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楽天銀行とホリエモンに因縁? “泥沼”訴訟乗り越え果たした上場

Finasee / 2023年4月28日 17時0分

楽天銀行とホリエモンに因縁? “泥沼”訴訟乗り越え果たした上場

Finasee(フィナシー)

「楽天銀行」が2023年4月21日、東京証券取引所プライム市場に上場しました。同行は1300万以上の口座と約9兆円の預金(2023年3月末時点)を抱える大手ネット銀行の一角であり、その上場は個人投資家の注目を集めそうです。

【楽天銀行の口座数および預金残高の推移】


そんな楽天銀行も、実は創業当初は苦労の連続でした。今回は楽天銀行の歩みを振り返ってみましょう。

大企業が設立した国内2番目のネット銀行

楽天銀行の前身は「イーバンク銀行」です。2000年1月に伊藤忠商事や日立製作所といった大企業の共同出資によって設立されたインターネット専業銀行で、2001年7月に営業を開始しました。ネット銀行としては、ジャパンネット銀行(現・PayPay銀行)に次いで2番目の開業でした。

楽天グループとの関係は、業績不振に苦しんでいた2008年に始まります。当時のイーバンク銀行は2006年3月期に初めて黒字化したものの業績は安定せず、さらにサブプライムローン問題などで深刻な赤字を計上していました。

そこで楽天(現・楽天グループ)が2008年9月に約200億円を出資し、イーバンク銀行を救済します。その期までは運用していたサブプライム関連資産の損失などで大幅な純損失となりますが、翌期には黒字に転じました。その後、イーバンク銀行は2010年5月に商号を楽天銀行へ変更し、同年10月に楽天の完全子会社となっています。

【イーバンク銀行(楽天銀行)の業績】

出所:楽天銀行(旧イーバンク銀行) 決算短信

創業期にライブドアと泥沼の訴訟合戦を演じる

実は楽天グループよりも早くイーバンク銀行と提携していたIT企業がありました。2006年に金融商品取引法違反などで注目された「ライブドア」(当時はエッジ)です。

ライブドアは2003年10月までにイーバンク銀行の筆頭株主となり、両社は提携することを発表します。当時のイーバンク銀行は早期の黒字化が喫緊の課題であり、ECストアなどインターネットサービスを展開していたライブドアと協業することでその達成を目指しました。またライブドア側にも、今後の成長が期待されるインターネット金融の強化を図る狙いがあったとみられます。

しかし経営に対する考え方や企業文化の違いなどから、ライブドアとイーバンク銀行は早々に対立するようになりました。

当時ライブドアは、同社がイーバンク銀行にコスト削減を強く求めたこと、過去の投資案件の不透明さを指摘したことなどから関係が悪化したと主張しています。一方イーバンク銀行は、イーバンク銀行へ出向したライブドア社員がイーバンク銀行の役員や従業員に暴言を吐いたことなどが亀裂となったと主張し、両者で認識が食い違うようになりました。果てには双方が互いに刑事告訴し合う泥沼の展開に発展します。

結局、ライブドアがイーバンク銀行株式を第三者に譲渡することなどを条件に、両社は2004年10月和解しました。発表からわずか1年という短い提携は、互いに疲弊する結果に終わったようです。

今の業績はどれくらい? 今後の成長率は?

先述の通り、現在の楽天銀行はイーバンク銀行時代にさまざまなトラブルに見舞われました。当時を知る人は、楽天銀行が業界トップクラスの規模にまで成長するとは思わなかったかもしれません。

もっとも、楽天銀行株式への投資を検討している人にとっては、過去より現在の状況の方が気になるところでしょう。

楽天銀行の直近の業績は以下の通りです。近年は口座数や預金残高が飛躍的に増加し、売上高に相当する経常収益も1000億円台に乗りました。

【楽天銀行の業績】

出所:楽天銀行 新規上場申請のための有価証券報告書 (Ⅰの部)

楽天銀行の好業績を支えているのが決済サービス利用者の拡大です。ネット銀行は一般に、口座振替といった決済サービスによる手数料収入が重要な収益源となっています。楽天銀行は口座開設者が増えるに従って決済サービスの利用件数も増加傾向にあり、2022年3月期には6億3900万件に達しました。

【決済件数】
2018年3月期:2億5600万件
2019年3月期:3億2000万件
2020年3月期:4億100万件
2021年3月期:5億3700万件
2022年3月期:6億3900万件

出所:楽天銀行 決算参考資料

また貸出金の増加も、楽天銀行の好調な理由の1つです。近年は特に提携ローンや投資用マンションローンの増加が顕著で、全体の貸出金は2022年3月期で約2兆9000億円に上りました。

【貸出金残高】


このように快走している楽天銀行ですが、今後はどれほどの成長を目指しているのでしょうか。同行が2022年4月に定めた「中長期ビジョン」によると、2027年3月期までに約2500万の口座数、約2000億円の預金量などの達成を目標としています。仮にこの通りに進捗した場合、楽天銀行は毎年2桁成長を果たす計算です。

【楽天銀行「中長期ビジョン」の数値目標】

 

文/若山卓也(わかやまFPサービス) 

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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