2024年からの新NISA活用術! 1800万円の枠を“無理せず”使い切るペースとは?
Finasee / 2023年6月20日 11時0分
Finasee(フィナシー)
あと半年でスタートする、新NISA。前回の記事【新NISAを使う“5つ”のメリットー旧NISAからの変更点も解説!】では、制度を使う利点と30年後の予測を解説しました。
ですが、一通り制度の内容が分かってくると、「では実際にどうやって使おうかな?」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、「2024年からの新NISA活用術」についてお伝えします。
新NISAで目指すべきゴールとは?まず、2023年までの旧NISAでは「毎年、いかに年内の枠を使い切るか」が資産形成のカギでした。例えば旧制度のつみたてNISAなら、年間投資枠は40万円。我が家の場合、夫婦2⼈分の80万円を投資することを、毎年のゴールとしていました。
⼀⽅、2024年からスタートする新NISAでは、年間投資上限は360万円。この枠を毎年埋めるのは、かなりのハードルです。では、新NISAは何をゴールとすれば良いのか。結論から⾔うと、「1800万円の総枠を埋めること」です。
年間投資上限の360万円は基本的に気にしない。その代わり、何年かけても良いので1800万円分を投資する。これで、⾮課税メリットを最⼤限に受けられます。
何年で枠を埋めるかペースを考えるちなみに、ここで言うゴールとは、あくまでも”⾮課税メリットを最⼤限に得るためのゴール”を指します。何が何でも、絶対に1800万円を埋めないといけない! というものでもありません。
必要な⽣活費や資産額は、⼈それぞれ。また、⾝を削った⽣活をするぐらいなら、そもそも無理に投資をする必要すらありません。
ですが、⽣活費を⾒直し、少し投資できるぐらいの余裕ができた方。これからの⻑い⼈⽣、どこを⽬指して投資を続けていくのか? と疑問を持つ方。そのような方に贈る1つの答えが、「⾮課税制度を最⼤限に使うために、新NISA枠上限の1800万円を⽬指そう!」というものです。
この1800万円の枠を埋めるためには、何年かかっても問題ありません。年間120万円(毎⽉10万円)のペースなら、15年。年間90万円(毎⽉7.5万円)のペースなら、20年。まずは「何年で枠を使い切るか」を、ざっくりとイメージしておくと良いでしょう。
25年で枠を埋める「毎月6万円」のプラン株や投資信託を保有していれば、毎年、配当⾦などの不労所得が得られます。したがって、できるだけ早く新NISAの投資枠1800万円分を埋めるほうが得だという考え方もあります。
実際には6年目で暴落する場合なども含めた例外もあるため、一概に正解とは言えません。しかし、本当に理想だけを⾔ってしまうと、
●年間360万円×5年=1800万円
つまり、2024年〜2028年の5年間でフルに投資し、1800万円の枠を埋めに⾏く手が考えられます。
ただ、現実的には、年間360万円の投資(毎⽉平均30万円)は、ほとんどの⼈にとって不可能なプランです。したがって、「何年かけて、新NISAの投資枠1800万円を埋めにいくか?」を、簡単にイメージしておく必要があります。
例えば「25年かけて、無理なく枠を使い切るプラン」について考えてみましょう。結論から言うと、毎月6万円のペースで積み立てができれば、年間投資額は72万円。これを25年間繰り返すと、1800万円の枠を埋められます。
●年間72万円×25年=1800万円
もっと余裕が欲しいなら「毎月4万円」のプラン一方で、このプランをもっと柔軟に考えることもできます。「毎月6万円は少し家計に響きそうだな……」という場合、次のプランはいかがでしょうか。
●月4万円×12カ月+ボーナスで年間24万円
つまり、月々の投資額は少し落としつつ、ボーナスの一部を投資にまわすパターンです。このプランであっても、年間の投資額は72万円。
さらに、「毎回のボーナスのうち、12万円は必ず投資にまわす」と事前に決めておくことで、無駄な散財を防ぐ効果もあります。
もしあなたが、現在40歳の場合。25年間かけて、コツコツと「年間72万円の投資」を続けていけば……新NISAの枠を埋めた状態で、リタイア期の65歳を迎えられます。
