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「絶対にもうかる」正規の金融機関に言われたら…資産を守る重要手段

Finasee / 2023年6月13日 7時0分

「絶対にもうかる」正規の金融機関に言われたら…資産を守る重要手段

Finasee(フィナシー)

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安定的な運用が期待できる債券は人気の商品ですが、実はトラブルが多いことでも知られます。金融機関と顧客間のトラブルを解決する「証券・金融商品あっせん相談センター」によると、2020年度は債券に関する苦情が最も多く寄せられ、2021年度も株式に次いで2番目に多くなりました。

【証券・金融商品あっせん相談センターが受け付けた苦情の件数】

証券・金融商品あっせん相談センター「紛争解決等業務の実施状況について(2021年度)」より著者作成

さらに、残念ながら債券は詐欺に用いられることも少なくありません。2013年6月13日には、後に実質経営者が出資法違反に問われた「K&A」が破綻し大きな話題を集めました。

高利回りをうたって違法に社債を販売

K&Aは、かつて名古屋市に存在した投資コンサルティング会社です。同社は2007年から2013年にかけて年6%前後の利回りを確約し、不正に社債を販売し資金を集めていました。

同社の社債は全国の数百人に数十億円分が販売され、その多くで利払いが滞ったことから社会問題に発展します。被害者らは結成した弁護団を通じて約3億2000万円の損害賠償を請求し、2017年12月に全額の支払いを命じる判決が下されました。

K&Aは高い利回りの根拠としてクレジット債権の回収事業や投資事業による収益を充てると説明していましたが、裁判でそのような事業を営んでいた事実はなかったことが明らかになっています。

「断定的判断の提供」を受けたときの対処法

K&Aのケースのように、詐欺事件や消費者事件では悪質業者が「絶対にもうかります」や「毎月〇%の配当を確実に受け取れます」といったうたい文句を使うことが常套手段となっています。

実際にはリスクのある商品について、元本が保証されているよう誤認させて取引を誘引するといった行為を「断定的判断の提供」といい、金融機関の従業員が行うことは許されていません。もしもこういった勧誘を受けた場合、詐欺を疑った方がよいでしょう。

【金融商品取引法第38条「禁止行為」(一部抜粋)】
金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。

2.顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

出所:e-Gov法令検索 金融商品取引法

あまり考えたくないケースですが、正規の金融機関から断定的判断の提供を受けることもないとは言えません。その場合、決してその情報をうのみにしないことが大切です。またそういった行為をしないよう申し入れることも、大切な資産を守る重要な手段となるでしょう。

問題は、断定的判断の提供に基づいて既に商品を購入してしまったケースです。当該取引で損失が発生した場合、金融機関にその回復を求めることは可能ですが、直接的な利害関係にある当事者同士で解決することは簡単ではありません。

こういった金融トラブルの相談を受け付けているのが「証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC:フィンマック)」です。金融庁が認定する指定紛争解決機関で、公正・中立な立場から専門の相談員が間に入って当事者間の和解を促すほか、あっせん委員(弁護士)が和解案を示すあっせん業務も行います。2021年度は勧誘に関して95件のあっせんが申し立てられ、うち3件が断定的判断の提供によるものでした。

残念ながら、フィンマックが全てのトラブルを解決するわけではありません。あっせんはあくまで当事者間の同意によって行われるため、両者の歩み寄りがなければ不調に終わることも十分考えられます。しかし当初から訴訟に踏み切るよりは小さい負担で解決が期待できることから、選択肢の1つとしてぜひ覚えておきたいところです。

【あっせん終結件数の内訳(2021年度)】
・和解:83件
・不調:47件
・取り下げ等:2件

出所:証券・金融商品あっせん相談センター 紛争解決等業務の実施状況について(2021年度) 

個別の債券はハードルが高い?

債券は、株式と比べると発行体が大企業であることが多く、また発行体が破綻しなければ満期まで保有した際の利回りが確定的という特徴があります。仮に発行体が破綻した場合も、債券の弁済順位は一般に株式より高く、その損失は株式よりは抑制的です。これらから、安定的に運用したいときに個別の債券への投資を検討する人は少なくないでしょう。

個別の債券へ投資する場合も、やはり銘柄の分散は重要です。債券は破綻時の弁済順位が株式より高いとはいえ、一般に公租公課(税金や社会保険料)や借入金などよりは劣後するほか、破綻した発行体には十分な財産が残っていないことも珍しくありません。これらを踏まえれば、たとえ債券であっても発行体が破綻すれば大きな損失は避け難いでしょう。

破綻時のダメージを抑えるには銘柄の分散が効果的ですが、それを妨げるのが債券の取引金額の大きさです。債券は数百万円や数千万円といった大きな金額で販売されることが多く、特に社債でその傾向があります。複数銘柄に投資するにはそれだけ資金が必要となることから、投資を始めたばかりの人や資金力に乏しい人にはハードルが高いと言わざるを得ません。

少ない金額で債券投資をしたい人は、投資信託を利用してみてはいかがでしょうか。投資信託は基本的に複数銘柄で運用されるため、1本買えば実質的に分散投資できます。取引単位も比較的小さく、ネット証券なら数百円から、対面金融機関でも1000円や1万円といった金額で販売されています。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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