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中国が抱える重大問題…景気は停滞、人口流出の止まらぬ“特別地域”

Finasee / 2023年7月1日 11時0分

中国が抱える重大問題…景気は停滞、人口流出の止まらぬ“特別地域”

Finasee(フィナシー)

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1997年7月1日、アヘン戦争から150年以上イギリスによって統治されていた香港が中国へ返還されました。返還に際して、両国は2047年まで香港の高度な自治を認める「一国二制度」で合意していたため、香港は中国にありながらイギリス流の仕組みが維持されてきました。

返還以来、おおむね右肩上がりに上昇してきた香港株式は、ここ数年は弱気相場が続いています。新型コロナウイルスも影響していそうですが、主要な株価指数である「香港ハンセン指数」がピークを付けたのは2018年ですから、コロナショックの前から下落傾向にあることが分かります。

【香港ハンセン指数(月足終値)】

Investing.comより著者作成

好調が続いた香港株式は、なぜ5年以上軟調な展開が続いているのでしょうか。

「安全維持法」で人口流出が続く香港

香港株式の弱気相場が始まった2018年は米中対立が激化した年でした。互いに相手を非難し合い、制裁関税の応酬が繰り広げられたニュースを覚えている人も多いでしょう。世界の株式市場では不透明感が強まり、日経平均も年次ベースでアベノミクス以来初の下落を記録します。

2019年からは、香港独自の事情も生じてきました。中国本土へ容疑者の引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」の改正案が公表されると、香港で大規模なデモが行われるようになります。経済活動の停滞が懸念され、株式市場に下落圧力が働きます。

2020年6月には「香港国家安全維持法」が施行され、中国本土の方針に不満のある人は外国人も含め逮捕される可能性が生じてきました。同法は罪となる線引きが曖昧で、また秘密裁判で無期懲役が科される可能性もあり、デモは急速に終息へ向かいます。香港の人口は2020年から減少していますが、香港国家安全維持法の影響を指摘する声は少なくありません。

【香港の人口推移】

IMF 世界経済見通し(2023年4月)より著者作成

中国の香港に対する締め付けは年々増しており、現在も民主派の逮捕や議会からの締め出しが続いています。香港市場の主力ハイテク企業にも規制の手が伸びており、中国の干渉が強まることを懸念した売りが散見されるようになっています。

ゼロコロナ終了も景気が戻らない中国

香港株の下押し要因として働いていた強力なロックダウンを伴う感染対策(いわゆる「ゼロコロナ政策」)は、2023年1月に事実上終了します。往来が自由化されることで経済が再開に向かうことが期待され、株式市場を押し上げるとの見方が強まりました。

しかし投資家は中国の景気回復を期待し過ぎたのかもしれません。3月の全人代(全国人民代表大会)で発表された2023年の経済成長率目標は5%前後と、前年より0.5ポイント引き下げられました。経済指標も景気回復の弱さを表しており、4月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.5と景気判断の節目となる50を下回ったほか、同月の工業生産も5カ月ぶりの減少となっています。

株式市場もさえません。香港ハンセン指数は3月には早々と前年末の水準を下回り、上海証券取引所の株価を表す「上海総合指数」もほぼ横ばいで推移しています。

【香港ハンセン指数と上海総合指数の推移(2022年末=100)】

Investing.comより著者作成

ゼロコロナを終了してもなかなか景気が回復しないことから、一部では金融緩和を期待する声が聞かれるようになりました。中国本土は香港よりもインフレが落ち着いており、利下げの余地はありそうです。

しかし製造業が不振な一方、小売りや飲食では回復が見られており、積極的な金融緩和には慎重な姿勢を見せています。中央銀行の中国人民銀行は、5月までに9カ月連続で政策金利を据え置きました(※)。

※中国人民銀行は2023年6月20日、利下げを実施しました 。

米中対立で注目される軍事関連銘柄

米中の対立は今も重要な問題となっています。アメリカは半導体のサプライチェーンから中国を締め出す姿勢を強めており、日本も呼応して2023年5月に半導体製造装置の中国向け輸出規制を強める方針を発表しました。中国もアメリカの半導体大手マイクロン・テクノロジーの製品を規制する措置を講じており、二大国のあつれきは収まる兆しがありません。

米中対立は防衛費の増大にも拍車をかけています。ロシア・ウクライナ問題もあり、2022年に世界の軍事費は3.7%増加しました。アメリカでは700億ドル以上の増加となっており、軍事関連企業には恩恵が期待されています(出所:ストックホルム国際平和研究所 軍事支出データベース)。

【世界の軍事費上位10カ国(2022年)】

ストックホルム国際平和研究所 軍事支出データベースより著者作成

アメリカにはさまざまな軍事関連企業が上場しており、日本より手軽に投資することができます。例えば軍事関連の売上高で世界トップクラスの「ロッキード・マーチン」や、ステルス戦闘機で有名な「ノースロップ・グラマン」などが代表的です。米中の対立が強まれば、これらの企業には追い風が期待できるでしょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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