日経平均の上昇率が世界一に。メガバンクで今「債券ファンド」が売れてる理由
Finasee / 2023年6月22日 16時0分
Finasee(フィナシー)
日経平均株価を対象にしたインデックスファンドが人気
大手銀行5月のランキングでは、日経平均株価を対象にしたインデックスファンドの人気が高かった。5月の日経平均株価は5カ月連続の上昇となった。月末の終値は前月末比2031円44銭(7.03%)高の3万887円88銭となり、33年ぶりの高値水準となった。新型コロナウイルスの第5類への移行に伴う本格的な経済活動の再開による需要増への期待や、底堅い企業業績などが好感し、買いが集まったのだ。海外投資家の買い意欲の高まりも株価を押し上げ、日経平均株価は世界の主要株価指数の中で上昇率1位となった。
ただ、日経平均株価に連動するインデックスファンドは、株価が上昇する局面で売りが増える傾向にある。りそな銀行でランキング1位だった「日経225ノーロードオープン」は、5月に約389億円の資金が流出した。これは、国内公募株式投資信託(ETF除く)の中で最大である。6月も日経平均株価は堅調な展開が続いているが、株価が上昇する局面では日経平均株価を対象にしたインデックスファンドの売りが増える可能性があるので、警戒が必要だ。
<りそな銀行 2023年5月 販売額ランキング第1位>
■日経225ノーロードオープン
基準価額 2万2552円
信託報酬 0.55%(年率・税込)
純資産残高 2005.93億円
<騰落率>
1カ月 7.05%
3カ月 13.50%
6カ月 11.44%
1年 14.98%
※5月末時点
債券ファンドへの資金流入も継続メガバンクでは、債券ファンドの人気も高かった。債券ファンドとは、多くの投資家から資金を集めて運用する投資信託の一種で、主に債券で運用する商品のことを指す。ファンドが得た利益は、投資家の出資比率に応じて還元される。債券ファンドは、日本の国債、地方債、社債だけでなく、外国の国債や社債にも投資する。ただ、商品によって組み入れられる債券の種類や比率が異なるため、リスクや期待収益に違いがある。債券ファンドは、株式や不動産などの資産とは異なる値動きをすることが多いため、リスク低減に高い効果を発揮する。また、株式と比較して値動きが小さいため、相対的にリスクが低く、安定したリターンを得られる可能性が高い。そのため、ポートフォリオ全体のリスクを抑えたい投資家にとって、債券ファンドは有効な投資先といえる。資産運用において債券ファンドは重要な役割を担っている。リスクを減らし、安定したリターンを得るためには、債券ファンドをポートフォリオに組み入れることが重要である。
三菱UFJ銀行の5月販売額ランキング2位「三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、世界のインフラ関連企業が発行する米ドル建て債券を実質的な主要投資対象とし、利子収益の確保と値上がり益の確保を目指す債券ファンドである。インフラ関連企業とは、公益事業、通信事業、エネルギー事業、運輸事業など、日常生活に不可欠なサービスを提供する企業のことである。4月末時点における同ファンドの最終利回りは5.2%となっており、インカムゲイン狙いのファンドとして魅力が高い。
<三菱UFJ銀行 2023年5月 販売額ランキング第2位>
■三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券ファンド
<為替ヘッジなし>(毎月決算型)
基準価額 9024円
信託報酬 1.32%(年率・税込)
純資産残高 1026.11億円
<騰落率>
1カ月 1.2%
3カ月 2.6%
6カ月 -1.1%
1年 1.4%
※4月末時点
三井住友銀行の5月販売額ランキング3位の「日系企業海外債券オープン(為替ヘッジあり)」は、日系企業が海外で発行する外貨建ての債券等に投資することにより、安定的な収益の確保と信託財産の成長を目指して運用を行う債券ファンドである。普通社債だけでなく、劣後債等に投資することで、高い金利収益の確保を目指す。劣後債とは、一般債権者よりも債務の返済が遅れて行われる社債のことである。劣後債は普通社債よりも高い利回りを提供することが多いが、倒産した場合のリスクも高くなる。ただ、4月末時点におけるポートフォリオのクーポンは3.4%となっており、高い利回りが期待できる ファンドとして、6月以降も三井住友銀行のランキング上位に入る可能性は高いだろう。
<三井住友銀行 2023年5月 販売額ランキング第3位>
■日系企業海外債券オープン(為替ヘッジあり)
基準価額 9049円
信託報酬 1.0285%(年率・税込)
純資産残高 239.2億円
<騰落率>
1カ月 0.7%
3カ月 -1.4%
6カ月 3.0%
1年 -6.5%
※4月末時点
世界株式型ファンドもランキング上位に三井住友銀行の1位は「インベスコ 世界厳選株式オープン(毎月決算型)」、みずほ銀行の1位は「キャピタル世界株式ファンド」だった。前者の4月末時点における1年騰落率は+17.01%、後者は+4.5%となっている。日経平均株価が33年ぶりの高値を更新して国内株式型ファンドへの注目が高まっているものの、国際分散投資として海外株式型ファンドの人気も継続する可能性は高いだろう。
<三井住友銀行 2023年5月 販売額ランキング第1位>
■インベスコ 世界厳選株式オープン(毎月決算型)
基準価額 8494円
信託報酬 1.903%(年率・税込)
純資産残高 4470.41億円
<騰落率>
1カ月 1.14%
3カ月 5.11%
6カ月 12.19%
1年 17.01%
※4月末時点
<みずほ銀行 2023年5月 販売額ランキング第1位>
■キャピタル世界株式ファンド
基準価額 2万1615円
信託報酬 1.701%(年率・税込)
純資産残高 3719.4億円
<騰落率>
1カ月 2.3%
3カ月 5.5%
6カ月 2.8%
1年 4.5%
※4月末時点
文/山下 耕太郎
Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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