以降は年金に加え、あなたが積み上げた資産から、配当金などの収入を定期的に得られます(しかもNISAの枠内なので非課税!)。
2045年ごろには、日本人の平均寿命は男性で84歳、女性で90歳になると言われています(国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年推計)』より)。長い老後にお金の心配をせず暮らせるよう、来年から無理なくコツコツと備えることをおすすめします。
計画通りにいかなくても全く問題ない!25年で新NISAの枠を埋めるために、
●月6万円×12カ月
●月4万円×12カ月+ボーナス12万円×年2回
といったプランをご提案しました。ただ、あくまでもこれは「計画」で、何があっても守らないといけない!というノルマではありません。
例えば、これからの長い人生では、
●ずっと賃貸で住むつもりが、マイホームを建てることになり頭金が必要になった
●子どもを公立高校に進学させるつもりが、私立高校に行くことになり想定以上に学費がかかりそう
といった想定外の場面は無数に出てくると思います。逆に、思っていたより早く昇進して、もっと投資にまわるお⾦が増えるかもしれません。そんなときは、気にせず計画を修正しましょう。
結局、意識すべきは「全体の投資枠1800万円」だけ。投資額が0円の年があってもいいですし、1年で100万円投資する年があってもいいのです。
もともと25年で埋めるつもりだった枠も、無理に年数にこだわる必要はありません。余裕があれば、途中で投資ペースを上げて20年に前倒ししてもいい。支出が思ったより増えてしまえば、投資ペースを落として30年に後ろ倒ししてもいい。
最終的に投資枠を使い切れなくても全く失敗ではありません。仮に投資枠1800万円のうち、リタイア時に埋められた枠が1000万円分であったとしても、コツコツ積み上げた資産は絶対に無駄になりません。ざっくりとした計画は持ちつつも、⼈⽣の変化に合わせて柔軟に判断していくことが⼤切です。
2024年の筆者の投資プラン最後に、現役銀行員であり証券アナリストである筆者の「具体的な投資計画」を参考までにお伝えします。
まず私の現在についてですが、専業主婦の妻と2人の娘(4歳・2歳)の4人で暮らしています。そんな私が、新NISAをどのように使っていくのか。
結論から言うと、20年で1800万円の枠を埋めることを目指して、投資を進めていきます。20年の投資ペースだと、月々の平均投資額は7万5000円。ですが実際、「毎月きっかり7万5000円の投資」は、やや厳しいときもあります。したがって、
●毎月5万円×12カ月+ボーナスで年間30万円
で、年間90万円の投資を目指します。
個人的な話になりますが、私の趣味は「優待株投資」。株を買うと、投資先の企業から毎年優待品をもらえる場合があります。それが楽しくて、毎年のボーナスの一部は、この優待株投資に充てています。したがって、
●毎月5万円、給料から投資信託を積み立てる
●ボーナスの一部を使って、優待狙いの株を年間30万円買う
これが、私の2024年からの計画です。
もちろん優待狙いの株である必要はありませんが、このように、毎月一定額の投資信託を買いつつ、まとまったお金が入ったときに好きな株を買う考え方は、「ボーナスが入ると、何か大きな買い物をしたい……」と思ってしまう方にこそ、ぜひ試していただきたい投資方法です。
ショッピングサイトに「ほしいものリスト」を作っておくように、日ごろから「ほしい株リスト」を作っておく。そして、ボーナスが出たときに、自分へのご褒美として、好きな株を1銘柄だけ買う。
こうして自分が選んでおいた株を買うのは、意外と物欲が満たされ、満足感が得られるものです。2024年からのボーナスの使い道には、ぜひ「新NISAで投資」の選択肢を入れてみてはいかがでしょうか。
●2024年の新NISAの開始に向けて、2023年中にしておける準備とは? 詳しくは、【新NISAは「前準備」が超重要! 知れば得する2023年の動き方】(本サイト記事)で解説します。
浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。
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