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「注目企業」が上場も株価“急変”を規制? 東証が新たなルールを実施

Finasee / 2023年6月26日 7時0分

「注目企業」が上場も株価“急変”を規制? 東証が新たなルールを実施

Finasee(フィナシー)

・日本が誇る自動車業界を襲った「戦後最悪」の大型倒産…4万社に影響

今日は公認会計士と企業の仲介などを行うブリッジコンサルティンググループが上場します。公募と売り出しを合わせた株数は20万株(2000単元)しかなく、供給の少なさに着目して売買を考えている人もいるかもしれません。

ただしIPO(新規上場)銘柄については、本日から成行(※)注文を制限する新しいルールが実施されるため注意してください。

※成行(なりゆき):取引を成立させる価格を指定しないこと。

初値決定日まで成行注文が不可能に

東京証券取引所は今年3月、IPO銘柄について新規上場日の成行注文を禁止すると発表しました。本日以降、取引所に直接上場する株式とREITを上場日に売買する場合、必ず指値(※)を付けて発注しなければいけません。なお、別の市場経由で上場する銘柄は規制の対象外です

※指値(さしね):取引を成立させる条件として指定した価格。

この規制は、上場日は終日実施され、新規上場日に初値(※)が付かない場合は初値決定日の取引が終わるまで継続します。つまり、IPO銘柄で初めて成行注文を出せるのは、初値が付いた翌営業日ということになります。

※初値(はつね):上場して初めての株価

IPO銘柄は需給が不安定で、これまで度々大きな値動きが生じてきました。東証は、これを防ぐ目的で今回の規制を行うと説明しています。

IPOでよく見る「特別気配」とは

IPO銘柄は、取引が始まっても初値が付かず、「特別気配」が表示されることも少なくありません。

特別気配とは、直前の価格(IPOの場合は公開価格や評価額などから取引所が定める板中心値段)と大きく離れて約定してしまう注文が出されたときに東証が表示するものです。このような注文を即座に成立させると株価の乱高下を招くため、いったん取引を止め反対の注文を呼び込み、株価の急変を抑制しようとする仕組みとなっています。

【特別気配が表示される値幅(通常)】

 

出所:日本取引所グループ 内国株の売買制度 特別気配の更新値幅

IPO銘柄は通常より特別気配となる値幅が拡大されることが一般的ですが、それでも特別気配が表示されるケースはよく見られます。もちろん、十分な量の株式を市場に流通させるIPOでは、特別気配とならず取引開始後にすぐ約定することもあります。

特別気配中の注文はどのように約定する?

証券取引所における株式注文の約定方式には「ザラバ(※)寄せ方式」と「板寄せ方式」の2つがあります。前者は売りと買いを順次対当させて取引を成立させる方式で、後者は複数の注文をまとめて1つの株価で成立させる方式です。このうち、特別気配中の株式に対する注文は板寄せ方式で成立します。

※ザラバ:取引が始まって最初の取引である「寄付(よりつき)」と取引時間中で最後の取引である「引け」の間の時間帯。

【証券取引所の株式約定方式】

 

出所:日本取引所グループ 売買のルール(応用編)

板寄せ方式では、さまざまな条件で出される注文をどうやって1つの値段で成立させるのでしょうか。そのルールはやや複雑ですが、大まかには売りと買いの注文が交錯する株価、つまり値段が安い順に累計した売り注文と値段が高い順に累計した買い注文の数量が逆転する株価が候補となります。

以下のケースで具体的に確認してみましょう。売りと買いの注文がそれぞれの値段に並んでいますが、100円以下では買いの方が、101円以上では売りの方が多くの注文が出ていることが分かります。この場合、100円か101円のいずれかが約定価格の候補です。

 

その後、仮定した約定価格について、成行の売りと買いが全て約定すること、仮定した約定価格より高い買いと低い売りが全て約定すること、仮定した約定価格における売りと買いのいずれかが全て約定することが確認され、これらを満たす場合に約定価格となります。ちなみに上記のケースでは100円が約定価格となり、約定後の注文情報は以下のように整理されます。

 

板寄せ方式で決められる約定価格は、より高い値段に出される買い注文(または成行の買い注文)が多いほど上昇し、反対により安い値段に出される売り注文(または成行の売り注文)が多いほど下落することになります。特別気配の表示を見たら思い出してみてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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