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「国内最大」東京海上HDが世界でトップクラスの保険会社になれた理由

Finasee / 2023年6月10日 11時0分

「国内最大」東京海上HDが世界でトップクラスの保険会社になれた理由

Finasee(フィナシー)

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日本の保険市場は競争の激しさや成長の鈍化が懸念されており、それに伴って日本の保険会社は海外M&Aを強めています。東京海上ホールディングスはその筆頭で、2015年6月10日には米HCCインシュアランス・ホールディングスを約9413億円で買収すると発表し大きな注目を集めました。これは日本の保険会社によるM&Aで最高額とみられています。

【保険会社の主な海外M&A】

 

東京海上ホールディングスは日本で初めて誕生した損害保険会社でもあります。今日は同社の海外進出について押さえてみましょう。

国内1位、世界でもトップクラスの損保グループ

東京海上ホールディングスが積極的に海外M&Aを仕掛けるようになったのは2008年のことです。イギリスのキルンを約1060億円で買収したほか、同じ年にアメリカのフィラデルフィアを約4987億円で買収しました。

その後も数千億円規模の大型買収を相次いで実施しており、主要な案件だけでも累計の買収額は2兆円を超えます。投資家もこれを評価したのか、株価は2007年末のおよそ2倍の水準にまで上昇しました(2023年4月末時点)。

【東京海上HDの主な海外M&Aと株価の推移(月足終値 2007年末=100)】

Investing.comより著者作成

矢継ぎ早に海外M&Aを進めた結果、東京海上ホールディングスは世界でも指折りの保険グループへと成長しています。収入保険料や利益の水準は、他国の損保大手と比較しても引けを取りません。

【地域別、収入保険料ランキング(損害保険会社 2021年度)】
・日本:1位
・米国:12位
・イギリス:4位
・シンガポール:10位
・インド:13位
・ブラジル:7位
・タイ:4位
・マレーシア:7位

出所:東京海上ホールディングス 2022統合レポート

【利益上位10社(損害保険会社 2022年6月末時点)】

東京海上ホールディングス「2022統合レポート」より著者作成

東京海上ホールディングスは、保険市場で世界最大の規模を持つアメリカや、今後の成長が見込める新興国を重要な地域と位置付けています。今後もこれらの地域で同社の大型M&Aが見られるかもしれません。

【東京海上ホールディングスの業績】

※2023年3月期(予想)は、第3四半期時点における同社の予想

出所:東京海上ホールディングス 決算短信

要注意! 損保と生保で異なる保険金の支払い方

火災保険や自動車保険などに代表される損害保険は、生命保険と並んで身近な金融商品の1つです。しかしその保険金の支払い方には大きな違いがあることは、意外に知らない人も多いのではないでしょうか。

生命保険は「定額払い」が主流で、これは事前に定められた保険金が支払われることを指します。例えば保険金額1000万円で契約しその支払い事由が発生したなら、支払われる保険金は1000万円です。

対して損害保険は「実損払い」であることが一般的で、これは実際に発生した損害分のみ支払う方法を指します。契約する保険金額は支払限度額を表しているのであり、必ずしも全額を受け取れるわけではありません。

例えば保険金額1000万円の損害保険を契約し、その支払い事由で500万円の損害が発生した場合、支払われる保険金は500万円です。同じ条件で2000万円の損害が発生しても、保険金は1000万円までしか支払われません。これは契約が複数に分かれていても同様です。

このため、損害保険は過不足のない金額で契約することが大切となります。見込まれる損害を上回る金額で契約しても保険料に見合う保険金を受け取ることはできず、反対に少なすぎる金額で契約すると損害を回復することができません。損害保険に加入する際は、重複する補償がないか注意しつつ、適切な金額で契約するようにしてください。

こんな補償もあるの? 損保やミニ保険のユニークな商品

2023年4月、三井住友海上火災保険が原因を問わずキャンセル料を補償する旅行キャンセル保険をリリースし、「寝坊」などの自己都合でも補償される点が大きな話題を呼んでいます。

生命保険が主に人の生死に関わるものを保障するのに対し、損害保険はさまざまなリスクをカバーすることから、このようなユニークな商品も少なくありません。例えばゴルフでホールインワンを出した際の祝賀会や祝儀などの費用を補償する「ホールインワン保険」や、悪天候などで企画したイベントが中止に追い込まれた際の費用などを補償する「興行中止保険」などは、損害保険ならではの商品といえるでしょう。

特に「ミニ保険」とも呼ばれる少額短期保険の分野では、珍しい補償内容を持つ商品が続々と誕生してきました。体調不良などで子どもが修学旅行を欠席した際の費用を補償する「修学旅行キャンセル保険」や、SNSなどのトラブルを補償する「ネットあんしん保険」、ストーカーに遭ってしまった際の損害を補償する「ストーカー対策総合保険」など、ニッチながら確かにニーズのありそうな商品が多く見つかります。

これらは日本少額短期保険協会のウェブサイトでまとめられています。興味のある人は一度のぞいてみてはいかがでしょうか。あなたにぴったりの保険が見つかるかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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