官僚112人が処分…国民が激怒した“下劣”極まりない接待汚職事件
Finasee / 2023年6月22日 7時0分
![官僚112人が処分…国民が激怒した“下劣”極まりない接待汚職事件](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_12130_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
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金融機関にとって、「金融庁」は警察と裁判所が一緒になったような怖い存在です。ルールにのっとって適切に運営されているか監督を受け、悪質なケースでは認可の取り消しといった強力な行政処分が下されます。金融業は行政上の登録がなければ営業できないことが多く、その取り消しは極刑に等しい措置といえるでしょう。
金融庁の前身である「金融監督庁」は1998年6月22日に発足しました。その誕生した経緯を踏まえると、金融庁に強い職権が認められている理由もうなずけるかもしれません。
金融機関との癒着が露呈した接待汚職事件とは金融監督庁は、それまで大蔵省(現・財務省)が一手に握っていた金融行政のうち、金融機関に対する検査や監督機能などを分離する形で設立されました。背景には旧大蔵省と金融機関の癒着が表面化した「大蔵省接待汚職事件(ノーパンしゃぶしゃぶ事件)」があったといわれています。
1998年、旧大蔵省の職員が金融機関を監督する立場を利用し、その便宜をちらつかせ大手の銀行や証券会社から接待を受けていたことが発覚しました。一部では風俗店を用いた接待があったことも明らかになり、大手金融機関と官僚の下卑た関係に世間は強い拒否反応を示します。
この汚職事件を巡り、旧大蔵省の職員112人が処分され、当時の大臣や日本銀行総裁は辞任に追い込まれました。旧大蔵省からは金融監督部門が切り離され、それに伴って総理府(現・内閣府)の外局として金融監督庁が誕生します。金融監督庁はさらに企画立案部門も統合し金融庁となり、旧大蔵省は金融行政に関する機能を完全に失いました。
こういった経緯で誕生した金融庁は、不祥事によって失墜した信用を回復させるために生まれた行政機関といえます。金融庁は、二度と国民の信頼を裏切らないよう金融機関を厳しく監督しているのです。
金融機関を「続ける価値がない」と切り捨てた金融庁長官金融庁が金融機関に最も恐れられたのは、森信親(もり・のぶちか)氏が長官を務めていたときだったのかもしれません。
森氏は2015年7月に就任し、監督方針を見直し銀行にビジネスモデルの確立を求めたり、投資信託の販売会社に顧客の損益率などを公表させたりと、金融機関に変革を強く求めました。現在では外貨建て保険についても顧客の損益率などが公表されるようになっていますが、これは森氏の改革で下地が作られていたことが大きいと考えられます。
特に森氏が2017年4月に行った講演は金融業界を震撼させました。多くの証券関係者が出席する場で、コストやデメリットを明示せず金融商品を販売している姿勢を「社会的に続ける価値がない」と断じたのです。生殺与奪の権を握る金融庁トップの強い批判に、多くの金融機関は恐怖したでしょう。
方針転換? アクティブ運用のパフォーマンスを認めた金融庁金融庁はアクティブファンドには否定的な見解を示す傾向にありましたが、2023年4月に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2023」では一転してそのパフォーマンスをたたえました。日米欧で自国の大型株に投資するアクティブファンドを比較した際、インデックスを上回るファンドの割合は日本が最も大きかったと評価したのです。
【日米欧の自国大型株式アクティブファンドの超過リターン勝率】
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出所:金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート2023
さらに同レポートでは、アクティブファンドの価格発見機能を「わが国資本市場の活性化につながる」とも評しました。金融庁のこれまでのスタンスを考えれば大絶賛といえるでしょう。
もっとも、同日に公表された投資信託のパフォーマンス調査を見ると、国内株式ファンドの平均パフォーマンスは、アクティブ型よりインデックス型の方が優秀でした。この傾向は少なくとも2018年から続いており、2022年までにアクティブ型の5年平均リターンがインデックス型を上回ったことはありません。
【国内株式型ファンドの平均パフォーマンス(2022年末時点)】
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出所:金融庁 国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析(2023年4月)
【国内株式型ファンドの平均リターン(年率)】
![](https://finasee.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/800m/img_78d747e4c89c55479b2dc871a70da94a54514.jpg)
これには中小型株式に投資するファンドも含まれているため、金融庁がいうように国内大型株式に投資する銘柄に限れば、アクティブファンドの運用力が観察できるのかもしれません。また上記は純資産残高で加重平均されているため、運用資金が比較的少ないファンドに限ると違う結果となる可能性もあるでしょう。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。
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