入場料が開園時の3倍以上に… ディズニーファンはOLC株を持つとお得?
Finasee / 2023年6月23日 17時0分
Finasee(フィナシー)
・バトルの末“失望”を表明… セブン&アイと物言う株主が対立する理由
東京ディズニーリゾートは2023年に開業40周年を迎えます。運営する「オリエンタルランド」の株価も、コロナショックを乗り越え上場来高値を更新しています。
【オリエンタルランドの株価(月足、2020年5月~2023年5月)】
出所:Investing.comより著者作成
【オリエンタルランドの業績】
※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想出所:オリエンタルランド 決算短信
オリエンタルランドは2023年7月から算出が始まる「JPXプライム150指数」の構成銘柄にも選ばれました。今後、ますます投資家の視線が集まりそうです。そこで、オリエンタルランドの歴史や事業について振り返ってみましょう。
実はディズニーじゃなかった?なぜ浦安?TDR開業の歴史オリエンタルランドは、京成電鉄と三井不動産らが共同出資して1960年に設立されました。前年に浦安市(当時は浦安町)で海面埋め立て事業が実施されることとなり、その開発を請け負ったのがオリエンタルランドです。
浦安はもともと漁業が盛んな地域でした。しかし戦後の復興で海域汚染が進んだため、漁業が衰退し始めます。そこで町は産業の転換を図る目的で大規模な埋め立て事業を決議し、千葉県へ要望します。オリエンタルランドは1962年に千葉県と浦安地区の開発について協定を結び、1964年に埋め立て工事の委託を受けることとなりました。
もっとも、オリエンタルランドは当初からディズニーの誘致を決めていたわけではありません。「東洋一のレジャーランド建設」は設立時からの方針ですが、計画段階ではゴルフ場やホテルなどの施設を集積させる案もありました。
またディズニー側も日本での開業に消極的だったとされています。1962年にオリエンタルランドはディズニーに協力を要請しますが、ディズニー首脳陣の来日は10年以上実現しませんでした。
オリエンタルランドは1972~1973年に欧米のレジャー施設を調査し、ディズニーランドの有望性を確信し、1974年に正式な誘致を申し入れました。オリエンタルランドは日本市場の将来性や浦安の立地をアピールし、同年12月に来日したディズニー首脳陣と基本合意を締結します。その後も交渉は続き、正式な契約は1979年にやっと結ばれました。
ディズニーを核としたテーマパーク事業は成功を収め、現在までに累計入園者数は8億人を突破しています。ディズニーとの蜜月関係は続き、2018年にはライセンス契約を2046年から2076年まで延長する契約が結ばれています。
【累計入園者数】
出所:オリエンタルランド 入園者数データおよび決算説明会資料より著者作成
当初の3倍以上!チケットの値上げで改善が進む利益率開業当初の「東京ディズニーランド」の入場料は2500円でした。現在は日によって料金が変動する仕組みが採用されており、通常の1日券(1デーパスポート)は7900~9400円となっています。チケット価格は、40年で実に3倍以上にも値上がりしたことになります。特に近年は値上げに積極的で、2020年から2021年にかけて3度も料金を引き上げました。
チケットの値上げは業績に寄与しているようです。1人あたり売上高は2008年3月期の約1.7倍にまで増加しており、テーマパーク事業の営業利益率は23%台に達しました。
【入園者数とゲスト1人あたり売上高の推移】
※2023年3月期のチケット収入はアトラクション・ショー収入出所:オリエンタルランド 決算説明会資料
【テーマパーク事業の売上高と営業利益の推移】
出所:オリエンタルランド 決算説明会資料より著者作成
報道では、オリエンタルランドは「東京ディズニーシー」の拡張に合わせ再びチケットの値上げを実施すると伝えられています。料金が引き上げられれば、業績拡大を期待した資金がさらにオリエンタルランド株式へ向かうかもしれません。
株式分割に株主優待 OLCの株価向上策オリエンタルランドは2022年12月、1:5の株式分割を発表しました。それまで1単元(100株)の取引におよそ190万円必要でしたが、5分の1の金額で取引できるようになります。投資に必要な資金が減少したことから、取引に参加できる投資家が増え、株価にポジティブな影響を与えていると考えられます。
【オリエンタルランドの株価(日足終値、2022年12月1日~2023年6月9日)】
出所:Investing.comより著者作成
分割に伴い、オリエンタルランドは株主優待も変更しました。それまで100株以上保有する株主に「株主用パスポート」(有効期限1年間の1デーパスポート)を配布していましたが、2023年9月末基準日以降は500株以上に引き上げられます。
なお、3年以上連続して保有する株主に上乗せして株主用パスポートを配布していた優待は、100株のまま維持されることとなりました。1単元でも保有していれば優待を受けられることから、権利獲得を狙う個人が増えるかもしれません。
これらの優待は投資家に長期保有を促すと考えられ、株価を下支えする効果が期待できます。堅調な本業と合わせ、オリエンタルランド株式には今後も注目が集まりそうです。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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