1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「明るくなったろう」お札を燃やして照明に…戦争で激変した生活

Finasee / 2023年7月28日 7時0分

「明るくなったろう」お札を燃やして照明に…戦争で激変した生活

Finasee(フィナシー)

・1000億円の賠償請求? スエズ運河でだけは“座礁してはいけない”理由

1914年7月28日、オーストリア・ハンガリー帝国はセルビアに宣戦を布告し、第一次世界大戦が開戦しました。同盟関係などから多くの国々が参戦し、日本も日英同盟からドイツへ宣戦布告します。戦火は瞬く間に世界へ拡大しました。

地球で最初の世界大戦 総力戦で疲弊

第一次世界大戦は、近代兵器が初めて本格的に投入されたことで知られます。18世紀後半にイギリスを中心に産業革命が起こった欧米は工業化に成功しており、戦車や飛行機といった新兵器が持ち込まれました。これらが被害を拡大させた要因の1つだとされています。

戦争は休戦協定が結ばれた1918年11月までおよそ4年3カ月続きました。戦場となったヨーロッパ各国は特に大きな戦費負担が生じ、多くの参戦国でGNP(国民総生産)の数倍もの費用が発生しました。

【第一次世界大戦における主要参戦国の直接戦費】

 

出所:防衛研究所 第1次大戦・シベリア出兵の戦費と大正期の軍事支出

この時期は戦争だけでなく、病気との戦いもありました。1918年ごろから世界的に流行した「スペインインフルエンザ(スペインかぜ)」です。世界人口のおよそ3分の1が感染し、数千万人が死亡したといわれています。

なお、スペインと付されていますが、発生地が同国と特定されているわけではありません。第一次世界大戦の末期に発生したスペインインフルエンザは、戦力の低下を悟られないよう各国で流行が秘匿されました。しかしスペインは参戦していなかったため、広く報道されます。これがスペイン発のパンデミックであるかのように広まり、スペインインフルエンザと呼ばれるようになったといわれています。

大戦のはざまに訪れた「黄金の20年代」 日本でも「成り金」が続出

大戦で疲弊したヨーロッパと対照的に、アメリカは戦後に「黄金の20年代」と呼ばれる好況期に湧きました。ラジオの商業放送が始まり、電話や自動車が広く普及します。経済の拡大に押され、NYダウ平均は1921年から1929年にかけ約3.5倍にまで上昇しました。

日本も第一次世界大戦においては主戦場から遠かったこともあり、好景気が訪れます。参戦国向けに軍需品の輸出が増えたほか、西欧からの輸入が途絶えた東南アジアなどにおいても日本に商機が到来しました。

これらを背景に財を成した実業家が多数生まれ、人々は「成り金」と呼ぶようになります。歴史の教科書に載る、「どうだ 明るくなったろう」と百円札を燃やして明かりを取る風刺漫画(成金栄華時代)は、当時の成り金の生活ぶりを表現したものでした。

もっとも、黄金時代は長く続きませんでした。1929年10月24日にアメリカ株式市場の大暴落(暗黒の木曜日)が起こり、アメリカ経済は壊滅的な打撃を受けます。

【世界恐慌 アメリカの経済指標】

 

出所:日本銀行金融研究所 1929~33年世界大恐慌について

アメリカに端を発した不況は世界を巻き込み、世界恐慌を招きました。日本も昭和恐慌と呼ばれる不況に直面したものの、1931年から金利を低くし財政収支を拡大(いわゆる高橋財政)させたことで比較的早く脱します。

【主要国の工業生産の推移(1929年=100)】

日本銀行金融研究所 1929~33年世界大恐慌について

世界恐慌は、各国に保護主義的なブロック経済を形成させるに至りました。これにより分断が起こり、2度目の世界大戦を招いたとする指摘もあります。

米中対立で再び要衝となる日本

第二次世界大戦後の世界は、ソ連を中心とした東側諸国と、アメリカ・イギリスを中心とした西側諸国の対立が1つのテーマでした。しかし1991年には東側の軍事機構であるワルシャワ条約機構が解散し、ソ連も崩壊します。

現在、対立軸はアメリカ対中国へ移っています。市場経済を導入した中国は飛躍的に発展し、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国へと成長しました。急激に拡大する中国に、西側陣営は警戒感を強めています。

【アメリカと中国の名目ドル建てGDP(1990年~2022年)】

IMF 世界経済見通し(2023年4月)より著者作成

近年は特にアメリカとの対立が深まっています。トランプ前大統領時代に貿易摩擦問題が顕在化したほか、現在は半導体を巡って互いに規制をかけ合う事態に至りました。

冷戦期もそうだったように、日本は地理的に西側陣営の最前線にあります。地政学リスクを嫌ったとみられる半導体大手が日本に相次いで進出するなど、現在は漁夫の利を得ていますが、米中対立が先鋭化すれば影響は免れないでしょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

マネー・トリビア

過去の「今日」にはどんな出来事があった? 金融知識の豊富な著者陣が独自の視点でお金にまつわるその日のトピックをセレクトし、奥深い豆知識をお届けします。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください