検察トップによる前代未聞の犯罪…身内の「起訴猶予」に世間は猛反発
Finasee / 2023年5月21日 11時0分
Finasee(フィナシー)
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検察は刑事事件を起訴し、裁判では被告人の罪を証明する役割を担っています。いわば検察は「法の番人」ともいえる存在です。
しかし2020年、そんな検察官が自ら法を犯す事件が起こりました。
検察庁トップが違法に賭博2020年5月21日、東京高検検事長は金銭を賭けてマージャンを行ったことを認め、辞表を提出しました。当時の報道で、賭けマージャンを行った新聞記者らと1~2万円の現金をやりとりしたことが明らかになっています。
検事長は高等検察庁の長であり、刑事事件を断罪する検察のトップが違法行為を行ったこと、さらにはその賭けマージャンが緊急事態宣言下に行われたことに国民は強く反発します。
【刑法第185条「賭博」(抜粋)】
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
【刑法第186条「常習賭博及び賭博場開張等図利(抜粋)】
1.常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2.賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
出所:e-Gov法令検索 刑法
当該元検事長は刑事告発されますが、東京地方検察庁は当初起訴を見送ります。しかし、不起訴の妥当性を改めて話し合う検察審査会では起訴すべきことが議決されました。これを受け、東京地方検察庁は一転して元検事長を2021年3月に略式起訴します。同月、東京簡易裁判所は元検事長に罰金20万円を命じました。
なぜギャンブルをしてはいけないのかそもそも、なぜ日本では賭博は罪に問われるのでしょうか。海外ではギャンブルが認められている国もあることから、疑問に思う人もいるかもしれません。
賭博場開張等図利罪の規定は憲法に違反するとして争われた裁判で、最高裁判所は以下のように示し、ギャンブルが公共の福祉に反するとしました。端的にいえば、ギャンブルは国民の勤労意欲を減退させ、さらには犯罪をも誘発すると指摘しているのです。この考えから、日本では賭博が罪と規定されていると考えられます。
賭博行為は……勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風……を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらあるのである。
出所:裁判所 最高裁判所大法廷昭和25年11月22日判決
もっとも、仮に法律で規制されていなくても、お金を増やす目的でギャンブルは行うべきではないといえます。仕組みを考えれば、ギャンブルでお金を増やすことができないことは明らかだからです。
ギャンブルは基本的に、客同士で出し合ったお金を奪い合う構造となっています。つまり客がギャンブルで手にできるお金は、客が支払ったお金に限定されます。例えば2人の客が100万円ずつ賭けたとき、客が手にできるお金は最大でも200万円です。客の一方が100万円を増やせても、もう1人は100万円を失っているのであり、お金の総量は増えません。
さらには、その賭場を開く胴元が運営費や利益として客が支払ったお金から一部を持っていくため、むしろ客全体の取り分は減ってしまいます。この仕組みから、ギャンブルの客は平均的には必ず負けるようになっているのです。
国内には競馬やオートレースといった合法のギャンブルがありますが、この仕組みは同様で、客が継続的に勝つことは現実的ではありません。これらは、あくまでレジャーの1つとして楽しむようおすすめします。
要注意!「オンラインカジノ」の落とし穴近年はインターネット上でギャンブルを行う「オンラインカジノ」を利用する人が増えているようです。検索すれば関連する多くの情報が表示されることから、かなりカジュアルに情報発信されている様子がうかがえます。オンラインカジノの多くは海外を拠点としていることから、違法性がないと主張する記事も少なくありません。
しかし原則として、国内からオンラインカジノを利用することは違法です。海外で合法的に運営されていても、日本国内から接続してギャンブルを行えば賭博罪や常習賭博罪に問われる可能性が否定できません。実際、オンラインカジノを利用したとして検挙されるケースも出ています。
【オンラインカジノに係る賭博事犯の検挙件数】
・2020年:16件
・2021年:16件
・2022年:10件
出所:警察庁 オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!
オンラインカジノを合法とする記事は、当該オンラインカジノから報酬を受けて宣伝するアフィリエイトサイトに多いとみられています。これらの情報をうのみにせず、オンラインカジノを利用すれば逮捕される可能性があること、また結局はオンラインカジノも営利を求めることから継続的にお金を増やすことはできないことをしっかり覚えておきましょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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