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「定年後の夢」がある人必見! 退職金がいくらか分かる超簡単な方法

Finasee / 2023年6月19日 11時0分

「定年後の夢」がある人必見! 退職金がいくらか分かる超簡単な方法

Finasee(フィナシー)

会社員にとって退職金は、年金とともに老後の生活を支える重要な資金です。

定年を間近に控えた人が退職金をいくらもらえるのか知らないとすれば、「退職金で住宅ローンの残債を一括返済したい」とか「退職金で家をリフォームしたい」、あるいは「退職金を元手に投資をしたい」といったプランも、ただの夢物語でしかありません。

そこで今回は、自分の会社の退職給付制度の調べ方と、各制度別のチェックポイントを説明したいと思います。

退職金を調べるなら必ず確認すべき“あるモノ”

勤め先の退職給付制度を知りたいと思ったら、まずは会社の「就業規則」を読んでみてください。就業規則とは、労働時間や賃金といった労働条件や待遇の基準、人事・服務規律といった会社のルールが定められた文書のことです。

パートやアルバイトを含む常時10人以上の従業員を雇用する会社は、就業規則を作成する義務があります。そして、退職金や企業年金の制度がある会社は、就業規則の中に退職金や企業年金に関する事項が書かれています。会社によっては、就業規則とは別に退職金規程を作成している場合もあります。

就業規則や退職金規程は、従業員なら誰でも読めるようになっています。会社によって異なりますが、書面での交付、社内の見やすい場所への掲示といった方法のほか、従業員がいつでも閲覧できるよう書面をデータ化し、社内のweb上にアップしている会社もあります。

「そういえば、昔読んだことがある」という人も、最新の情報を確認することをおすすめします。会社の制度は、法改正や時代の流れに合わせて新しくなっている可能性があるためです。

退職給付制度は従業員の過半数が加入している労働組合があると、労働組合の同意によって制度が変更できます。制度が変わった時のお知らせの内容をきちんと確認していなかった人は、改めて退職金規程をしっかり読んでみてください。

退職金規程で分かる3つのこと

退職金の支給は、会社の義務ではありません。退職給付制度を導入するか否かはそれぞれの会社の自由です。ただし、制度を導入した場合は、就業規則の退職金に関する事項、または退職金規程に次のようなことを定めなければなりません。

①適用される労働者の範囲
②退職手当の決定、計算及び支払いの方法
③退職手当の支払い時期

これらの内容は会社によって異なりますが、3つのポイントが把握できます。

1.自分が支給対象かどうか

例えば、厚生労働省が公開している「モデル就業規則」(令和4年11月版)では、①の「適用される労働者の範囲」は、次のような例になっています。

出典:厚生労働省「モデル就業規則」

この条項に書かれている例のように、ほとんどの企業は、退職金を支給する対象について「勤続〇年以上」といった要件を設けています。会社員には、入社から定年まで同じ会社で働き定年を迎える人もいれば、中途採用や転職で勤続年数が短い人もいます。

まずは自分が退職金の支給対象になるのかをしっかり確認しておきましょう。

2.退職金の計算方法

次に②の「退職手当の決定、計算及び支払いの方法」ですが、モデル就業規則では次のような例が紹介されています。

出典:厚生労働省「モデル就業規則」

前回の記事【「自分の退職金の額を知らない人」がマズい理由…まず何から調べるべき?】でも紹介しましたが、退職金(一時金)には、さまざまな計算方法があります。主な計算方法は「ポイント制」「賃金連動制」「別テーブル制」「勤続年数比例制」などです。

「モデル就業規則」は、退職または解雇の時の基本給と勤続年数に応じて算出するタイプ(賃金連動制)を例にしています。自分の会社がどんな計算方法を導入しているのか、確認してみましょう。

3.いつ退職金が手に入るか

最後に③「退職金の支払い時期」についてです。こちらはモデル就業規則では下記のような例があげられています。

出典:厚生労働省「モデル就業規則」

退職金の支払時期は、会社によって自由に決められます。そして多くの場合、定年退職者本人が指定する銀行などの金融機関の口座に振り込まれます。「一体いつになったら手に入るんだろう……」とモヤモヤしないためにも、支払い時期を前もって確認しておくとよいでしょう。

あなたの退職金の種類はどのタイプ?

