55歳おひとりさま女性「最期まで自分で…」1億円貯めても拭えぬ不安
Finasee / 2023年6月14日 11時0分
Finasee(フィナシー)
神林真理子さん(仮名)は大手メーカーに勤務するシングル女性。“均等法世代”で、男性社会の中で苦労しながら女性社員のキャリアを切り開いてきました。家や子育てにお金をかけることなくひたすら仕事に邁進したこともあり、55歳の今、8000万円もの金融資産を保有しています。
最近、苦楽を共にした同期の女性2人が役職定年を機に退職したことから、神林さんもリタイアを考え始めました。唯一の親族である姉一家には頼りたくないと自身の終活も含めたマネープランを検討すべく、あるファイナンシャルプランナー(FP)に相談を持ちかけます。
しかし、そこで提案されたのが変額保険への加入でした。これまで値動きの激しい金融商品への投資を極力避けてきた堅実派の神林さんには、どうも納得できません。
そこで“セカンドオピニオン”を求めてある専門家のもとを訪れます。「最初は頼りない印象だったんです。でも今思えば、本当にラッキーでした」と振り返る、その専門家との出会いを神林さんに聞きました。
〈神林真理子さんプロフィール〉
東京都在住
55歳
女性
大手メーカー勤務
シングルで一人暮らし
金融資産8000万円
支給予定の退職一時金2000万円
私は、男女雇用機会均等法が施行されてから5年後に総合職としてメーカーに就職しました。広義の“均等法世代”と言えるでしょう。
中学・高校・大学と女子校だったので、20代の頃は結婚したら家庭に入ろうと思っていました。実際、当時の同級生の多くは専業主婦になっています。しかし、残念ながら「この人と結婚したい」と思うような相手に出会えないまま、55歳の今に至っています。
パートナーにも子供にも恵まれなかった分、仕事は頑張りました。販売から出発して商品開発、企画宣伝などの部署を渡り歩いて、広報課長で今年役職定年を迎えました。社内では女性として初めてグループリーダー、係長、課長となった世代で、男性中心の企業社会の中ではいろいろ大変な思いもしました。
そんな苦労を分かち合った同期の女性が5人残っていたのですが、うち2人が役職定年を機に退職したこともあり、私も自分の身の振り方を考えるようになりました。
仕事については“やり切った感”があり、残りの人生がどれくらいあるかは分かりませんが、好きなお菓子作りやアート鑑賞を楽しんだり、たまには仲間と海外旅行に出かけたりして過ごしたいと思っています。
老後資金約1億円、おひとりさまの覚悟会社の定年研修の際に人事に問い合わせたところ、仮に今年会社を辞めるとしたら、支給される退職一時金は2000万円弱とのことでした。公的年金の支給額は月額18万円ほどで、支給は65歳からですが、60歳から65歳までは企業年金を月額15万円受け取ることができます。
メーカーなので総合職でも給与は正直それほど高くなく、コツコツ貯めてきた預貯金は8000万円強です。退職金と合わせると約1億円になります。
両親は既に亡く、肉親は姉が1人だけ。姉は渡航して外国人の男性と結婚して娘がいますが、姉一家とは特別親しいわけでもなく、最期まで自分の面倒は自分で見る覚悟です。
終活まで含めて、果たしてこの老後資金でやっていけるのかどうか。それが気になり、あるファイナンシャルプランナー(FP)の方に相談に行きました。
FPにもらったインフレ対応のアドバイス私の場合、お金のかかる趣味があるわけではなく、家計管理は比較的得意な方だったこともあり、老後資金については「今すぐ会社を辞めても大丈夫」と太鼓判を押されました。その上で指摘されたのがインフレ対策の必要性です。
「昔の年金は“インフレ対応”が売りでしたが、制度改定(マクロ経済スライドの導入)で物価や賃金の上昇に対応しづらくなっています。インフレとは、分かりやすく言えば1万円札で買える物や量が減ってしまうことです。仮に20年後に1万円札の価値が半減していたら、感覚的には今の生活費の半分で暮らしていかざるを得なくなるわけです」
日本でも最近は光熱費や食料品の値上げが相次いでいますし、海外駐在の同僚から欧米の異様な物価高の話をよく聞かされていたので、なるほどと思いました。
「まるで宣伝トーク」の提案内容にモヤモヤ…しかし、その後の提案内容がいまひとつしっくり来ませんでした。
私はもともと小心で、株式など買おうものなら値動きが気になって眠れなくなるタイプです。これまでの人生でも価格変動の大きい金融商品は極力避けてきました。現在も資産のほとんどは国債か銀行預金に置いてあります。
そんな私にそのFPの方が勧めてきたのが、よりにもよって変額保険だったのです。
「株式などで運用していますから、景気が良くなれば受け取る金額もアップする。インフレに強い金融商品の代表格と言えます。逆にデフレ期が続くと年金や保険金が減ってしまうこともありますが、このタイプなら最低保証があるので大丈夫です」
失礼ながら、FPの方の言葉が生保レディの宣伝トークのようにしか聞こえませんでした。その場で外資系の生命保険会社の資料を渡され「よろしければうちからご紹介できますよ」と言われましたが、返事は保留し、そそくさと事務所を後にしました。
セカンドオピニオンを聞くことに素人の私がいくら考えても仕方がないと、別のFPの方に“セカンドオピニオン”を聞いてみることにしました。そこでお願いしたのがネットで見つけた白石さんです。
自身のウェブサイトに「徹底的に、お客さまに寄り添います!」と大書していた白石さんはなんと29歳。彼のプロフィールを読む限りでは、キャリアは前に相談したFPの方の半分にも満たず、プロフィール写真は大学生かと思うくらいの童顔です。
本当にこの人でいいのか迷いましたが、「世代の違う専門家の意見を聞くことも大事」と思い、問い合わせコーナーに連絡先や相談内容を記入しました。そして、それは結果的に大正解だったのです。
●インフレ対策は本当に「変額保険」がベスト? お金のセカンドオピニオンで得た納得の答えとは――。
続きは、後編【老後資金が不安なおひとりさま女性が「明るい未来」を確信できた理由】で解説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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