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「教育費無償」は幻想? “高卒”でもこれだけかかる学習費用の実態

Finasee / 2023年5月10日 7時0分

「教育費無償」は幻想? “高卒”でもこれだけかかる学習費用の実態

Finasee(フィナシー)

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総務省は4月に人口推計を発表しました。2022年10月時点における日本の総人口は1億2494万7000人となり、12年連続の減少となっています。減少率は15歳未満で約14%、15歳~64歳で約9%となりました。対照的に、65歳以上の人口は約23%増加しています。

【総人口の推移(2010年=100)】

総務省「人口推計(2022年10月1日時点)」より著者作成

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政府は少子化を食い止めるため、これまでさまざまな施策を実施してきました。そのうちの1つが「子ども・子育て支援法」です。同法は2019年5月10日に改正され、幼児教育・保育料の一部が無償化されました。

満3歳から小学校入学までの教育・保育が無償化

改正子ども・子育て支援法によって無償化されることとなったのは、満3歳~満5歳児クラスの3年間です。つまり、3歳になって初めての4月から小学校入学までは、教育料や保育料が発生しないことになりました。さらに住民税非課税世帯の場合、0歳~満2歳児クラスの期間についても利用料がかかりません。

また複数の子どもが同時に保育所などを利用している世帯の場合、0歳~満2歳児クラスの利用料は2人目が半額、3人目以降は無料となります。うち年収360万円未満相当世帯の場合、1人目の年齢条件は問いません。従って、この世帯は第1子が小学1年生以上の年齢になっていても、0歳~満2歳児クラスの第2子は半額、第3子以降は無料となります。

【幼児教育・保育の無償化の概要】

出所:内閣府 幼児教育・保育の無償化概要

対象の施設は、幼稚園や保育所のほか、認定こども園や地域型保育などです。また幼稚園の預かり保育や認可外保育施設などを利用しているケースでも、市町村から認定を受ければ無償化の対象となります。

ただし、これらの施設の料金の全てが無料になるわけではありません。通園の送迎費や食材料費などは保護者の負担が続くため注意してください。

法改正で「産後パパ育休制度」がスタート

子育てを巡る改正では「産後パパ育休(出生時育児休業)」の新設も注目されました。2022年10月の改正で設けられた制度で、父親の育児参加を促す狙いがあります。

近年は改善傾向にあるものの、男性の育児休業取得率は女性に遠く及びません。岸田首相は2022年3月、男性の育児休業取得率を2025年度に50%、2030年度に85%へ引き上げる目標を表明しています。

【育児休業取得率】

出所:厚生労働省 雇用均等基本調査(令和3年度)

そもそも育児休業とは、原則として子どもが1歳になるまで休業できる制度です。これは「育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)」によって定められており、会社は育児休業の申し出を拒むことができません。

そして新設された産後パパ育休は、産後8週間までの父親が4週間まで休業を取得できる制度です。これは従来の育児休業とは別枠で考えられるため、産後パパ育休を取得した父親の育児休業が短くなることはありません。

また産後パパ育休には、育児休業と同じように給付金(出産時育児休業給付金)も設けられています。条件がありますが、支給額は育児休業給付金と同様、おおむね休業開始時の賃金の67%です。なお、休業中に会社から賃金の支給がある場合、給付金からは差し引かれます。

高校卒業までの教育費はいくらかかる?

先述したような支援策を利用すれば、子育てにかかる経済的な負担をある程度軽減させることができるでしょう。しかし教育費は子どもが小さいときだけでなく、長期的にかかってくるものです。どれくらいの教育費を用意すればよいのか、不安になる人は少なくないでしょう。

文部科学省の「子供の学習費調査(令和3年度)」によれば、高校卒業までの学習費(給食費、学校外活動費を含む)は、全て公立の場合は約574万円、全て私立の場合は約1838万円となりました。私立は、平均して公立のおよそ3倍の教育費がかかっているようです。

教育費の不足を防ぐには、各学年で見込まれる支出を知っておかなければいけません。学年別の学習費は、私立小学校の1学年で最も高く、およそ214万円となりました。私立小学校は、その後も比較的大きな費用が毎年発生している様子がうかがえます。

【各学年の学習費総額の平均(2021年度)】

文部科学省「子供の学習費調査(令和3年度)」より 著者作成

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このことから、私立小学校へ入学させる場合、6歳までに教育費をしっかり準備しておかなければ資金繰りは厳しくなることが予想されます。子どもが生まれたら、早いうちから家計を見直し、計画を立てておくことが望ましいといえそうです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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