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上昇相場の立役者「半導体関連銘柄」へ投資するなら、テーマ型投信が有効な理由

Finasee / 2023年6月15日 18時0分

上昇相場の立役者「半導体関連銘柄」へ投資するなら、テーマ型投信が有効な理由

Finasee(フィナシー)

個人投資家の半導体関連銘柄への関心が上昇中

日米の株式市場が好況だ。日経平均株価は5月に3万円の大台を回復し、6月に入ってからも、バブル経済崩壊後の最高値を更新し続けている。この上昇相場のけん引役の1つが、半導体関連銘柄である。

「ChatGPT(チャットGPT)」の活用が全国の自治体にも広がる中、文章や画像を自然な形で生み出せる、生成AI(人工知能)に対する期待は日に日に高まっている。この技術を支えるのが、データ処理能力に優れた高性能半導体であり、米エヌビディア(NVIDIA)を筆頭に、世界の株式市場で関連銘柄の上昇が際立っている。

実際に筆者も半導体関連株に投資してみたいという個人投資家から質問を受ける機会が増えた。質問の中でも特に多いのが、「そもそもどういう企業があるのか」というものだ。

個別株投資の経験がある投資家なら、例えば、前述したエヌビディアなどの代表的な企業を手掛かりに、関連銘柄を調べたり、四季報で業績比較をしたりという行動に移せる。しかし、株式投資の経験がない投資家にとって、個別銘柄を「物色」しようと思っても、どこから始めたらよいのか分からないというのが本音だろう。

例えば半導体の場合、「半導体関連」と一口にいっても、画像処理、検査装置、メモリーなど、各社で強みを持つ分野は異なる。よほどこの分野に明るくない限り、企業概要をパッと見ただけでは何をやっている会社なのか、投資初心者が具体的なイメージを持つことは難しい。

半導体関連銘柄への投資=テーマ型投資信託の活用はあり!だが…

こうしたケースで活用したいのが、テーマ型投資信託だ。

テーマ型投資信託の利点の1つは、「投資先として関心はあるが、どのような企業があるか分からない」という、投資家のニーズに応えられる点にある。組入れ上位銘柄を通じて、その業種やテーマの特徴を把握したり、個別株投資へのステップアップを目指したりしてもよい。長期資産形成でテーマ型を活用するなら、最低限、組入れ上位銘柄に関心を持つことが重要だ。

しかしながら、金融庁は、テーマ型投資信託を長期的な資産形成には向かない商品であると断言している。過去に本連載※1で触れた通り、筆者は決してそうは思わない。テーマ型投資信託が、金融庁のいう「個人投資家にとってハードルが高い」商品になってしまうのは、多くの場合、販売サイドと投資家の双方が、短期間で収益をあげようとするあまり、“タイミング投資”になってしまうためだ。また、テーマについてきちんと理解しようとせず、産業構造が変化しているのに、特定のテーマを妄信し続けたり、無関心でいたりするのも失敗につながりやすい。

※1 過去記事『「悪者」にされてきたテーマ型ファンドの、真のメリットとは何なのか』ご参照。

いずれの場合も、商品に罪はなく、商品との向き合い方に問題がある。繰り返しになるが、投資家としても、最低限、組入れ上位銘柄にどのような企業が含まれるかは把握してほしい。

半導体関連銘柄への投資がかなう、投資信託やETFを紹介

話を半導体関連銘柄に戻そう。

半導体という括りは、「テーマ」よりも「業種」に近い。2009年設定の「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセットマネジメント)が、長い間、唯一の半導体関連ファンドとして存在していたが、今年3月、ニッセイアセットマネジメントが自社の「購入・換金手数料なし」インデックスシリーズラインナップに「<購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)」を追加した。同ファンドは、米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成される、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)への連動を目指す、公募投資信託初のファンドである。

また、ETFでは、同じくSOX指数への連動を目指す「グローバルX 半導体 ETF(2243)」が、今年4月、東証に上場した。運用を担うのは、テーマ型ETFのパイオニアであるGlobal X Japan株式会社で、同社は、2021年9月東証上場の「グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF(2644)」も展開している。

半導体関連銘柄は、「環境」や「ESG」などのテーマと比べると、対象企業が分かりやすく絞られている。ファンド間で組入れ銘柄の「かぶり」も多いため、まずは上記に挙げたインデックスファンドやETFを通じて代表的な銘柄を押さえておくとよい。

【米国株の例】
アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)、ブロードコム(AVGO)、クアルコム(QCOM)、インテル(INTC)、ASMLホールディング(ASML)

【日本株の例】
東京エレクトロン(8035)、レーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、信越化学工業(4063)、アドバンテスト(6857)

日本株の例として挙げた東京エレクトロン、レーザーテック、SCREENホールディングスは、株価水準の高い「値がさ株」の代表格でもある。現在は、ネット証券を中心に単元未満株のサービスも展開されているが、個別株で手を出しにくい銘柄にまとめて投資できるのは、投資信託の利点でもある。

なお、アクティブファンドでは、国内のテクノロジー関連企業を厳選して投資する、「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)」(フィデリティ投信)が、半導体関連銘柄を全体の20~30%程度組み入れている。同ファンドは、特化型運用※2を行うため、組入れ銘柄の値動きがよりダイレクトに基準価額に反映される。市場環境によって値動きが大きくなるという点には注意が必要だが、個別株投資を検討しているなら、ステップアップしていくための足掛かりとして活用してもよいだろう。

※2 投資対象に支配的な銘柄が存在する投資信託。通常は10%までに制限されている1発行体あたりの構成比率が、特化型では35%以内に緩和されている。

*** 

広く分散された株式インデックスファンドでコツコツと積立を行うことが長期資産形成の基本であることに異論はないが、現実として、目標リターンに合わせて商品を入れ替えたり、資産配分を変更したりする場面は、長期資産形成を行う過程でごく自然に訪れる。資産形成を行う期間が長期になればなるほど、外部環境の変化に合わせて、ライフプランを見直さざるを得ない場面が出てくるためだ。

新NISAでは、成長投資枠でインデックス以外の投資信託のほか、個別株投資も認められるようになる。「テーマ型はダメ」と決めつけるのではなく、今のうちに活用方法も含め、幅広く引き出しを増やしておくことをお勧めしたい。

篠田 尚子/楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト

慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。

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