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「結婚式費用はローン」が一般的? 驚きの総額平均…高額化で選択肢に

Finasee / 2023年6月28日 7時0分

「結婚式費用はローン」が一般的? 驚きの総額平均…高額化で選択肢に

Finasee(フィナシー)

・「注目企業」が上場も株価“急変”を規制? 東証が新たなルールを実施

2021年6月28日、ブライダル大手の「ワタベウェディング」が上場廃止となりました。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、2020年12月期では約117億円の最終赤字かつ8億円以上の債務超過に陥っていました。

ワタベウェディングは比較的に早くスポンサーが見つかったこともあり、90億円の債務削減を盛り込んだ事業ADRが成立します。1株180円での買い取りも発表し、投資家は元本の全てを失う事態を免れることができました。

【ワタベウェディングの株価】

ヤフーファイナンス!より著者作成コロナ前を取り戻しつつあるブライダル業界

ワタベウェディングに限らず、ブライダル関連企業の多くは新型コロナウイルスの影響を強く受けました。行動制限から結婚式の中止や延期が相次ぎ、ブライダル市場は大きく縮小したとみられます。日本ブライダル文化振興協会は、感染拡大から1年間でブライダル業界にはおよそ1兆円の損失が生じたと発表し、大きな話題を集めました。

現在は感染者数も落ち着いてきており、業界も少しずつ上向きつつあるようです。2022年は3年ぶりに全体で1兆円の売上高を回復しました。コロナ前(2019年:約1兆4000億円)には至りませんが、最も悪影響を受けた2020年比では約2.4倍にまで増加しており、底打ちの様子が見られます。

【ブライダル業界の売上高(推計)】

日本ブライダル文化振興協会 新型コロナウイルス感染症影響度調査より著者作成

個別の企業についても見てみましょう。ブライダル業界で最大手とされているのがテイクアンドギヴ・ニーズで、挙式披露宴・披露パーティー市場のおよそ5%のシェアを持つとみられています(2021年)。

同社も2021年3月期に売上高の約7割を失うほどのダメージを受けますが、2023年3月期にはコロナ前の利益を上回りました。完全な回復とはいえませんが、最悪期からは脱したといえそうです。

【テイクアンドギヴ・ニーズの業績】

※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想

出所:テイクアンドギヴ・ニーズ 決算短信

【テイクアンドギヴ・ニーズの株価】

Investing.comより著者作成ブライダルローンの利用はあり?

コロナが落ち着いてきたこともあり、挙式を考える人も増えてきているでしょう。そうなると、気になるのは費用です。リクルートブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査2022調べ」によると、結婚式費用の総額平均は303.8万円となりました。前年より11.5万円より高く、特に招待客1人あたりの料理・ギフト単価は2009年の調査開始以来で最高となりました。これらには近年のインフレやリベンジ消費が喚起されたことなども影響しているでしょう。

いずれにせよ、結婚式にかかる費用は決して小さくありません。そのため「ブライダルローン」を検討する人も少なくないでしょう。ブライダルローンとは結婚式費用に使えるお金を貸し出す商品で、主に銀行や信販会社などが提供しています。

ブライダルローンの多くは保証人や担保が不要で、その分金利は高めです。ただし返済期間は比較的長い傾向にあり、利息総額は増えやすいものの、ゆとりを持って返済することもできるでしょう。

これらから、ブライダルローンは無計画な利用はおすすめできませんが、その利用が直ちに家計の破綻につながるとまではいえません。きちんと返済計画を立てて利用するなら、十分検討に値する商品といえるでしょう。2人でどのような式にしたいか話し合い、その実現するための手段として選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

婚姻率の低下が課題…ブライダル業界で高まるM&A機運

コロナによる危機からの脱却が進むブライダル業界ですが、長期的には婚姻率の低下から持続的な成長を危ぶむ声も聞かれます。婚姻件数は1972年(約110万組)をピークに減少の一途をたどっており、2021年は辛うじて50万組をキープしたにすぎません。50歳時点の未婚率も、女性は約17.8%、男性は約28.3%に達しました(2020年)。

【婚姻件数】

厚生労働省 人口動態統計(2021年)より著者作成

【50歳時点の未婚割合】

内閣府 少子化社会対策白書(2022年)より著者作成

ブライダル事業は地代や人件費などの割合が比較的大きく、またリピートがほぼない商品性から広告宣伝費も継続的に発生する傾向にあります。これら固定費が大きい企業はある程度の売り上げを持たなければ損益分岐点を下回ることとなりますが、ブライダル業界は競合が多く、最大手のテイクアンドギヴ・ニーズでもシェアは5%ほどしかありません。1社あたりの売上高が大きくなりにくく、利益率の低さにつながっていると指摘されています。

婚姻率の低下が続けばさらに売り上げが減少し、事業を続けられない企業も出てくるかもしれません。一方で、固定費が大きく変動費が小さい企業は、売り上げが増加すれば利益率も大きくなりやすく、規模の拡大を狙うブライダル企業は少なくないでしょう。

これらから、ブライダル業界は企業同士の再編が進みやすい構造となっているといえます。今後は業界内でM&Aの発表が増えるかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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