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母から800万円奪った従姉妹…ひそかに練っていた“仰天の構想”

Finasee / 2023年7月13日 11時0分

母から800万円奪った従姉妹…ひそかに練っていた“仰天の構想”

Finasee(フィナシー)

私は都内の病院に勤務していて、コロナ禍の3年間はこれまでの人生で一番忙しい日々を過ごしました。それもあって、滋賀県の実家で一人暮らしをしている母とは年に数回電話をする程度になっていました。

母は特に持病もなくもともと几帳面な性格のため、父が亡くなった後もほとんどの家事を自分でこなし、自立した生活を送っているように見えました。

電話でも「定期的に病院に通っている」「地元の商店街の店がどんどん閉店していくので、テレビの通販でよく買い物をするようになった」と話をしていて、すこぶる元気そうでした。

ところが先月、軽い脳出血で倒れ入院したのを機に、母の周りでとんでもないことが起きていたことに気づいたのです。きっかけは母の預金通帳を見たことでした。

2000万円近くあった預金が、この3年間で半分近く引き出されていたのです。母は月額15万円ほどの年金を受け取っていて、通常の生活費はそれで十分賄えるはずです。テレビ通販でも洋服やサプリメントを購入する程度で、特段、ぜいたくをしている様子もありません。

母に聞いたところ、兄の娘(私の従姉妹)の八重子さんに渡したと言うではないですか。八重子さんに尋ねると、約800万円を受け取ったことは認めたものの、詳しい経緯は話してくれませんでした。

金額が金額だけにこのまま放置していくわけにはいかず、頼った専門家が、妻から紹介されたファイナンシャルプランナー(FP)の南さんでした。

●「叔母ちゃんがくれた」八重子さんの言い分とは?
※前編【部屋は乱れ、貯金は半減…働き者で几帳面な母に現れた“ある異変”】からの続き

八重子さんに説明を求めると…

南さんと連絡を取り、一緒に八重子さんと会うことになりました。数日後、南さんが押さえた地元のホテルの部屋で、話し合いの場を持ちました。南さんは八重子さんに会ってあいさつを済ませると、いきなりこう切り出しました。

「西崎さんのお母様、つまり、あなたの叔母様から800万円を贈与されたとおっしゃっているそうですね。年間110万円を超える贈与には贈与税が課税されることをご存じですか? しっかり税務署に申告されていますか?」

それを聞いて、八重子さんの顔色がみるみるうちに変わりました。

「贈与を受けたつもりはないんです。ちょっとお借りしただけで……」

南さんがさらに畳みかけます。

「でも、こちらの西崎さんがあなたに尋ねた時、叔母様が『持っていけ』と言ったんだとおっしゃいましたよね?」

「それは……」。追い詰められた八重子さんが吐露したのは、次のような話でした。

母と八重子さんのやり取り

「叔母さんとはコロナになる少し前に病院で再会したんです。本当に久しぶりでした。その時に叔母さんがご飯をごちそうしてくれて、『兄さんにお菓子でも買っていって』と1万円もらいました。それから時々、叔母さんを訪ねるようになったんです」

母が通販で買った洋服が素敵で自分も欲しいと思ったが、お金がなかった。それを母に話したら、「八重ちゃん、大変なんだね。これ持っていき」と10万円くれた。

足を痛めたことで外出がしづらくなった母に頼まれて買い物や支払い、預金の引き出しを代行するようになり、下ろしたお金を母のもとに持っていく際、「私にもちょっとくれないかな」と聞いたら、「いいよ」と言われた。

それから、母の生活費を引き出す際、自分用にも10万円、20万円とまとまった額をもらっておくようになった。

「叔母さんから、昇ちゃんはコロナ対応で忙しくて全然帰ってこられないと聞いていました。昇ちゃんの代わりに叔母さんの面倒を見ているわけだし、これくらいもらってもバチは当たらないと思いました」

いけしゃあしゃあと言い訳を並べる八重子さんに、はらわたが煮え返る思いでした。

800万円の行方

「それにしたって800万円はもらい過ぎではありませんか? それに、その都度、叔母様に確認したわけではないのでしょう?」

南さんが厳しく詰め寄ると、八重子さんは涙を流しながら、800万円は全額返すと約束しました。聞けば、母のお金にはほとんど手を着けていなかったようです。

「家ではこの年まで独身の私は厄介者扱いで、年を取って農作業の手伝いができなくなったら出ていけと言われるんじゃないかとずっと不安でした。ですから、1000万円貯まったら家を出て、隣町に新しくできた高齢者施設に入ろうと思っていたんです」

800万円という大金が無事に母のもとへ戻ってくると分かり、全身から力が抜けていくのを感じました。

帰途、改めて南さんにお礼を言うと、「今回の件、お母様のことを放置していた西崎さんにも責任の一端があることは自覚しておいてくださいね」と釘を刺され、背筋が伸びる思いでした。

増える親戚同士のお金のトラブル

「こういうトラブル、実は結構多いんですよ。親が一人暮らしで、子供があまり関与していないことが分かると、八重子さんのような“親切ごかし”の人が寄ってきてお金を奪っていくんです。これを機に、西崎さん自身がもっと親の生活や、お金の管理に関わっていく必要があります。一人っ子だから大変かもしれませんが、そこは奥さんも巻き込んで」

南さんには母の認知機能が低下しているかもしれないからチェックしてもらった方がいいとも言われ、入院中に脳の検査を受けたところ、軽度認知障害(MCI)と診断されました。高齢でもあり、担当医からは施設入居を勧められました。

施設や介護業者の選定に際しては、南さんの助言が大変役に立ちました。そして今月、病院を退院した母は、自宅からほど近いグループホームに入居しました。

南さんに電話で報告したところ、「施設は八重子さんのような人からお母様を守る盾にもなるので、そこは安心できます。お忙しいとは思いますけれど、お母様がこの先の余生を楽しまれるよう、しっかりサポートしてあげてくださいね」と言われました。

今は南さんのアドバイスを守り、2~3日に1度、母に電話をしています。今年のお盆休みは妻と帰郷し、母を迎えて一緒に実家で過ごす予定です。その際に、母の今後やお金のことについても話し合いができたらと考えています。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。

Finasee編集部

金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

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