の株式がPBR 1倍となるには、1株あたり純資産が変わらない限り、株価が25%上昇しなければいけません。
つまり、東証がPBR 1倍割れの企業に改善を呼びかけるということは、それらの株式の値上がりに期待できるということです。そして2023年3月、東証はPBR 1倍割れの上場企業などに、株価を引き上げる具体策の開示と実行を要請しました。
このような経緯で、国内の割安株は株価の上昇が期待されるようになり、同じく国内の割安株で運用されるノムラ・ジャパン・オープンにも資金が向かったと考えられます。
長い運用実績と好成績が投資家を呼び込むノムラ・ジャパン・オープンの良好な実績も、同ファンドが資金を集めたことと無縁ではないでしょう。
ノムラ・ジャパン・オープンは1996年2月から運用される長寿ファンドです。設定来リターンは80%を超えており、ベンチマークのTOPIXを大きく上回っています。また直近のリターンもTOPIXに引けを取りません。
【期間騰落率(2023年3月末時点)】
出所:野村アセットマネジメント 月次レポートより著者作成実績は将来の運用を保証するものではありませんが、過去に優秀な成績を収めたファンドはやはり注目されやすく、ノムラ・ジャパン・オープンが人気化した理由の1つと考えられます。
国内の優良割安株に投資したいときの選択肢ノムラ・ジャパン・オープンは、国内の上場企業のうち、割安性をベースにポートフォリオを構築します。競争力や経営力が強く、かつ中長期で業績拡大も期待できる企業に絞り込み、株価指標などから中長期的に割安だと判断される銘柄が投資対象です。
業績拡大が期待できるかどうかは、その企業が属する産業全体の動向にも着目して分析します。成長産業の場合はその業界内の競争力、成熟産業の場合はその業界で勝ち残れる可能性や市場シェアを評価し、最終的には企業訪問なども参考に銘柄を選定します。
【組入上位10銘柄(2023年3月末)】
銘柄 比率 日立製作所 6.5% ローム 4.5% ソニーグループ 3.6% 第一三共 3.5% アドバンテスト 3.5% 横浜ゴム 2.7% SOMPOホールディングス 2.7% キーエンス 2.5% ディスコ 2.5% 日本電信電話 2.4%
つまりノムラ・ジャパン・オープンは、上記のようなプロセスを経て、今後の成長に期待できる国内の優良企業の株式に投資する投資信託です。これらの企業にまとめて投資したい人は、ぜひノムラ・ジャパン・オープンを検討してください。ただし、投資の際は目論見書記載のリスクや手数料を確認し、元本保証ではない旨を十分理解してから行ってください。
なおノムラ・ジャパン・オープンは2022年4月にファンドマネージャーが変わり、投資環境に応じてポートフォリオを変化させる方針を示しています。リスクオン局面では成長企業や景気敏感株を、リスクオフ局面では勝ち残り企業や安定業績株の割合を高めるとしています。
【ノムラ・ジャパン・オープンの概要】
銘柄 ノムラ・ジャパン・オープン 運用会社 野村アセットマネジメント ファンドのタイプ 国内株式型 設定日 1996年2月28日 信託期間 無期限 決算日 2・8月の27日 受渡期間 4営業日 販売手数料(最大、税込み) 3.3% 信託報酬(全体、税込み) 1.672% 信託報酬(販売会社、税込み) 0.7755% 信託財産留保額 0.3% 主な販売会社 野村證券三菱UFJモルガン・スタンレー証券
東海東京証券
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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