新NISA「成長投資枠」の“対象商品第1弾”が公表! 注目すべきポイントとは?
Finasee / 2023年7月4日 11時0分
![新NISA「成長投資枠」の“対象商品第1弾”が公表! 注目すべきポイントとは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_12271_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
新NISAのスタートまで半年を切ったところで、新しい情報が公表されました。2023年6月21日に、「新NISAの成長投資枠で買える商品リスト」が公開されたのです。
一部で話題となっているこのニュースについて、本記事では情報の概要や、理解すべきポイントについて、なるべく分かりやすく解説していきます。
2つの投資枠の特徴をおさらいまず前提として、2024年から始まる新NISAには2つの枠があります。簡単に言うと、安定して長期投資するための「つみたて投資枠」と、ハイリスク・ハイリターンの投資ができる「成長投資枠」。
そのうち成長投資枠については、一般的な株式や、一定の条件を満たす投資信託が対象となります。この「一定の条件」とは、①信託期間が20年未満、②毎月分配型、③高レバレッジ型、の3つに該当しないこと。
「いくらハイリスク・ハイリターンの投資ができると言っても、短期間しか運用できない商品や、あまりにもリスクが高すぎる商品は新NISAで買えませんよ」ということだと理解していただくと良いでしょう。
「成長投資枠」で買える商品1000本が明らかに!今回のニュースは、簡単に説明すると「成長投資枠で買える商品の選定が進んできたので、事前にリストを見せます」ということです。
この商品リストは、各運用会社からの届け出が取りまとめられ、投資信託協会により公開されたもので、このリストの公開により、新NISAの成長投資枠で買える投資信託約1000本が明らかになったのです。
なお、今回のリスト公表は第1弾。今後も、ほぼ1カ月おきに対象商品が公開されていく予定となっています。
リストには「つみたて投資枠」で買える商品も先ほどお伝えしたとおり、つみたて投資枠は長期投資、成長投資枠はリスクの高い投資と、そもそもの目的が分かれています。
したがって、コツコツ資産形成しつつ少し冒険したい人は、つみたて投資枠では“分散効果の高い商品”を毎月買いながら、成長投資枠では“リスクも取り、大きく収益も狙える商品”も買っていくと、2つの枠を活かして使い分けられます。
このように、安定性と収益性のどちらか一方だけを重視するのでなく、様々な使い方ができる。とにかく自由度が高い点が、新NISAの大きなメリットでもあるのです。
2023年6月21日に発表された約1000本の投資信託は、成長投資枠で買える商品リストです。しかしこの中には、つみたて投資枠の対象商品も162本含まれています。つまり、この162本は「つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも買える商品」と言うこともできます。
新NISAでは、2つの枠を合わせて1800万円の投資が可能です。そのうち成長投資枠として使えるのは1200万円までですが、全額の1800万円をつみたて投資枠として使うこともできます。
したがって、今回公表された「つみたて投資枠・成長投資枠のどちらでも買える162本の商品」に投資するのであれば、とりあえずはつみたて投資枠で運用するのがリスク面ではおすすめです。そうして将来の投資の選択肢を広げるためにも、成長投資枠はなるべく使わずにとっておく、という手も考えられます。
注目すべきは「成長投資枠でしか買えない商品」!ところで、今回のニュースで私が特に注目しているポイントはどこか。それは、「成長投資枠でしか買えない」870本の投資信託です。
新NISAの使い方は投資スタンスによって無数に考えられますが……「成長投資枠ならではの、ハイリスク・ハイリターンの投資にもチャレンジしてみたい!」と考える人は、今回公表されたリストが投資対象を決める材料となるでしょう。
「成長投資枠でしか買えない商品」には何がある?では、今回注目すべき「成長投資枠でしか買えない投資信託」にはどんな商品があるのでしょうか。大きく分けて2種類、例をあげてみましょう。
1.特定の国の株式を集めた投資信託1つ目は、特定の国に投資する株式投資信託です。
日本の個人投資家には、米国株に投資する商品や、全世界の株に投資するオールカントリー型(通称:オルカン)の商品が人気です。
