新NISAの「これだけは絶対おさえておきたい」7つのルールとは?
Finasee / 2023年5月23日 11時0分
Finasee(フィナシー)
2024年からスタートする新NISAとは、ものすごく簡単に説明すると「投資で儲けても国は税⾦を取りません」という制度です。詳細が知りたい方は、連載第1回【「新NISAはなぜ生まれた?」国が本気で投資を促す“納得の理由”】をご覧ください。
第2回目となる本稿では、新NISAを理解するための7つのルールを解説します。「これ以上は簡素化できない」というほど感覚的に理解できるように説明しますので、早速詳細を見ていきましょう。
ルール①「1800万円までお⾦が⼊るハコ」が全員もらえる新NISAの1つ目のルールは、「1800万円までお⾦が⼊るハコが全員もらえる」というものです。⼦どもは18歳になった時点でハコがもらえます。ハコは1⼈1個で、使うも使わないも自由です。しかし、ハコを誰かに売ったりあげたりすることはできません。
このルールで最も重要なことは、「このハコには1800万円まで株・投資信託を⼊れられる」という点です。
ルール②ハコの中で増えたお⾦には税⾦がかからない2つ目のルールは、「ハコの中で増えたお⾦には税⾦がかからない」というものです。例として、新NISAを使わずに、100万円で買った株を120万円で売った場合を考えてみましょう。差額の20万円にかかる税金は、
20万円×20.315%(※)=4万630円
※配当金等にかかる税率。内訳は所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%
となり、4万630円ものお⾦が税⾦として持っていかれてしまいます。ちなみに、税金がかかるタイミングは「値上がりした時」ではなく、株を売って利益が確定した時です。
この税金の考え方は、株から定期的に得られる配当金についても同様です。100万円分の株を買い配当利回りが3%だとすると、毎年3万円がもらえます。この配当⾦にも税金がかかるため、
3万円×20.315%=6095円
となり、6095円が税⾦として引かれます。これだけ見ると「まあ仕方ないか」と思える額かもしれません。しかし、仮に10年間株を持ち続けたとすると、引かれる税金は6万950円……iPadを1台買えるぐらいの金額が税金として消えていくのです。
せっかく頑張って増やしたお金ですから、できれば税⾦を引かれないたくありませんよね。そのために使うのが新NISAというハコです。与えられたハコに株・投資信託を⼊れておけば、いくら儲かっても永久に税⾦が取られません。
ルール③ハコの上限1800万円は「⼊れたお⾦」でカウントする3つ目のルールは、「ハコの上限1800万円は⼊れたお⾦でカウントする」というものです。具体的な数字で考えてみましょう。
まず、100万円の株を買って新NISAのハコに⼊れます。この株が1年後に120万円まで上がったとします。さらに、3万円の配当⾦も得られたとしましょう。
この時点でハコの中に⼊っている資産は「120万円の株」と「3万円の現⾦(配当⾦)」の123万円分。では、ハコに⼊る残りの金額はいくらになるでしょうか?
もしかすると、1800万円-123万円=1677万円、「残り1677万円だ!」と思った方もいるかもしれませんが、正解は1700万円です。
これが【ルール③】の特徴で、1800万円までお⾦を⼊れられるルールは「株や投資信託を買ったときの⾦額」でカウントされ、ハコの中でどれだけお⾦が増えても上限が変わりません。
ルール④ハコの中⾝は出し⼊れ⾃由4つ目のルールは、「ハコの中⾝は出し⼊れ⾃由」というものです。これも具体的な数字で見ていきたいと思います。
まず100万円分の株を買ってハコに⼊れました。「次はどんな株を買おうかな?」と思っていた矢先に⾃宅の⾞が故障、すぐに買い替えなければなりません。
そこで、先ほど投資した株100万円のうち50万円を売ることにしました。そうすると、⼿元には50万円の現⾦が戻ってきました。では、現在のハコにはあといくらお⾦が⼊るでしょうか?正解は、
1800万円-50万円=1750万円
となり、残り1750万円です。これが【ルール④】の特徴で、ハコの中⾝を取り出すとその分だけ枠の上限も復活します。ハコに入れられる上限である1800万円を超えない限り、何度でも資産(株や投資信託)を出し⼊れすることができるのです。
