新NISAの“2つの投資枠”を徹底解説! 結局、どう使い分けるのが正解?
Finasee / 2023年7月3日 11時0分
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Finasee(フィナシー)
新NISAには「つみたて投資枠」「成長投資枠」という2種類の枠があります。本記事では、それぞれの違いや使い分けについて、イメージしやすいよう易しい表現でお伝えしていきます。
つみたて投資枠で買える商品年間120万円まで投資できるつみたて投資枠。これは、⼀⾔で言うと「長く持っておくのにベストな資産」というイメージです。
では逆に、長く持っておくのに適さない投資とは、いったい何でしょうか。答えは、「株」の一点張りです。
全資産を1つの株に集中させる⾏為は⾮常にリスクが高いのです。買った株が当たれば大もうけできますが、外れると大事な資産を一気に失うことになる。これは、投資というよりギャンブルに近い⾏為です。
結局、つみたて投資枠の正体は何かというと、「分散投資のみ認められる投資枠」です。つみたて投資枠では、国が一定の条件を満たしていると認めた“長期投資に適した投資信託”のみが購入対象となるので、
●1つの株ではなく、何百、何千種類の株を買う
●⽇本の株だけでなく、世界中の株を買う
●さらには、株だけでなく債券(国債)や不動産を買う
といった投資を行うことができます。そうすることで、リスクも分散され、より安全度が高くなります。
成長投資枠で買える商品多少のリスクは覚悟しても、もっと積極的に資産を増やしたい! という攻めの投資に使えるのが成⻑投資枠です。つみたて投資枠は年間120万円であるのに対し、成⻑投資枠は年間240万円まで使えます。
では、成⻑投資枠で買える商品とは何か。結論から⾔うと、「⼀般的な株・投資信託」のことです。まず、⼀般的な株とは誰でも買える株のこと。つまり、株主が数⼈の関係者のみで、⼀般的に出回っていない株は新NISAでは対象外ということです。
そして、もう1つ、成⻑投資枠で買える商品が、⼀般的な投資信託です。これも、投資信託のうち⼀般的に出回っていて売買できる商品が対象となります。
つみたて投資枠のメリットを活かす方法ここまでそれぞれの枠の特徴を説明しましたが、まずつみたて投資枠はどのように使えば良いのか。結論から言うと、投資信託の「定額購入」がおすすめです。
やり方は簡単で、「どの投資信託を毎月いくら買うか」を設定するだけ。例えば月3万3000円の定額購入を設定すれば、年間で39万6000円の投資が可能です。現在のつみたてNISAは年間の投資枠が40万円までですが、新NISAのつみたて投資枠は年間120万円。つまり、毎月10万円までの投資が可能となるのです。
定額購入するメリットは何かというと、聞いたことがある方も多いかもしれませんが、「ドルコスト平均法」を活かした投資ができることです。
そもそも、投資で勝つ方法は大昔から変わりません。安いときに買い、高いときに売る。これさえできれば、どんな投資でももうけることができます。ただ、こうした理想を言うだけなら簡単ですが……目の前の株が買い時なのか、売り時なのか、素人ではその正確な判断ができません。だからこそ、投資で損する人と得する人が分かれるのです。
一方で、「安いときにたくさん買って、高いときには少しだけ買う」という投資であれば、実は誰でも実践でき、その方法こそが定額購入なのです。
例えば、投資信託を毎月10万円買うケース。今月、投資信託の価格が1万円だったので、あなたは10口分を購入しました。しかし翌月、価格が8000円まで下がってしまった。この場合、12.5口分を買うことになります。さらに翌月、価格が1万2500円まで上がった。ここでは買える口数が減り、購入数は8口になります。
このように、毎月一定額を投資することで、安いときはたくさん、高いときは少量を買うことになります。その時々でベストな買い時を見分けた投資はできなくても、平均してベターな投資ができる。この手法をドルコスト平均法と言います。
なお、新NISAのつみたて投資枠で購⼊できる商品は、2023年までの「つみたてNISA」の対象商品と同じです。したがって、現在つみたてNISAを行っている人は、2024年からの投資プランにあわせて、毎月の投資額を見直しておくと良いでしょう。
