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定年後に一念発起し“士業”に転身―「手に職」で叶えた孤独との決別

Finasee / 2023年6月12日 11時0分

定年後に一念発起し“士業”に転身―「手に職」で叶えた孤独との決別

Finasee(フィナシー)

Hさんは長年勤務していた新聞社を65歳で退職。現役時代は仕事が多忙を極め、退職後のことは具体的に考える暇がありませんでした。退職後はやることのない日々に喪失感を覚え、セカンドキャリアをスタートすることを決意。

しかし、最初に訪れたハローワークでは希望職種が見つからず、応募したものも全滅。すがる気持ちで見つけた商工会議所主催の「創業塾」で、講師から行政書士の道を提案されました。

その後は資格取得を目標として、独学に加え週1回専門学校に通い続けます。そうして鋭意努力した結果、見事に行政書士の試験に合格。行政書士事務所を開くことが叶いました。

●趣味で心の穴は埋まらない…。ハローワークでの職探しから始まったHさんの奮闘
※前編【「何て寂しいんだろう」喪失感埋まらず一大決心…新聞記者の定年後】からの続き

実感した3つのメリット

Hさんは不安を抱えながら「行政書士事務所」を開業しましたが、当初はこれといった人脈もなく、まずは顧客獲得が急務となりました。

行政書士の世界は、住所に基づき支部に所属するのが一般的であったため、Hさんも事務所近くの支部に入ります。そこで知り合った先輩方から、必要なさまざまな知識を学びました。

そこでは、若い人と違い、シニアにとって行政書士の資格と業務には意外なメリットがあることを知りました。

1.会員層に同年代が多い

まず1つ目が、会員にはシニア世代も多いという事実です。これは心強いものです。定年後に若い人の輪の中に入って教えを乞うことは、どんな方でもやりづらさを感じると思われますが、シニア同士であれば、頭を下げて教えてもらうことにそこまで抵抗はありません。

2.経験が活きる

2つ目は、現役時代にしたさまざまな経験が実務に役立つということです。

長く会社に勤めて仕事をする中で、人は専門知識だけでなく、人間関係の機微など言葉にできないようなことも自然と学んできているものです。豊富な人生経験があることが、顧客獲得の際に役立ちます。

特に相続業務などは複雑な人間関係が絡んでくるので、まさにシニアの経験が相手の立場に寄り添う姿勢につながり、信頼関係の構築に役立つのです。

3.仲間・友達ができる

3つ目は、仕事を通じて、話し合える仲間・友達ができることです。

行政書士は専門性をもって長く続けられる仕事なので、特に意識せずとも継続的に人との関わりが持てます。定年後のシニアにあるリスクの中でも、「孤独」は深刻な問題です。じわじわとボディーブローのように心をむしばんでくるのです。

「気付いた時は周りに誰もいなかった」。そんな状態を避けるためにも、友達が生じやすい仕組みのある環境に身を置くことは大きな利点になります。

そして見つけた新たなやりがい

そうしてHさんは行政書士の仕事をご自身の柱としてこなす一方で、知人から勧められたことをきっかけに、“家庭裁判所の調停委員”も務めることになりました。

「この仕事も、双方の話を傾聴し解決策を見いだしていくという点で、今までの人生経験が役立っています。人のためになっているという実感があるので、やりがいがありますね」

仕事の楽しさを語るHさんの表情は、生き生きと輝いていました。

Hさんの事例から学ぶこと

行政書士と家庭裁判所の調停委員という2つの仕事を通じて、現役時代の新聞記者とはまた違う世界を垣間見ているHさん。その経験談からは多くの学びが得られます。

始めるタイミングは「今」が一番早い

Hさんは、定年前から具体的なセカンドキャリアのプランを立てていたわけではありませんが、退職後に働くことを決めてから、次々と行動を起こしました。

準備をしていなくても、やろうと決めたその時点から始めればいい。まずは行動することが大切で、そこからさまざまな縁が生まれ、意外な展開が開けることもあるのです。

定年後の学びは楽しい

行政書士の道を目指して、独学のみならず専門学校にも通ったHさん。シニアだからこそ、何かを学び継続することは大切です。

それによって知的好奇心が生まれ、やらされて勉強をする学生時代とは違って、興味のあることを学ぶという、本当の楽しさを経験できます。

孤独にならない環境に身を置くことは大事

Hさんの場合、同業者には同年代も多く、日頃から顧客との付き合いもあるので、常に人との関わりを感じています。人との出会いが刺激になって生活に張りが生まれれば、孤独でない楽しい日々を送ることができます。

経験が活きる仕事にはやりがいがついてくる

行政書士や家庭裁判所の調停委員といった、新聞記者とは一見関連性がなく見える仕事でも、Hさんは現役時代の人生経験が大いに役立っていると感じています。

定年後にどんな仕事についても、過去の経験や知識は決して無駄にはなりません。仕事を通じて人の役に立っていると実感することは、定年後の人生の生きがいへとつながります。

***
 

Hさんのように、常に前向きに考えて行動を起こすことで、先々の展開が生まれていきます。定年後の仕事探しは、決して容易な道ではなく、時に厳しく感じるかもしれません。それでも、前を向いて進み続けることで明るい未来が待っているのです。

●57歳で早期退職。再就職を目指すも数々の壁が立ちはだかり……。詳しくは【「新しい世界が見たい」57歳で決意した再就職、待ち受けていた試練】(本サイト記事)で紹介します。

髙橋 伸典/セカンドキャリアコンサルタント・モチベーション総合研究所代表・東京定年男女の会主宰

1957年生まれ。57歳で早期退職するも、多くのつまずき、苦労を経験する。しかし試行錯誤を重ねることで乗り越え、リスクなく独立する道をつかみ取る。東京都主催の東京セカンドキャリア塾、各自治体などでセミナーを行う。雑誌やウェブメディアでは、セカンドキャリアに関する寄稿の実績多数。著書に「定年1年目の教科書」(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

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