ルール⑤ハコに⼊れられるお⾦は年間360万円総額1800万円まで入れられる新NISAのハコ。実は、このハコには「投資できる額は年間360万円まで」というルールがあります。
ここまでハイペースで投資できる⼈は少ないとは思いますが、「新NISAができたから貯⾦を切り崩して⼀気に投資しよう」と考えている⼈は注意が必要です。
また、【ルール⑤】の補⾜すべき点として年間上限額の内訳があります。年間上限360万円の内訳は「つみたて投資枠120万円+成⻑投資枠240万円」であることをおさえておきましょう。それぞれの枠で買える商品には、次のような特徴があります。
つみたて投資枠で買える商品つみたて投資枠で買える商品は、長い期間持っておくのに向いている、国が定めた一定の条件をクリアした投資信託です。
投資では、全資産を1つの投資先に集中させる⾏為は大変危険です。リスクが高すぎる投資はギャンブルに近く、⼤事な資産が大きく減ってしまう可能性があるためです。
ではどういう方針で投資すべきかと言うと、答えは「分散投資」。投資先を分けることでリスクも分散させられます。
しかし、投資する先を自分で選んで購入するのはなかなか⼤変な作業ですから、そこで活用したいのが「投資信託」です。ご存じの方も多いかもしれませんが、投資信託とは様々な資産に分散できる商品で、いわゆる「資産の詰合せセット」と考えてみると分かりやすいでしょう。
成⻑投資枠で買える商品「リスクを覚悟して積極的に資産を増やしたい」と攻めの姿勢での投資に使えるのが成⻑投資枠です。つみたて投資枠の年間120万円に対して、成⻑投資枠は年間240万円となります。
成⻑投資枠で買える商品は大きく2種類で、1つは上場している株式、もう1つは⼀般的な投資信託です。ここで購入できる投資信託は、例えば「テーマ型投資信託(例:IT関連企業株ばかりを集めた商品等)」などがあります。「今後、特定の業界・分野が伸びそうだからそこに投資したい」と考えている人にピッタリでしょう。
これらの投資はハイリスク・ハイリターンとなることがほとんどであるため、「成⻑投資枠」でのみ買うことができます。
ルール⑥上限1800万円のうち「成⻑投資枠」は1200万円まで前述の通り、新NISAのハコには1800万円までお⾦を⼊れられます。そのうち、成⻑投資枠に⼊れられるのは1200万円まで、というのが【ルール⑥】です。成⻑投資枠ではハイリスク投資が可能なため、国⺠がリスクの高い投資ばかりしないようにして、資産を守るための制限を設けたのだと思われます。
このルールがあることで、
●リスクを抑えたい⼈は、新NISAの枠1800万円のうち全額をつみたて投資枠で使う
●資産を大きく増やしたい⼈は、1200万円分を成⻑投資枠、残り600万円分をつみたて投資枠として使う
と各々の投資⽅針にあわせて使い⽅を変えることができます。
ルール⑦今までの「NISA」とは別のハコとして扱う2023年までNISA制度(以下、旧NISA)は3つに分かれていました。
1.つみたてNISA…⻑期・分散投資を⽬的とした制度
2.⼀般NISA…株など、⼀般的な投資を広めるための制度
3.ジュニアNISA…⼦どもの資産形成を進めるための制度
この3つの制度で投資できるのは、2023年末まで。2024年以降は旧NISAに新たにお⾦を⼊れることができなくなります。
では仮に、2023年末までに旧NISAで200万円を投資していた場合、2024年からスタートする新NISAではいくら枠が使えるでしょうか?
答えは1800万円です。旧NISAは新NISAとは別のハコなので、2023年末までにいくら投資していても「新NISAで投資できるのは1800万円まで」というルールは変わりません。詳しくは【新NISAは「前準備」が超重要! 知れば得する2023年の動き方】(本サイト記事)で解説しています。
***ここまで、新NISAの7つのルールをご紹介しました。新しい制度と言われると、「何だか難しそうだな」と身構えてしまいますが、こうしてポイントをおさえてみると制度の特徴が分かりやすくなってきたのではないでしょうか。
実際に制度が開始するのは少し先ですが、それまでは「自分はなるべくリスクを抑えたいのか、大きく資産を増やしたいのか」を考え、運用計画を作っておくとよいかもしれません。
浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。
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