一方、今回公表されたリストでは米国以外の株式投資信託も目立ちました。例えば、「今後米国を抜く経済大国になる」という予測もある中国。人口で世界一になり、平均年齢28歳と若く活力のあるインド。他にも、ブラジル、ベトナム、フィリピン……さまざまな国の株式に投資する商品ラインナップが明らかになっています。
オールカントリー型の商品を買えば満遍なく投資もできますが、「この国が特に伸びる!」「この国の将来に投資したい!」という明確な目線を持っているのであれば、このような特定国を対象とした株式投資信託も選択肢に入るでしょう。
2. 上場REITそして2つ目は、上場REITです。
REITとは「Real Estate Investment Trust」の略で、不動産投資信託を指します。通常、数億円もする土地や建物に対して、個人が投資することは難しいでしょう。これを切り売りして、個人でも持てるようにしたものがREITです。
一等地ビルの値上がりによる恩恵を受けたいけれど、ビルなんか買えるわけがない…という方でも、REITに投資すれば利益の一部が還元されます。さらに、不動産価格そのものの値上がりだけでなく、テナント料や賃料収入が分配される点もおいしいところです。
***もちろんこれらの商品では、ある程度のリスクも伴います。特定国のみに投資する商品は、オールカントリー型の株式投資信託よりもリスクが高くなりますし、不動産だけに偏って投資すると、地価の変動に大きく左右されてしまいます。
したがって、このようなハイリスク・ハイリターン型の商品は、あくまでも「余裕金の範囲で」投資することを強くおすすめします。
注意したい2つのポイント最後に、今回のニュースで注意したい「2つのポイント」についてお伝えします。
自分の許容できるリスクや投資スタンスを見失わないまず1つは、「安全に投資をしたい人にとって、今回のニュースはあまり関係ない」ということ。
何度もお伝えしたとおり、成長投資枠で買える商品は基本的にハイリスク・ハイリターンです。新NISAでは投資によって得られた利益が非課税になるため、利益が増えるほど非課税メリットも大きくなりますが、やはり大きく利益を狙える商品は、リスクも高くなります。
なお、投資における「リスクが高い」とは、短期的な値動きが大きいということ。投資するタイミングによっては、買ったばかりの商品がガクッと値下がりして、大きく損してしまった……という可能性もあるのです。
したがって、安全な道を進みたい方は、「成長投資枠はまったく使わない」という選択ももちろんOKです。これから成長投資枠で買える商品が次々公開され、目移りするかもしれませんが、自分のペースで「つみたて投資枠」だけを狙って投資する手堅い投資も1つの正解です。
信託報酬をよくチェックするそしてもう1つのポイントは、信託報酬。つまり、手数料の存在です。
今回のリストは、どれも「新NISAで運用できる」という、いわばお墨付きの商品。序盤にお伝えした、①信託期間が20年未満、②毎月分配型、③高レバレッジ型、という「あまりにもリスクが高すぎる商品」に該当しないことは確かです。
しかし、商品そのものの安全性と信託報酬の高さはまったく別の話。特に、非課税期間が無期限となる新NISAでは、かなり長期間の投資も可能です。たとえ0.1%の違いであっても、最終的には結構な金額の差になるため、信託報酬はしっかりと確認しておかなければなりません。
今回公開されたリストには、魅力的な商品がたくさんあります。しかし、このような細かい点も事前にしっかり確認して、「それでも投資する価値がある」と自身で納得できるものだけを買うようにしましょう。
●新NISAの2つの投資枠の違いって? 詳しくは【新NISAの2つの投資枠を徹底解説! 結局どう使い分けるのが正解?】(本サイト記事)で紹介しています。
浅見 陽輔/銀行員・証券アナリスト
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科を卒業後、2013年に銀行に就職。10年のキャリアで、投資運用、リスク管理、法人・個人向け融資、システム部門を経験。証券アナリスト、FP2級、簿記2級、税務上級など20種類の金融系資格を保有。趣味は優待株投資と筋トレ。本業の傍ら、Kindle(電子書籍)作家としても活動中。代表作に『図解 新NISA』『トクする株主優待の選び方』『最後のジュニアNISA』『絶対に続く筋トレ』などがある。Twitterアカウントは【@you_def】。
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