成長投資枠のメリット活かす方法成長投資枠で購⼊できる商品は、2023年までの⼀般NISAの対象商品と同じです。これまでに⼀般NISAを使っている⼈は、その制度の条件が変わり、新NISAの成⻑投資枠に引き継がれたと考えて良いでしょう。
では、成長投資枠ではどのように使えば良いのでしょうか。こちらも結論から言うと、「買いたい商品があるとき」に使うのが正解です。
成長投資枠では株・投資信託ともに、基本的には好きなものを買えます。例えば投資信託の中には、「テーマ型」という⽐較的リスクが⾼い商品があります。テーマ型投資信託には、ある1つのテーマ・コンセプトに絞って作られた、次のような商品があります。
●IT関連企業株ばかりを集めた投資信託
●⾦融関連企業株ばかりを集めた投資信託
●エネルギー関連企業株ばかりを集めた投資信託 など
例えば、「今後はIT業界全体がさらに⼤きく伸びる!」と考える⽅は、成長投資枠で「IT企業関連株を集めた投資信託」を買うという選択肢もあります。
⼀⽅でこのような投資は、どうしても「業界⼀点張り」になってしまいます。つまり、⼤きくもうかる可能性もありますが、その分リスクも高くなってしまうのです。
さらに、テーマ型投資信託は手数料が高いことも多い。だからこそ、⻑期間持つことが前提のつみたて投資枠ではなく、より収益を重視する成⻑投資枠で買えるというわけです。
***ちなみに、私の個人的なおすすめは、
●つみたて投資枠で、毎月一定額の投資信託を買う
●まとまったお金が入ったときに、成長投資枠で好きな株を買う
という枠の使い分けです。ボーナスが出る時期に浪費を防ぎつつ、好きな株を買う満足感を得るという考え方ですが、詳しくは前回の記事【新NISAの活用術―1800万円枠を無理せず使い切るペースとは?】でお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
「つみたて派」なら無理に使い分けなくてOKこの2つの投資枠ですが、「年間の投資額」「買える商品」のほか、もう1点だけ違いがあります。それは、総枠の上限です。
新NISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠あわせて1800万円までの投資が可能で、そのうち成長投資枠は1200万円まで使えます。一方、つみたて投資枠の総枠には上限がなく、「1800万円の新NISA枠、すべてをつみたて投資枠として使う」といったスタイルも可能です。
ここでいったん、2つの投資枠の違いをまとめてみましょう。
●つみたて投資枠→年間120万円、総枠上限なし、国が認めた投資信託のみ対象
●成長投資枠→年間240万円、総枠上限1200万円、一般的な株・投資信託が対象
ここでポイントとなるのは、「つみたて投資枠の対象商品は、成長投資枠でも買える」という点です。
例えば、“eMAXIS Slim全世界株式”という人気の投資信託があります。この商品は“オルカン”(オールカントリーの略)の愛称でも知られ、その名のとおり世界中の株式を投資対象としています。手数料が安いうえに分散効果が高く、つみたて投資枠の対象として国に認められている商品です。
では、つみたて投資枠の対象であるこの商品。成長投資枠では、買うことができないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。成長投資枠は「一般的な株や投資信託」が対象なので、このようなつみたて投資枠の対象商品も買えるのです。
「ハイリスク・ハイリターンの個別株は、まったく興味がない。とにかく分散効果が高くて安全な、つみたて投資枠の対象商品だけを買いたい!」そう考える人は、無理に個別株を買う必要はありません。新NISAの枠1800万円、すべてをつみたて投資枠として使っても良いのです。
***投資には、絶対の正解はありません。年齢や資産、収入・支出のバランスなど「自分がどれだけリスクをとれるか」によって、適切な投資方法は変わります。新NISAの開始まであと半年。ぜひ、自分にあった制度・枠の使い方を見つけてみてください。
●2024年に向けて新NISAのメリットをおさらい! 詳しくは【新NISAを使う“5つ”のメリットー旧NISAからの変更点も解説!】(本サイト記事)で解説しています。
浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。
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