さて、厚生労働省が公開している「モデル就業規則」の退職金に関する事項は、非常にシンプルなものです。しかし、実際に会社の就業規則や退職金規程を見てみると、さらに詳細な項目が定められているケースが多いのではないでしょうか。

そこで、制度の種類別に最低限チェックしておきたいポイントを紹介します。


上記の図は、一般的な退職金の種類別に分類したものです。退職給付制度を導入している企業は、このうち1つまたは2つ以上の制度を組み合わせて採用している場合があります。採用している制度ごとにある、“定年までに確認すべきチェックポイント”は次の通りです。

退職一時金のチェックポイント

□退職金の計算方法と受け取り見込額
□自分の勤続年数
□受け取り時期は選べるか

退職一時金は一般的に「退職金」と呼ばれるもので、退職時に全額が一括で支給されます。モデル就業規則の紹介で触れたように、金額の計算は会社によって異なるため、必ずチェックしたいところです。

計算方法が複雑な場合は、人事や総務などの担当部署に問い合わせて計算してもらうことをおすすめします。退職一時金は、原則として年金(分割)で受け取ることはできず、受け取り年齢も定年時に固定されている場合がほとんどです。

継続雇用を希望した場合、受け取り時期を継続雇用終了時にできるかも確認しておくとよいと思います。

また、退職一時金は勤続年数によって退職所得控除の金額が変わるため、自分が退職する時に勤続年数が何年になるのかも正確に知っておきたいところです。

確定給付企業年金(DB)のチェックポイント

□定年時の受け取り見込額
□受け取り方や受け取り開始時期の選択肢
□年金で受け取る場合の要件

DBは、会社が掛金を出して運用しますが、運用によって金額は変動せず、あらかじめ会社が決めた金額が支給されます。受け取り見込額が知りたい時は、会社の担当部署に問い合わせましょう。

受け取り方は「一時金」「年金」「一時金と年金の組み合わせ」の3つから選べる場合があります。年金で受け取る場合は、会社によって勤続〇年以上や〇歳以上といった要件が設定されており、受け取り期間中は会社が決めた利息も受け取れます。

各受け取り期間は5~20年以内で設定さています。何年の受け取りが選択できるか、1回に受け取る金額はいくらになるか、利息は何%かといったことを知っておくと老後のマネープランが立てやすくなります。

受け取り方で迷ったら、一時金と年金の受け取り要件やかかる税金等を比較検討してみるとよいと思います。

企業型確定拠出年金(企業型DC)のチェックポイント

□加入者専用サイトで運用状況を確認
□受け取り方の選択肢
□定年後も運用を継続する場合の自己負担の有無

企業型DCは、会社が掛金を出し、従業員本人が運用するため、運用によって退職金の額が変動します。このタイプは、受け取り見込額を会社に問い合わせても分かりません。

ですので、自分で加入者専用サイトにアクセスし、運用状況を確認してください。企業型DCは定年年齢に関係なく、原則として60歳~75歳の間で希望する時期に「一時金」「年金」「一時金と年金の組み合わせ」から受け取り方を選択できます。

退職すると積み立ては終了しますが、退職後も運用は続けられます。その場合、口座管理料や振込手数料といったコストがかかる場合があるので確認が必要です。

中小企業退職金共済(中退共)のチェックポイント

□加入する従業員の範囲
□定年時の受け取り見込額
□受け取り方の選択肢

中退共は、勤続1年経過で退職一時金の受給資格があるため、短期間で会社を辞めた場合も忘れずに請求しましょう。

このタイプは従業員全員を加入させるのが原則ですが、例外として、①期間を定めて雇用される者、②季節的業務に雇用される者、③試みの雇用期間中の者、④短時間労働者、⑤休職期間中の者、⑥定年などで短期間内に退職することが明らかな者は加入させなくてもよいとされています。

ただし、短時間労働者でも条件によって加入を認めている会社もあるので、加入対象範囲をチェックするとよいと思います。受け取り見込額は、事業主に確認しましょう。

受け取り方は、60歳以上で退職一時金額が80万円以上ある人なら、「一時金」「分割」「両方の組み合わせ」から選べますが、一時金の額によって選べる支給期間(5年または10年)が異なります。

***
 

これら以外にも、会社によって採用している制度はさまざまです。定年直前に慌てないためにも、なるべく早めに就業規則や退職金規程をチェックしてみてください。

加茂 直美/フリーライター・行政書士

主に年金、老後資金、行政手続きなどの細かい情報をリサーチし生活に活かすための記事を執筆。行政書士。2級DCプランナー。行政書士事務所オフィスリーガルブレーンを主宰。『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つ年金と退職金を最大限に受け取る方法』(大江加代 監修/ART NEXT)『アメリカ人が当たり前に知っているお金のこと全部』(西村隆男 監修/宝島社)『60歳からの得する年金!働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2023-2024最新版』(小泉正典 監修/講談社MOOK)などの取材、企画、構成、執筆等を担当。

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