仕事もせず実家で「推し活」に没頭…父の死後に発覚した“姉の嘘”
Finasee / 2023年5月17日 11時0分
Finasee(フィナシー)
結城夏美さん(仮名)は企業系の研究所で主任を務めるワーキングマザー。年子の小学生の息子がいます。
自身は2歳年上の姉の梓さんと2人姉妹ですが、正直、梓さんとは子供の頃からあまり仲は良くなかったと言います。梓さんが身勝手な上に、夏美さんには母親が梓さんばかりえこひいきしているように見えたからです。
梓さんは早くに結婚して姪の七海さんを出産しましたが、7年前に離婚。当時11歳の七海さんを連れて実家に戻ってきました。夏美さんは仕事や子育てに追われて近年千葉県の実家にはあまり帰れませんでしたが、それでも梓さんの様子はずっと気になっていたそうです。
梓さんは体の具合が悪いわけでもないのに働かず、しかもここ数年は七海さんと一緒にアイドルグループの“推し活”に夢中。それでも、元義兄に七海さんの養育費をもらっていると聞いていたので、「勝手にすれば」という気持ちでした。
しかし、2年前に父親が亡くなり、先行きに不安を覚えた母親から相談を持ち掛けられたことで驚愕の事実を知ります。この“困った姉”が変わるきっかけをつくってくれたのが、夏美さんの夫の紹介で出会ったあるお金の専門家でした。
〈結城夏美さんプロフィール〉
東京都在住
39歳
女性
研究所管理職
会社員の夫と小学生の息子2人の4人家族
金融資産800万円
私には2歳違いの姉がいます。姉は短大を卒業した後に就職した運輸会社で出会った男性と結婚し姪の七海をもうけたのですが、嫁ぎ先の両親との不仲で7年前に離婚。以降は七海を連れて実家に戻って暮らしています。
離婚した頃は「義理の両親とのやり取りで疲れ果てた」と精神的に不安定になっていたこともあり、母が「しばらく家で静養したら?」と勧めたようです。しかし、それから7年経った今でも働く様子が一向にありません。
それどころか、ここ3~4年は七海と一緒にある男性アイドルグループに夢中になり、ファンクラブに入会してコンサートツアー巡りをしているようです。昨年も、ツアー初日に静岡まで足を延ばし、その後も2回、大阪や名古屋に泊まり込みで出かけていました。
ツアーに行くたび“推し”のグッズを大量に持ち帰り、DVDが発売されれば鑑賞用と保存用で2セットずつ買い込む。小学生の年子の息子二人の子育てに追われる私からすれば、「40過ぎてよく10代の娘と一緒に“推し活”に熱中できるよね」という感じです。
姉からは「元旦那に七海の養育費をもらっている」と聞かされていたので、元義兄にちょっぴり同情する一方、姉のことは「いいご身分だこと」くらいに軽く考えていたのです。
それが自分の利害にも関わる問題だと気づいたのは、今年に入って母から相談を持ち掛けられたことがきっかけでした。
父の死がきっかけで発覚した嘘実家では2年前、父が心筋梗塞で急死しました。突然のことでみんな茫然自失でしたが、母や姉と話し合い、実家の不動産や父名義の預貯金はとりあえず全て母が相続することに。父は上場企業に勤めていましたが課長止まりだったので、退職金や年金もそれほど多くなく、相続税の心配は無用でした。
しかし、父が存命中は世帯で月額28万円あったという年金が父の死後には17万円にダウンしてしまい、母は先行きに不安を感じ始めたようでした。
「私1人ならどうにでもなるけれど、梓や七海のことがあるからね。七海はもうすぐ大学受験でしょ? 七海の成績だと奨学金は難しそうだから、入学金や授業料も払ってやらなきゃならないし……。お前のところは共働きだから、少しは都合できない?」
ちょっと待ってよ、と思いました。
「お姉ちゃんは七海の養育費をもらっているんじゃなかったの?」。慌てて母に確認すると、姉は離婚後、慰謝料も養育費も一切受け取っていないとのこと。そこで初めて、両親が姉に毎月15万円の生活費を渡していたことを知らされたのです。
父が残した現預金の残高は1500万円まで減ってしまい、このまま同居を続けていたら10年も経たないうちに蓄えが底をついてしまうとこぼす母に、言葉を失いました。
思えば母は、子供の頃から姉には大甘でした。姉がディズニーランドに行きたいと言えば連れていってあげる。洋服を欲しがれば買ってあげる。飽きっぽい姉が着なくなった服は私のところに回ってきます。
姉はフリルのブラウスやロングスカートといった女の子らしい服が好みですが、ショートカットで色黒の私に似合うわけがありません。「夏美、なんかへんちくりんだよね」と大笑いする姉を何度殴り倒してやりたいと思ったかしれません。
自立を促されてまさかの逆ギレ相変わらず姉に甘い母に腹を立てながらも、家に帰った際、姉に「お父さんが亡くなってお母さんも大変だし、お姉ちゃんもそろそろ自立しないとね」とやんわり意見したところ、「あんたに私の何が分かるの⁉」と逆ギレされました。
「あんたは親のお金で大学まで行かせてもらって、今は会社でも役付き。息子たちも成績優秀で将来は安泰じゃない。でも私には何もないの。出戻ったシンママ(シングルマザー)の気持ちなんて、あんたに分かるはずがない!」
突然の逆ギレに驚いている私を前にして姉は非難の言葉をまくしたて、その後も意見を聞こうとしませんでした。
●逆ギレする姉の言い分とは!? 続きは後編【「アイドルの沼」から抜け出した姉―見つけた“推しより大切な存在”】で紹介します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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